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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

明後日の方向を目指して

石田 恵海 │ 2022.01.15

ばるさん、今年もどうぞよろしくお願いいたします! 

前回紹介してくれたばるさんのお父さまの手記、特に「輪廻転生」が胸に奥まで響きました。先に逝った大切な人たちの顔を思い浮かべながら、「この人、こういうこと大切にしていたよな」「この人のこういうところ、かっこ良かった」など遺された想いや託された希望を思い起こし、これから自分が生きる目標について考えました。大切な機会を与えてくれて、どうもありがとう!

1月という月は、新しい年のはじまりでもあるので、これからの生き方を考えるタイミング。どう生きるかということに関して、インプットとアウトプットの両方をこれだけ意識して行う月って他にないなーと、新年早々のFacebookのタイムラインに流れる、みんなの「今年はこんな年にしたい」を見ながら思いました。かくいうわたしも、Facebookに書きました。

今年は年女であり、八ヶ岳移転5周年、レストラン業界入り10周年といろいろ節目の年ですが、真っ直ぐ前を見据えて前進することなく、より明後日の方向へとスキップをして生きたいと思います。

飲食業をはじめて10年になるのに、いまだに飲食業界に対する違和感がたくさんあって、それは編集者としての経歴や、取材する立場で飲食店を見ていた経験も背景にあるのだろうなと思う。夫の信作シェフは飲食業界一筋だから、レストランとしてかっこいい道を目指したがるのだけど、わたしは存在としてかっこいい道を目指したい。だから、できるだけ明後日の方向へスキップしたいと思っています。

ここ最近になって、レストラン業界もSDGsと言い出して、「これからのレストランはダイバーシティ、食材ロス、エシカルが大切だ」などと言うのだけど、ばるさんもご存知のとおり、もうそれ、うちのお店は開業当初から大切にしてきたことなのだよね。

だけど、夫もやっぱり最初は理解できなかった。主婦や障害者の積極採用や店舗のバリアフリー設計、ウェルフェアトレード食材の仕入れとか、「そんなに言うならやるけど、そんな大事?」みたいな感じではじまった。

それが10年を経たいま、これからのレストランはSDGsが大切などとメディアでいわれている。わたしには今さら感が強いけれど、SDGsをどう解釈して自分たちらしい方法をとるかといった具体策までは、飲食業界全体としてはまだまだこれからな感じがあって、まだまだだからこそ面白いことができる伸びしろもあるともいえる。なので、その機運を後ろ盾に、今年はよりサステナビリティを意識した取り組みをしようかと考えています。

というのも、先日、美食評論家の中村孝則さんの講演に行った際、「知的メディアとしてのレストラン」という言葉があったから。ああ、そうかととっても腑に落ちた。わたしはレストラン業と編集業は似ているとずっと言っているのだけど、そうかメディアづくりという意味で同じだったんだ、と。

食材ロスなんかの問題もひとつのレストランが取り組んだところで、環境へのインパクトは低いけれど、それを自ら発信したり、フーディーなどに発信してもらうことで真似をする人、意識する人が増えることにつながる。そんな世界のトップシェフの事例を聞いて、レストランをひとつのメディアと考えて表現していくと考えたら、編集脳がわくわくしはじめました。

「愛と胃袋は文化を売るお店です」とは、かつてわたし自身が言った言葉だとFacebookの思い出機能が教えてくれたのですが、ホントそれ! 今年も何屋なの?という有り様でいきます!

ぺちゃくちゃ交換日記
-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

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交換日記は月のはじめと真ん中頃に往復する予定です。

研究員プロフィール:石田 恵海

つくるめぐみ代表
得意なテーマは自ら実践する「田舎暮らし」「女性の起業」「自由教育」。八ヶ岳ガストロノミーレストラン「Terroir愛と胃袋」女将であり、「自分らしい生き方」などをテーマとした編集・ライターでもあり、三兄弟の母でもあり、こどもたちをオルタナティブスクールに通わせている。「誰もが、オシャレしてメシ食って恋して仕事して、最期まで自分を生きられる、自立した社会づくりに貢献すること」を理念に活動。2020年より古民家一棟貸しの宿、棚田を愛でながらコーヒーを楽しむカフェ・ギャラリーも開業する。
Terroir 愛と胃袋

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