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石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」石田恵海とひらばるれなの「ぺちゃくちゃ交換日記」

経済観は教えるものじゃなく、愛でるものだね

石田 恵海 │ 2022.09.15

こどもたちによるこどもたちのマルシェ「古民家こども市」というのを、Terroir愛と胃袋の庭で時々開催していて、近く9月23日にも開催する予定なのだけど、このイベントをすると、長男次男のお金や仕事の考え方の違いが如実に現れてくるので、とっても面白い。

先日も、長男がAmazonのサイトを見ているので、「なんかほしいものがあるの?」と聞くと、「うーん、お小遣いが溜まってきたから、なんか買い物しようかなと思うんだけど、特にほしいものがないんだよ」と言う。「じゃあ、無理に買いものする必要ないじゃん! ほしいものが出てきた時に買えるよう貯めておいたら?」というと、「ああ、じゃあ、もう少しお金が入る貯金箱を買おうかな」というので、なるほど、そういう発想ね!と長男の個性を感じました。

一方、次男はお小遣いをどんだけ前借りしたら気が済むんだというくらい前借りしてくるので、2カ月先の前借りはしないルールに決めたにもかかわらず「これで最後だから」というお願いが入ったり、お風呂掃除を10回するという絶対に乗ってはいけない叶えてもらえない代案を出してくる。だらしないわね!と思う一方で、近頃ポケモンカードのせどりにハマり出し、その様子を見ていると、次男はビジネスの才覚があるのではないかと思ったりするのだよね。

古民家こども市のお店の出し方にもふたりの個性は現れていて、長男はお友達と今回レモネードとクラフトコーラのお店をすることになったのだけど、彼らはおいしいジュースをつくるために、試作をしたり、材料を吟味したりと実に職人的。前回はイチゴやバナナをチョコに浸したものを販売したのだけど、その時も同様に、いちご農家に視察へ行ったり、試作を繰り返すなどシェフみたいで、親の背中を見て育つってこういうことかしら!?と。

次男はというと、前回同様、ポップコーン屋さんをすると言っているのだけど、彼の面白いところは自分でやらないところにある。人にやらせるのが上手い! 前回はお客さんで来てくれた女子の友達に、他のマルシェで買い物するためにとわたしが渡したお小遣いを女子たちにすべて渡して、「これで好きなもの買っておいで」と先にバイト代を出して懐柔し、自分のお店を女の子たちに任せてポップコーンを売ってもらう。その間におとなとポップコーン用のとうもろこしを買いに行ってちゃっかりおやつも買ってもらってお店に戻り、営業途中で出た利益を懐に入れて、今度は自分が他のマルシェで散財する。こういう感じの商売人の男性いるよね?(笑) 我が家にはこういうタイプの人いないから、持って生まれたものかしら!?とも思うのだよね。

こういう違いを見てると、仕事や経済観とかってのは親がこどもに教えるもんじゃない。おとなはこどもの感性を愛でるものだね。ほかのこども店長さんのお店を見ていても、商品や売り方、売り場づくり、店づくり……どれも個性的で面白いし、おとなも学ぶポイントがたくさんある。だから、やめられなくて時々開催している。

長男の商品のクオリティにかける能力、次男の人材を上手く生かして事業を回していく能力、このふたつをあわせて一緒にお店やればサイコーじゃん!と思うけど、兄弟一緒にやるのは違うようなんだよね。いつまでおかあさんの「古民家こども市」という遊びに、この人たちはつきあってくれるだろう?と思うけれど、三男がもう少し大きくなって参戦してくれたら、どんな才能を見せてくれるのか、とっても楽しみでいます。次回の開催は来春かな。

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-都会と田舎でそれぞれ子育てしながら暮らす、ふたりのワーキングマザーの七転八倒な日常を綴る日記-

研究員プロフィール:石田 恵海

つくるめぐみ代表
得意なテーマは自ら実践する「田舎暮らし」「女性の起業」「自由教育」。八ヶ岳ガストロノミーレストラン「Terroir愛と胃袋」女将であり、「自分らしい生き方」などをテーマとした編集・ライターでもあり、三兄弟の母でもあり、こどもたちをオルタナティブスクールに通わせている。「誰もが、オシャレしてメシ食って恋して仕事して、最期まで自分を生きられる、自立した社会づくりに貢献すること」を理念に活動。2020年より古民家一棟貸しの宿、棚田を愛でながらコーヒーを楽しむカフェ・ギャラリーも開業する。
Terroir 愛と胃袋

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