ばるさん、2024年もどうぞよろしくお願いいたします! 能登半島地震で敬愛するレストランのシェフやスタッフのみなさんが炊き出しなど尽力されている様子をSNSで見て、心が引き裂かれそうになったり、もどかしい思いも抱えながら、日々の通常運転がはじまっています。
今回、弊袋は八ヶ岳に来て初めておせちに挑戦しました。年のはじめに召し上がっていただく特別なお料理なので、信作シェフも緊張感MAXで、12月頭からピリピリムード。
わたしもおせちのお重やお飾りなど足りなくないだろうか。ご注文いただいている数にヌケはないか。メニューに誤字脱字はないか。お料理はすべてちゃんと入っているか。配送用ダンボールと中身と宛名が合っているか。無事に着いたか。お料理が飛び出していないか……。
もう心配は尽きることがなくて、おせちをつめる最後の2日間は心配と緊張感でほとんど眠れず、ちょっと眠りに入っても、おせち絡みの失敗の夢を見ているのか、実は起きていて思考をしているのか、よくわからない感じ。
最後は扁桃腺を腫らして高熱を出した揚げ句、口唇ヘルペスが石田人生史上最多といっていいほど唇の上下に発症し、実家で両親や弟家族などと過ごしながらも、唇が切れるから“笑ってはいけない”お正月を過ごしたと思ったら、夫も山梨に戻ってきたら寝込んでしまいました。
おせちの威力恐るべし! おせちづくりの先人たちを心から尊敬したよ。
2024年がはじまってまだ1カ月経っていないというのに来年のことを言うと、ホント鬼に笑われそうだけど、2025年もおせちをやろう!ということになった。すでに。
戦いたくないからおせちには手を出さないつもりでずっといたのに、試しにやってみようかとやってみたら、新年最初のお食事をおつくりできるなんて、なんて素晴らしい仕事なんだろう!って感動してしまった。
レッドオーシャンなおせち業界に、新参入するビジネスメリットってあるんだろうか?と考えると、はっきり言ってまるでない。利益を考えると、ふつうに年末まで営業したほうがいい(こだわりやの弊袋の場合は)。
だけど、家族や親戚が集まり、新しい年を祝うお正月という日本の文化に食で貢献できるのは、食に携わる側としてはやはり格別な思いが込み上げるもので、ははん、さては皆、この気持ちを味わいたくておせちをつくっているのだなと思った。おせちハイ、おせちゾーン、合法ドラックおせち…。
おせちづくりは、今年もお世話になりましたという感謝の気持ちと、来年もよろしくお願いいたしますというご挨拶の気持ちを込めた、わたしたちレストランからのお年賀。これからも心を込めておせちをつくっていきたいな。
実家でマイおせちを血だらけの唇でいただきながら、そんなことを思ったのでした。
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つくるめぐみ代表
得意なテーマは自ら実践する「田舎暮らし」「女性の起業」「自由教育」。八ヶ岳ガストロノミーレストラン「Terroir愛と胃袋」女将であり、「自分らしい生き方」などをテーマとした編集・ライターでもあり、三兄弟の母でもあり、こどもたちをオルタナティブスクールに通わせている。「誰もが、オシャレしてメシ食って恋して仕事して、最期まで自分を生きられる、自立した社会づくりに貢献すること」を理念に活動。2020年より古民家一棟貸しの宿、棚田を愛でながらコーヒーを楽しむカフェ・ギャラリーも開業する。
→ Terroir 愛と胃袋