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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

この地ならではの夏の過ごし方

石田 恵海 │ 2022.08.18

飲食業や小売業界では「ニ八(ニッパチ)」といって売上が低迷する2月と8月をそう表現したりするのだけど、ここ八ヶ岳において8月は、1年のなかでもっとも忙しい時期。うちのレストランのように小規模で完全予約制だと、あっという間に8月のご予約は埋まってしまうのだけど、どれだけ8月の予約は終了したと告知してもキャンセルはないかとお問い合わせを日々いただき、その対応だけでも大変だったりします。
そんな8月は稼ぎ時である半面、こどもたちは夏休みだからずっと家にいるし、遊び時でもあるわけで、仕事と子育ての両立は本当に大変! だけど、こどもと一緒に遊ぶことができる時期ってホント短いのだろうなと思うから、ここ何年かは稼ぎ時だからと仕事を優先しすぎないよう割り切って、早めに家族スケジュールを立てて1週間くらい家族バカンスの時間をつくるようにしたり、定休日はしっかりこどもたちと、この時期、この地域ならではの遊びを楽しむことを心がけている。

そんなこの時期&この地域ならではの遊びのひとつが「四尾連湖(しびれこ)」での水遊び。四尾連湖は周囲1.2kmの小さな湖なのだけど、美しく神秘的な湖で、四つの尾びれを持つ龍が住んでいるという伝説があるところ。カヤックや釣りをのんびり楽しむ人、年間を通してキャンプ場としても人気なところでもあり、夏は何といっても湖で泳ぐことができるのが魅力。ライフジャケットを着て、今年はわたしもこどもたちも湖の端から端まで泳ぎ切ることができて、ちょっとした達成感を味わったりしてね。プールで水に飛び込んだら「ピピーッ! そこ飛び込まないで!」なんて注意されちゃうけれど、湖は飛び込み放題だし、海の家ならぬ湖の家「水明荘」さんでラーメンなどの軽食や名物のチャイをいただいたりしながら、1日ゆっくり家屋で過ごす時間は極上の夏時間なのでした。

そして、もうひとつが8月に10日間だけ開かれる野外映画祭『星空の映画祭』。八ヶ岳の麓、八ヶ岳自然文化園の森のなかにある大きなスクリーンで、夜風や星空、自然を感じながら映画を楽しむ真夏の夜の映画祭。何よりもこの映画祭を支えている人たちが、映画やこの土地、この映画祭そのものをとっても愛しているのがわかる素敵な会なのだよね。
我が家は4年前だったかな?に『ルパン三世 カリオストロの城』を家族で見に行った以来、なかなか子どもたちが見たい映画と日程が合わなかったり、コロナで開催中止だったりで、今夏久しぶりの参加。次男が大好きな映画『SING ネクストステージ』を定休日の夜、楽しんできました。三男は映画初デビューだったので、とってもわくわく興奮していたのに、スタート10分にして寝てしまったけれど(笑)、翌日は「生まれてはじめて映画を見た!」ととってもうれしそうだった。

両方とも自然のなかでの遊びなのだけど、前者はプライベート感、後者は他の参加者との一体感があって、いずれも特別な夏の日を感じさせてくれる贅沢な時間と空間がある。自然のなかでの夏の体験っておとなになってからも、その時の感触や匂いや想いなどの記憶が残っていて、それがおとなになってからの自分を支える何かになることが多い気がするんだよね。だからできるだけ、この時期、この土地ならではの夏の遊びをこどもたちに体験させたいし、一緒に体験したい。

ここ数年、コロナによってイベントが次々と中止になって、三男はまだ鱒のつかみ取りもしたことがないし、打ち上げ花火も見たことがないのだけど、今年はどこかで体験させてあげられるかな? わたしたち家族の夏休みのはじまりまで日々カウントダウンをしながら、この1週間、八ヶ岳の繁忙期を過ごしています。

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-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

研究員プロフィール:石田 恵海

つくるめぐみ代表
得意なテーマは自ら実践する「田舎暮らし」「女性の起業」「自由教育」。八ヶ岳ガストロノミーレストラン「Terroir愛と胃袋」女将であり、「自分らしい生き方」などをテーマとした編集・ライターでもあり、三兄弟の母でもあり、こどもたちをオルタナティブスクールに通わせている。「誰もが、オシャレしてメシ食って恋して仕事して、最期まで自分を生きられる、自立した社会づくりに貢献すること」を理念に活動。2020年より古民家一棟貸しの宿、棚田を愛でながらコーヒーを楽しむカフェ・ギャラリーも開業する。
Terroir 愛と胃袋

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