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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

手話通訳士試験に挑戦して気づいたこと

平原 礼奈 │ 2022.08.01

恵海さんが書いてくれた〝一人ひとり違う「異(い)だらけ」を楽しむ世の中づくり〟一緒にしていきたいです。

先週、手話通訳士試験(手話通訳技能認定試験)に挑戦しました。学科が終わったところで、受かったら次に実技があって、最終的な合格率は例年1割前後くらいらしい。私は学科が受かったかどうか定かでないのですけど、受けてよかったーとしみじみ思っています。

学科試験は、障害者福祉の基礎知識・聴覚障害者に関する基礎知識・手話通訳のあり方・国語の4科目。出題範囲が広くて、勉強のやり方をなんとかせんといかんと、勉強が得意そうな仲間にその流儀を教えてもらうことにしました。まず「参考書をじっくり一度だけ読み込むより、ざっとでいいから3回は繰り返し読む」というのが効きました。なぜなら1回全部読んで把握できた!と思ったのに、2回目ページをめくったらすっかり忘れている自分がいたからです(笑)でも3回繰り返し読んだらなんとなく障害者福祉の全体像がわかるようになってきて。だんだんと、時代の流れと関連づけながら覚えていけるようになりました。

仕事でダイバーシティや合理的配慮等と口にすることも多いのですが、その根っこで基本的人権を手にするために人々が行動して、時間をかけて法律や価値観が変化していまの福祉があることが、以前よりもくっきりと実感できるようになったのがなにより大きな気づきでした。

手話にしても、音声言語とは異なる独自の言語体系を持つ一つの言語でありながら、法律上で言語として位置付けられたのは2006年に国際的な条約である障害者権利条約で「手話は言語である」と定義されてからとか、日本でも2011年に公布された改正障害者基本法に「言語(手話を含む)」と規定され、その後の各都道府県や自治体での手話言語条例制定の動きがあることなど、ほとんど知らなくて。聞こえない仲間と手話で話すことが好き、というだけでは私の場合は気づけなかったことを、試験勉強を通じて知ることができました。

悠久の歴史の中で人々の強い意志とともに形作られてきた大切なものとして、この試験で求められる知識に触れられてよかった。これから手話通訳をするときの意識も少し変わると思います。
仲間たちの応援とご褒美食いろいろに鼓舞されて何年かぶりに受験勉強をした数ヶ月は、とても充実した時間でした!

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-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

研究員プロフィール:平原 礼奈

mazecoze研究所代表
手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。

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