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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

成長の喜びと寂しさと感謝と

石田 恵海 │ 2022.04.18

先週末、東京時代と八ヶ岳に来てからを合わせて10周年のイベント「愛と胃袋万博」を開催しました。本当にたくさんの方が訪れてくださり、定休日の今日、全身筋肉痛でこのぺちゃ日記を書いています。

レストランガイドブック『ゴ・エ・ミヨ2022』で評価をいただいた影響からか、最近、ディナーのお客さまがグッと増え、わたしもディナーのホールに立つ機会が増えているんだよね。
ちょっと前までは、わたしがディナーに立つとなると、友人の保育士さんやシッターさんや友人ママなど三男、夢作(むく)を預かってくださる方を手配するのが本当に大変だったのだけど、何かを察したかのように4歳になる夢作が急に成長して、わたしがディナーに出ている間、長男次男と一緒に家で平気で待っていられるようになったのでした。もう拍子抜けするくらい突然に。

北杜市もだいぶシッターさんやチャイルドシッティング会社も増えてきたけれど、わたしたちがこちらで店をはじめた5年前はほぼないに等しくて、兄ちゃんたちがかつて保育園でお世話になった保育士さんやシッティング会社に唯一登録されていたシッターさんなど、細い糸をたどって三男をお願いしてきた。
夢作が2歳の頃からシッティングをお願いしてきたシッターの伊藤さんは、春になると八ヶ岳のセカンドハウスにいらして冬になると神奈川の家に帰るという多拠点暮らしをする方で、いつも八ヶ岳に来ると「今年も山に来ました。むっくんを預かることできます」とLINEをくださる。今年もそのLINEをいただいたのでした。
シッティングという目的がなくなると、もう伊藤さんとお会いできる機会もなくなるということなのだよね。伊藤さんのLINEを読みながら当たり前のことに気づいた。三男の成長という別れがあることをお互いにわかってはいたけれど、まだまだ先だと思っていたのに。伊藤さんに三男がシッティングいらずに成長してしまったことをお伝えし、10周年イベントにぜひいらしてくださいとお誘いしました。

イベントに伊藤さんは夢作が大好きなプリンをたくさん抱えてやってきてくださり、「むっくんの成長は喜ばしいことですし、何よりお母さんが楽になって本当に良かったです」と気遣う言葉の後、夢作は伊藤さんだけでなく、伊藤さんのご近所のおばあちゃまなどにも愛されていたことを聞いていたので「みんな、むっくんロスです」という言葉に胸がいっぱいになってしまったよ。

二重保育の罪悪感は、長男が幼かったころよりもだいぶ薄くはなったけれども、それでもやっぱり繁忙期など連夜続き、夢作にシッティングに行く際に泣かれたりすると「ハハ度数」の低さにわたしまで泣きそうになることもあった。シッティングしてくださっている方が、夢作と遊ぶことを楽しみにしてくださっていること、それを支えにしてきた。

成長って喜びと寂しさがトルネードするね。わたしはけっして信心深いほうではないのだけど、イベントを終えた昨夜、この10年、こどもたちや家族、スタッフを見守り、支えてくださった人々や神さまという存在に感謝の祈りを捧げたくなった。手と手を合わせながら、こういう気持ちになったのは、はじめてかもしれないなと思ったよ。

ぺちゃくちゃ交換日記
-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

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交換日記は月のはじめと真ん中頃に往復する予定です。

研究員プロフィール:石田 恵海

つくるめぐみ代表
得意なテーマは自ら実践する「田舎暮らし」「女性の起業」「自由教育」。八ヶ岳ガストロノミーレストラン「Terroir愛と胃袋」女将であり、「自分らしい生き方」などをテーマとした編集・ライターでもあり、三兄弟の母でもあり、こどもたちをオルタナティブスクールに通わせている。「誰もが、オシャレしてメシ食って恋して仕事して、最期まで自分を生きられる、自立した社会づくりに貢献すること」を理念に活動。2020年より古民家一棟貸しの宿、棚田を愛でながらコーヒーを楽しむカフェ・ギャラリーも開業する。
Terroir 愛と胃袋

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