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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

技術以上に心のあり方!

石田 恵海 │ 2022.10.18

ばるさん、八ヶ岳は紅葉がはじまって、山々が美しく見える時期に入ってきました(夏は雲で山がくっきり見えないことが多い)。
前回のばるさんの日記にあった「技術以上に心のあり方が大事!」という言葉、グッときたよ。

ちょうど先日、長男次男が通う南アルプス子どもの村小中学校で「秋まつり」が開催されたのだけど、これがコロナ禍で2年ぶりの開催。これぞ秋晴れ!という気持ちいい青空の下、こどもたちだけでなく、おとなも大いに楽しんで、久しぶりに子どもの村らしい集まりを体感した1日だったのだけど、まさにまさに「技術以上に心のあり方が大事!」ということを実感させる1日でもあったのです。

この秋まつりは、運動会のような催しと、日々のこどもたちの活動の展示発表、そして昼休み中に6年生の子を持つ親たちは中学校説明会を受けるといった構成になっているもの。運動会は在校生はもちろん、おとなも幼児も誰でも参加OKで、参加したくない子は参加しなくてもいいという非常に自由な選択ができる。

うちの5歳の三男はものすごいやる気で、フル出場! 玉入れもつなひきも障害物競争も600mミニマラソンも靴飛ばしもリレーも出場した。もちろんわたしも、つなひきや障害物競争などを楽しんだ。
この学校の素晴らしいところは、こういったプログラムの内容づくりや構成、準備、司会・進行、実況中継まで、すべてこどもたちが行っているところ。マラソンや靴飛ばしなどの個人競技では、誰が上位だったかとちゃんとそのがんばりをみんなで褒め讃える一方で、運動が苦手な子も楽しめるプログラムや役割が盛り込まれている。
その何もかもが子どもたち主体の様子に、三男から「この学校って、おとなの先生いるの?」と聞かれたくらい。もっともな質問だと思った。

子ども村のイベントの恒例に「みんなでカンパイ」と「餅まき」があるのだけど、小学6年生の長男は今回「オレ、はじめて餅をまくほうをやるんだ」ととってもうれしそうで、最後の餅はどう投げるか考えすぎて、思わず自分の頭上に投げてしまい、自分でキャッチしてしまうという長男らしさだった(笑)。
運動会ってわたしは子どものころ、とっても苦手で、組体操やダンスなど当日までに何度も練習させられるのが本当にいやだった。子どもの村の子どもたちは、おそらく秋まつりの準備をとっても楽しんで行っていただろうと思うのだよね。

中学校説明会の時、おとなの人が(子どもの村では「先生」といわない)、「今の中3の子に英語で話しかけてみてください。みんな話せますから」と言うので、保護者一同ざわついた。マジで?と。英語にかぎらず、子どもの村では苦手意識を持たせないことを大切にして授業をされている。英語はあくまでもツール。話したい、伝えたい、知りたい、聞きたいをかなえるための道具にすぎない。それをわかって英語に触れているのと、テストや受験のために身につける英語では、まさに心のあり方が違うというもので、英語で話しかけたら臆せず応えられる心があるという。

秋まつりの司会は低学年の子だってチャレンジしているし、プログラムが書かれた看板は読みづらいところもあるのだけど、味わいがある。プログラムはみんなが楽しめるようにと考えたやさしさがあふれている。技術以上に心のあり方が大事というのはこういうことをいうのだよなとしみじみ感動したのでした。

おとなになると、他人と比べて自分のいたらなさに失望したり、落ち込んだりしがちだけど、技術じゃないね。心の持ちよう。自分がどうありたいか。こどもたちの楽しそうな様子に笑い、自分も本気で競技に参加しながら、ばるさんの日記を反芻する秋の1日でした。

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-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

研究員プロフィール:石田 恵海

つくるめぐみ代表
得意なテーマは自ら実践する「田舎暮らし」「女性の起業」「自由教育」。八ヶ岳ガストロノミーレストラン「Terroir愛と胃袋」女将であり、「自分らしい生き方」などをテーマとした編集・ライターでもあり、三兄弟の母でもあり、こどもたちをオルタナティブスクールに通わせている。「誰もが、オシャレしてメシ食って恋して仕事して、最期まで自分を生きられる、自立した社会づくりに貢献すること」を理念に活動。2020年より古民家一棟貸しの宿、棚田を愛でながらコーヒーを楽しむカフェ・ギャラリーも開業する。
Terroir 愛と胃袋

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