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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

過去のわたしは、いまのわたしを

石田 恵海 │ 2021.09.15

ちょうど明日9月16日で、独立して15年になります。フリーランスの編集ライターから飲食・観光分野の多店舗経営者になるなんて、独立当時はもちろん想像もしていなかったけれど、振り返って考えたときに、この15年間のわたしを一番支えてくれたのは誰かというと、他の誰でもない、わたし自身だと思うのでした。

感謝しても感謝しきれないくらいお世話になった人たちはもちろんたくさんいて、アカデミー賞のスピーチのごとく名前を列挙しだしたら、観客が眠り出して司会者に止められるくらいはいる(笑)。だけど、それらの人々と出会うことができたのも自分であり、そんな自分にありがとうとあらためて言ってあげたい15年間でした。

「いまの自分を支えているのは、過去の若い自分」 という言葉を以前紹介したけれど(「彼女の記憶の旅」にて)、それを強く思うようになったのは宿泊施設「旅と裸足」を立ち上げるためのクラウドファンディング(CF)をしたとき。300万円を目標額に、何を血迷っていたのか、わたしはAll-or-Nothing方式(目標額に達しなかったら支援金を受け取れないシステム)で、CFにチャレンジしたのだよね。AII-in方式(目標額に達していなくても集まった分の支援額を受け取れるシステム)にすることもできたのに、いばらの道を選んで、絶対に目標を達成しないと事業ができない状態に自らを追い込んだ(今なら絶対しない)。

わたしは何百人もの友人知人にメッセージをした。応援してください、と。しかも、この人に応援してもらえたら自分が嬉しいと思える大好きな人を選んで。ばるさんにも送ったよね。そうしたら、この人に応援してもらえたらわたしが嬉しいと思える人が、わたしにはめちゃくちゃいるじゃん!ということに途中で気づいた。なにせ、次々と顔が思い浮かぶのだ。このとき、過去の若い自分のスゴさに感動したんだよね。おまえ、人脈、スゴいなー、と。

実は、このCFチャレンジ中の3カ月間は、感激のしすぎで泣かない日は1日もなかったし、達成後もいい意味のPTSD?みたいな感じで、1年くらいはCFについて話すと感情があふれて涙が出すぎて、冷静に話せなかったくらいだった(テレビ取材で、CFについて語る場面はヒドすぎてオールカットになった)。

最近になってやっと当時のことを泣かないで話せるくらいには成長したのだけど、それまではCFでたくさんの方に愛されていたことに気づいて、感謝と感激がいっぱいで愛を消化できなくて、消化不良を引き起こして、ずっとお腹くだしていた、みたいな、そういうことかなと思っている。

それを治す正露丸的な感じで「いまの自分を支えているのは、過去の若い自分」という言葉が湧いてきて、ストンとお腹に落ちて、やさしく胃に溶けて、愛してくださるたくさんの人に出会えた自分にもちゃんと感謝して愛してあげないとね、とおなかが落ち着いたのでした。

最近、「いまの自分を支えているのは、過去の若い自分」の類義語で、「過去の自分が、いまの自分に復讐してくる」という言葉を知った。どちらにしても因果報応ってことよね。だけど、過去の自分が復讐してくるから、いまをがんばるというよりも、過去の自分の生き方に感謝しながら、わたしはいまを生きたい。たとえ、いま選択したことをこの先の未来で後悔したとしても。わたしよ、これからもわたしの人生をどうぞよろしくね!

ぺちゃくちゃ交換日記
-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

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交換日記は月のはじめと真ん中頃に往復する予定です。

研究員プロフィール:石田 恵海

つくるめぐみ代表
得意なテーマは自ら実践する「田舎暮らし」「女性の起業」「自由教育」。八ヶ岳ガストロノミーレストラン「Terroir愛と胃袋」女将であり、「自分らしい生き方」などをテーマとした編集・ライターでもあり、三兄弟の母でもあり、こどもたちをオルタナティブスクールに通わせている。「誰もが、オシャレしてメシ食って恋して仕事して、最期まで自分を生きられる、自立した社会づくりに貢献すること」を理念に活動。2020年より古民家一棟貸しの宿、棚田を愛でながらコーヒーを楽しむカフェ・ギャラリーも開業する。
Terroir 愛と胃袋

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