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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

命の最先端

平原 礼奈 │ 2023.03.06

友人と、仲間のご家族が最近亡くなって、命について思いをめぐらすことが増えました。
壮絶な闘病の様子と生きることへの意志を最期までユーモアを交え綴ってくれた友。風のようにふっと逝ってしまった仲間の大切なお父さま。訃報を聞いたときはただただ悲しくて驚いてやりきれない気持ちでしたが、時間が経つにつれてそれぞれの生き方と紡がれてきたつながりにふれさせてもらっている感じがしています。

誰もがこの世に生まれた瞬間から死に向かって進んでいるわけですが、いざその日が来るタイミングは一人ひとり違って、時間の視点では短い人もいれば長い人もいる。深さや関係の円の大きさや色合いもきっとそれぞれ違う中で、たまたま家族として、友人知人として同じ時代や場所で出会えるのは奇跡ですね(あれ、年末の日記にも同じこと書いたな)。だからこそ、亡くなった人の思いが私の心や細胞にも取り込まれ、自分の命の一部として生き続けていく感覚があるし、自分が生きる意味を考え奮い立つ思いもします。

私は特定の宗教を持たないのですが、そうはいってもご先祖さまや八百万の神や妖怪とか植物とか、目には見えないものを感じる体験はあるほうで、そうした存在への感謝の気持ちも強めに持っています。持っているというか、日々込み上げてくると言うか。
いまここにいる人たちはみんな、人類の幕開けから飢饉や流行病や戦いやただ生きていくだけで大変な世界の中で、先人たちが途絶えることなく脈々とつなげてきた命の先っぽにいる。さらにこの世にはもういない人の思いも組み入れながら生きている。そう思うとこの命は自分のものだけど、自分だけのものではないんだよなぁと感じます。

せっせと何か制作している娘に「いま生きてるみんなはこれまでたくさんの人がつないできた命の最先端にいるんだよ。そう思うだけでなんかエネルギーと感謝が湧いてこない?」って言ったら「うんそうだよ」ってあたりまえな顔で返された。君に見えてる世界を、あれこれ悩める母にも教えてほしい。

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-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

研究員プロフィール:平原 礼奈

mazecoze研究所代表
手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。

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