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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

「関連死」という言葉から考えた

石田 恵海 │ 2022.03.15

最近とっても気になっているのが「関連死」という言葉。先日の3月11日で東日本大震災発生から11年が経ったけれど、この大震災によって亡くなった方と行方不明者の合計は、岩手県5,785名、宮城県10,757名、福島県1,810名(警察庁緊急災害警備本部資料 令和4年3月10日より)。
一方、震災関連死された方々の2021年9月までの累計は、岩手県470名、宮城県929名、福島県2,329名(復興庁 東日本大震災における震災関連死の死者数 令和3年9月30日現在より)。福島県の関連死の圧倒的な数! しかも、関連自死した方の半数は福島の方だという。原発事故からの放射能汚染が死の要因になっていることは容易に想像ができるよね。

コロナ禍といわれ、2年以上が経ったけれど、コロナによる直接死よりも、コロナ禍という社会を要因とした「コロナ関連死」のほうが圧倒的に多いと思うのだよ。わたしたちが暮らす地域でもこの2年で、コロナ関連死といえる孤独死や自死など何人も起きているし、心を病んでしまった方やDV件数も増えていると聞く。
同様に、ウクライナとロシアの戦争でも長い目でとらえると「戦争関連死」が直接死を超えてしまうのではないかと危惧している。
原発もコロナも戦争も、何が正しいのか正しくないのか、何が正義か悪か、何が本当か嘘か。そんな犯人を探す洪水のような情報が流れる一方で、人々は孤独を抱えて亡くなっている。続々と。人が幸せに生きるために必要な気力は、社会の有り様に大きく影響するということなのだよね。

一国の政策で人は死ぬ。そういうことをわたしはちゃんとこれまで考えてこなかったなと反省した。政府が新型コロナ感染を防ぐためにやっきになることで、心の病やDVや生活苦は増加して、結果、コロナ感染死は減少していき、コロナ関連死は増加していく。戦争も原発もそうじゃないかな。

山梨県はこどもたちの保育園や学校のクラスで新型コロナの感染者が出た場合、学級閉鎖してクラス全員をPCR検査する「新山梨方式」を導入した。メディアは「教育現場は混乱、保護者も困惑」などと報道していたけれど、こどもたちの気持ちをどれだけ考えているのだろう。こどもたちはずっとこれまで我慢させられてきたのに、またさらに我慢させる気なのかと、もうわたし、頭に来ちゃって、いたるところで新山梨反対!反対!言っていた。
最近になり一転、3月末で緩和するという話になっているから、さすがに反対の声が大きかったのかもしれない。

こどもたちにとっておとぎ話の世界だった戦争が本当にはじまり、YouTuberが武器を買う、父親が戦争に行くと話し、戦争がこどもたちにとって俄然身近なことになり、ナーバスになっているのを感じるし、戦争に関わる質問も増えてきて、返答に慎重になることも多い。
こどもたちにどちらが良い悪いをひとくくりで表現することの危うさについて、ばるさんも書いていたけれど、ホントさー、国の意思と個人それぞれの意思はけっして同じではないし、国や自治体の政策がポンコツな場合だってある。そういう時に声を上げることをもう惜しまないで生きていこうと思ったよ。いくらコロナ感染者が減少したとしても、こどもたちの自殺など関連死が増加しているなんて、政策が失敗しているとしか思えないもの。
こどもたちを幸せにする。それが何よりもおとなたちがすべきことだと思うから。

ぺちゃくちゃ交換日記
-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

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交換日記は月のはじめと真ん中頃に往復する予定です。

研究員プロフィール:石田 恵海

つくるめぐみ代表
得意なテーマは自ら実践する「田舎暮らし」「女性の起業」「自由教育」。八ヶ岳ガストロノミーレストラン「Terroir愛と胃袋」女将であり、「自分らしい生き方」などをテーマとした編集・ライターでもあり、三兄弟の母でもあり、こどもたちをオルタナティブスクールに通わせている。「誰もが、オシャレしてメシ食って恋して仕事して、最期まで自分を生きられる、自立した社会づくりに貢献すること」を理念に活動。2020年より古民家一棟貸しの宿、棚田を愛でながらコーヒーを楽しむカフェ・ギャラリーも開業する。
Terroir 愛と胃袋

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