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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

娘と戦争とトットちゃん

ひらばる れな │ 2021.09.01

学びと暮らしがつながる瞬間、たしかに!
娘の初めての小学校の夏休み、何をするにも「コロナだガマンだ」の日々ではありましたが、7月には楽しみにしていた自由教育の学校のサマースクールに参加することができました。それもこれも恵海さんのコラムで「こんな学校があるんだー」って知ることができたから。娘は3泊4日のプロジェクトの学校(と呼んでいる)で学びが自分の中につながっていく瞬間をたくさん経験してきた様子。一生の思い出になったと思います。

さて、私のこの夏のささやかな楽しみは、寝る前に子どもたちに読み聞かせる『窓ぎわのトットちゃん』でした。
トモエ学園(小学校)を舞台に、子どもたちを尊重したユニークな教育、先生、仲間たちとの日々が瑞々しく描かれた、言わずと知れた戦後最大のベストセラー。私もトットちゃんで小・中・高の読書感想文を書いたくらい印象に残っている本です。

ちょうど自分が読みたいタイミングだったので音読してみると、プロジェクトの学校から帰りたてほやほやの長女には刺さったようで。
それに、トットちゃんのトモエ学園があった場所はいまの我が家の生活エリア。自分の知っている地名、よく遊びにいく場所に、昔この本の中の人たちがいたなんて、と興味津々でした。

娘がはっと息を呑んだシーンがいくつかあって、ひとつは戦争のくだりでした。ちょうど8月で、テレビでも戦争の特集がされていたというのもあったのかも。爆弾はどうやってこんなところまで飛んできたのか? トットちゃんの学校が燃えちゃったってどれくらい? みんなどうして生きられたの? 疎開ってなに? 親と離れるの? などその日は質問が絶えませんでした。

翌日、子どもたちを連れて自転車でトモエ学園の跡地へ。そこに建ったスーパーも現在工事中なのですが、娘は「なにもなくなったのに、どうやっていまの家が、街ができたの? 材料はどこから? 誰がどうやって?」とまたまた考え込んでいました。でも、たしかに。焼け野原から一体どれだけの努力で復興していったのだろう。

その頃ちょうど私の祖母が亡くなったので、帰り道「おばあちゃんも風船爆弾をつくっていたんだって。たまたま工場に行かなかった日、工場勤務をしていた同級生がたくさん亡くなったって話してくれたことがあるよ。もし、そのときおばあちゃんが亡くなっていたら、ママたちみんないなかったんだよ」と話しながら、ご先祖さまから連綿と続いてきた命の奇跡と、戦争を知る人がどんどんいなくなっていることを実感しました。
娘が戦争を知る入り口は、トットちゃんだったんだなぁ。

ほかにも、多様性あふれる登場人物から知る違いに興味が湧いたようで、「手でお話し」というところを読んだ後には、私が手話通訳をしているノウフクの動画とかを食い入るように見て、いまは夢中で指文字や手話単語を覚えています。うれしいなー。
『窓際のトットちゃん』から、戦争も学びも自由も子どもと一緒に感じるきっかけをもらって。ぜんぶ読み終えちゃってさびしいです。

ところで娘が一番驚いたのは、本の主役の(いまの自分と同い年の)トットちゃんが、あの、テレビに出ている玉ねぎ頭の人だと知った時でした(笑)

さて、今日から新学期。このあとどんな表情で帰ってくるかなー。

ぺちゃくちゃ交換日記
-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

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交換日記は月のはじめと真ん中頃に往復する予定です。

研究員プロフィール:ひらばる れな

mazecoze研究所代表・編集長
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育会社にて障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。
ダイバーシティプランニングを行う「hullabaloo」代表、ソーシャルデザインのしくみをつくる「PReNippon」共同代表、ノウフクPROJECTファシリテーター、久遠チョコレート広報など、様々なプロジェクトを推進。

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