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福留 千晴の「ローカル見聞録」

「おいしいOBAMA旅するPROJECT」はじまる!

福留 千晴 │ 2022.10.12

「ローカルヒーロー」との対話の場から

さて、私が福井県小浜市へ初めて訪問させていただいた記事から早くも半年が経ってしまっているのですが、その間もせっせと小浜へ通わせていただきながら、UMIHICOさんや地元のさまざまな「ローカルヒーロー」(生産者さん&飲食店さんなど)と対話の場を持たせていただきました。それぞれの立場や思い描く方向性があり、紆余曲折あったのですが、いよいよ目に見えるプロジェクトとして動き出すことができます! それにしても通わせていただくたび驚くのは、小浜の美しい風景と食の素晴らしさ。本プロジェクトを通して、ひとりでも多くの「小浜ファン」が増えることを目指していきます。
*本記事は「NEST INN OBAMA」で執筆させていただいた記事を転載するものです

「おいしいOBAMA旅するPROJECT」はじまる!

NEST INN OBAMAでは、これまで「食のローカルヒーロー」(小浜の食文化を盛り上げ、支える生産者や料理人のこと)として、小浜市の生産者を独自に取材し、見える化する取り組み「おいしいOBAMA旅するCARD」を進めてきました。2022年10月時点で、取材した生産者さんはおよそ40名。カードとなった生産者さんの紹介カードは、実際にその食材を使用する飲食店の店頭で掲出いただいたり、スーパーの野菜売り場で紹介いただき、小浜市内でも目にする機会が増えました。
そのカードがきっかけとなり、お客さまとのコミュニケーションが生まれ生産者さんへ新しいフィードバックが生まれるなど、生産者や料理人、仲卸事業者などの新しい連携の形を生み出しています。

そんな中、2024年春の北陸新幹線・敦賀駅開通に向け、その流れを加速させることを目的とした小浜の「食」の可能性や歴史風土を地域一丸となって伝えていく「おいしいOBAMA旅するPROJECT」がはじまりました!

生産者と料理人が一同に集う場

まずはその第一歩として、2022年9月28日(水)に「和久里のごはんや おくどさん」にて、初回の生産者や料理人が集う会を行いました。

一同に介する生産者と飲食店の方々

第1部では、普段お互いにやりとりする機会がなかなかない水産業・農業を中心とした8名の生産者が集まり、それぞれの現状や課題を共有しました。

水産部門では、養殖マハタが新たな病気にかかり、大きな被害を受けながらも養殖と民宿を営む河原正和さん(「四季の宿かわはら」)や、農業部門では高齢化によりGI登録(地理的表示)の維持が難しくなり、地理的表示(GI)保護制度の維持が困難となった「谷田部ねぎ」の産地谷田部で”変わりもの野菜”を栽培する農家の奥井荘一郎さんなどから、リアルな現場のお話をいただきました。

生産現場の課題をお伝えいただく農家の奥井さん

また「おいしいOBAMA旅するCARD」の反響についても意見をいただきました。実際に民宿の店頭に置くことで、民宿業以外にこんな作業をされていたんだ!というお客さまからの反響があったり、地域の一体感が出るためとても良いとの反面、もう少し営業&販促ツールとして容易に各所へ配布できる仕様だと今後もっと活用できるなどの意見も出ました。

およそ30名(2022年現在)の生産者さんをご紹介する「おいしいOBAMA旅するCARD」。カードには、生産者プロフィールから生産スケジュール、私生活のことなど情報盛りだくさん。Web版もご覧ください。

小浜の「食」の未来を考える

第2部では、さらに市内飲食店の皆さんをお迎えし、普段なかなかコミュニケーションを取る機会のない生産者と飲食店双方がざっくばらんに話し合い、今後の小浜の「食」について考える場となりました。

時間が経つごとに、さまざまなアイディアとともに対話も深まっていく

自身で養殖から民宿での調理提供も行っている河原さんは、何か新しい調理法や食べ方など別のアプローチの方法があれば知りたいということで今回来てくださったとのこと。他の飲食店や生産者とさまざまなアイディアを出し合ったり、「民宿かどの」の角野さん(民宿経営・へしこ製造販売)と「伊勢屋」の上田さん(和菓子製造販売)は、双方の製造工程やアイディアを共有しながら、「こんな商品を作れたら新たな小浜土産になるのでは?」「自分の生産物でもっといろいろな人に試作品を作ってほしい(角野さん)」と、その場で商品開発をするような意見も出ました。

普段知ることが難しい生産現場の視点から、新たな商品の種が生まれる

また、小さい頃から小浜の海に通って育った「「和久里のごはんや おくどさん」オーナーであり料理人でもある中東篤志さんからは、「おくどさん」における生産者連携や、脱プラスチック&周辺食材を90%以上使用する取り組みをはじめ、小浜の食の豊かさや可能性についてお話いただきました。

会場協力もいただいた「おくどさん」の中東篤志さん

ご参加いただいた皆さんからは、「またこのような機会を作り、みんなで食材を持ち寄って食べてみたい(奥井さん)」
「気持ちが前向きになり、有意義な場だった(「若狭小浜丸海本店」木村さん)」
会の最後には、小浜でしか食べることのできない食がここから生まれる予感のする前向きで嬉しいコメントもいただき、あっという間に終了しました。
今後、継続的に情報交換やアイディアを行っていくため、参加者は「おいしいOBAMA」LINEグループに参加し、引き続き新たなチャレンジに向けてともに取り組んでいきます。

終了後、角野さんから「何事も、失敗したとしてもまずやってみなければわからない。だから自分もチャレンジし続ける」との素敵な言葉をいただき、それこそが独自の「食」の風景をかたちづくってきた小浜らしさである、と私たちも改めて気付かされました。引き続き、一緒にチャレンジしていきましょう!もちろん、今回ご参加できなかった「食のローカルヒーロー」のご参加もお待ちしております。

ご参加いただいた皆さんとともに

NEST INN OBAMA実行委員会

<Special Thanks! お集まりいただいた皆さん(順不同・敬称略)>
永耕農産 岡本竜平
永耕農産(地域おこし協力隊) 熊切栄輔
民宿かどの 角野高志
四季の宿 かわはら 河原正和
うらたに旅館 浦谷俊晴
若狭の恵 前野恭慶
農家 奥井荘一郎
漁師 上田啓介
木屋傳 木村隆夫
若狭小浜丸海本店 橋本裕美子
コメダ珈琲小浜店 畑中好江
御菓子処 伊勢屋 上田浩人
生簀割烹 雅 友本明宏
和久里のごはんや おくどさん 中東篤志

研究員プロフィール:福留 千晴

「地域と食のしごと」NORTHERN LIGHTS代表/mazecoze研究所企画・編集・広報・新規事業開発
鹿児島県出身、実家は大隅半島で芋焼酎の芋を育てる農家。カナダ・モントリオールでの映画学専攻や10カ国以上へのバックパッカー経験、広告会社勤務を経て、現在は中小企業や自治体においてソーシャル&ローカルデザインのプランニングからプロデュース、クリエイティブ、PRまで一貫して行う。2017年、経産省「BrandLand Japan」にて全国12商材の海外展開プロデューサーに就任。焼酎唎酒師、日本デザイナー学院ソーシャルデザイン科講師。
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