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mazecoze(まぜこぜ)研究所は、いろんなものの境界線をまぜこぜにしながら、未来を拓く働き方・暮らし方のヒントを探る知恵の場です。

第7回:「ファミ農」、はじめました。

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アスファルトと壁の隙間を縁取るように咲いている「小米万年草」は愛らしい(写真左)。とっても可憐でかわいい花なのに、なぜか残念な名前の「ペラペラヨメナ」(写真右)

二十四節気・七十二候を実感する

「春の花って一度に咲くもんじゃないんだね」。車を運転している時に夫がそう言い、まさに私も助手席から道路の脇に咲いている花々を見て同じことを思っていました。

日々移り変わっていく草花の風景を見ていて、草花は春になるといっぺんに咲くのではなく、ちゃんと咲いていく順序があるのだなと、当たり前のことをこちらに来てあらためて知りました。

水仙が咲き、菜の花が咲き、桃の花が咲き、チューリップが咲き、ツツジが咲き、れんげが咲き、かきつばたが咲き……と順繰りに来て、我が家の玄関では今、ペラペラヨメナが出迎えてくれて、窓から見えるおとなりではくわの実がおいしそうに実り、アスファルトと壁の間を小米万年草がフリルのように乙女チックに装飾し、どこへ行っても幅を利かせていた外来種のオオキンケイギクが花の終わりを迎えようとしています。そして、あじさいが少しずつ咲きはじめています。

私の大好きな本に『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―』というものがあります。日本は一年を4等分した四季だけでなく、24等分した二十四節気と72等分した七十二候があり、その時々の旬の花や鳥、魚や野菜を美しいイラストとともに紹介しているものです。

三軒茶屋時代、お店に常備していたのですが、当時は今ここではないどこか旅のガイドブックのようにも感じていたこの本が、二十四節気や七十二候を日常から感じられる今は、リアルなこととして受け止め、少し先の行事や農作業の準備に生かすといった楽しみ方をしています。

この本、実は夫にクリスマスのプレゼントとして買ったもの。その当時、夫はお世辞にもこの本を楽しんでいるようには見えなかったのですが(笑)、こちらに来て四季や二十四節気、七十二候を自然と意識するようになったようで、どうやら準備しているお店の料理のヒントになっているようです。ええこっちゃ!

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「オオキンケイギク」は毎朝こどもたちが摘んでプレゼントしてくれる(写真左)。「クサフジ」だろうか? 田んぼの脇によく群生している。「クサフジと水田と3歳の次男」というこの瞬間は今しかないんだよなとふと思い、思わず涙ぐんで写真に収めた(写真右)。いずれも生態系に影響を与えるといわれる外来種ではあるのだけど、暮らしのなかに入ってくると、大切な命に思えてくる

「1人いるなら100人はいる」というG発想

さて、草花と並んで私たちに日本の季節の移り変わりを感じさせてくれるのが、田畑の様子です。今年は農にかかわる体験イベントに家族で精力的に参加する予定です。 東京で暮らしていたころ、家族で田植えや稲刈りに参加して自分たちでつくったお米を食べることにあこがれていましたが、なかなか接点がなかったり、尻込みしたりと、結局参加する機会はありませんでした。

プランターを使った家庭菜園や市民農園での野菜づくりなどはわりとハードルが低いですが、田植えとなるとちょっとハードルが高い。でも、私たちと同じように家族で田植えや収穫を体験したいと考える方はきっと多いと思うのです。なにせ、私たち自身がしたかったことなのだから。

私は「私がしたいくらいなのだから、同じようにしたいと思っている人は最低100人はいる」というゴキブリ一匹を見つけた時と同じような発想で、これまでさまざまなイベントを開催してきたのですが(笑)、その軸は間違っていないように思っています。

そういう同じやりたいという気持ちを持っている方々と農体験イベントを開催している生産者さんとの接点に私たち自身がなることで、米づくり体験や農家さんとの交流などをお客さまに提案できたらと考えているのです。私たち自身が野菜も米も自分たちでつくれるように技術を覚えて、自分たちの田畑に東京から農体験したい方々をお呼びする、という考え方もありますが、私たちは地域と共に成長して、いっしょに面白がりたいという考え方。

なので、私たちは八ヶ岳で農業を生業としている生産者さんと一般の方とがつながるハブでありたいですし、私自身も参加者の方といっしょに農体験をしたい。そして、私たちの本業である料理を加えることで、より楽しい農体験イベントができたらいいなと思うのでした。

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ぬかるんでいるところはこどもだとヒザまで浸かって動けなくなるが、それもまたこどもにとっては楽しい。水田に浸かった後にドロの投げ合いになり、次男を強制送還。よく働いた(遊んだ)後、あぜ道に座ってお弁当もまた楽しい。おとなたちは翌日から激しい筋肉痛に襲われるとも知らず……

こどもたちの田植えデビュー

そんな可能性や企画のヒント、そしてなによりも私たち家族が楽しむために、年間を通じて米づくりにたずさわる宇宙農民さんの「シェア田んぼ」と、ぴたらファームさんの「ぴたらぶ」に参加させていただくことにしたのでした。

シェア田んぼでの田植えは、毎年お料理をケータリングさせていただいている日本ワインのイベント「LIFE with WINE」が横浜であり、その出店のために参加できなかったのですが、先日、ぴたらファームさんでの田植えに家族ではじめて参加してきました。

ぴたらさんのイベントには、その前にたけのこ堀りに参加させていただいていたので、こどもたちは慣れた様子でしたが、田んぼは初体験! 思ったとおり、長男はチチといっしょにていねいに手植えをがんばっていて、次男はいっさい田植えを行わず、ドロだらけになって遊びほうけていました。次男はあまりに遊びがすぎるので、途中で強制退場! 長男も途中で飽きてしまい、おとなだけ無心になって手植え。次男はフルチンで田んぼを走り回って、稲を踏んで怒られていました。

その後、家族で近くの温泉につかって汚れを洗い流し、おとなは生ビールをキューッ! こどもたちはガリガリくん。サイコーです! 休憩室の畳のうえでダラーッと使いものにならなくなっているおとなをよそに、あれだけ田んぼを走り回っていたにもかかわらず、さらに公園遊びに興じるタフなこどもたち……。田植えにはほとんど貢献していないにもかからず、達成感と満足感は一人前のようでした。

みんなで田植えして温泉入って、おとなはビール飲んで、おいしいごはんを楽しみながら、こどもたちはさらに駆け回って遊び倒すことができる、そんな「ファミリー農」いいよね? 

石田 恵海(いしだ えみ)

1974年生まれ。オーベルジュ開業準備中&編集ライター
「雇われない生き方」などを主なテーマに取材・執筆を続けてきたが、シェフを生業とする人と結婚したおかげで、2011年に東京・三軒茶屋で「Restaurant愛と胃袋」を開業。子連れでも楽しめる珍しいフレンチレストランだと多くの方に愛されるも、家族での働き方・生き方を見直して、2015年9月に閉店。山梨に移住し、新たにオーベルジュとして開業する準備に、3歳と4歳の年子男子のかあちゃんとしても奮闘中!
Restaurant 愛と胃袋

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キーワード:働き方, 子育て, 暮らし
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