Vol.5:True Colors CARAVAN in Hiroshimaステージレポート!
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※この記事は、mazecoze研究所が「True Colors CARAVAN」広報チームとして企画制作した“マガジン”を、当メディアにも転載するものです。True Colors CARAVANの開催と連動して随時連載いたします。
目次
True Colors CARAVAN in Hiroshimaは、とにかく熱い1日でした
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こんにちは。True Colors CARAVAN広報チームの平原です。
2022年6月19日(日)、True Colors CARAVAN(以降CARAVAN)は全国キャラバン第二弾開催都市、広島へと降り立ちました。
梅雨入り後初のCARAVANとあってみんな天気を心配していたのですが、まごうことなき晴天&汗が止まらない真夏日となりました(運営チームに強烈な晴れ男がいるという噂)。
広島市中区のアリスガーデンで行われたステージも、それはもう熱いもので。今回のレポートは、イベントの様子を次の3つの切り口からお届けしてまいります。
Vol.5:True Colors CARAVAN in Hiroshimaステージレポート! ▶︎▶︎この記事
Hiroshima/Interview:ゲストアーティスト 大前光市さん
Hiroshima/Voice:広島に集ったみんなの心に咲いた花
楽しい!楽しもう!感情の波が押し寄せるステージ
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11時50分。CARAVAN Performers徳永啓太さんのDJタイムがスタートしました。会場を包み込む心地よい音に惹きつけられて、お客さまがどんどん集まってきましたよ。通り過ぎる人も足を止めて、ステージを中心に何層にも円ができたような状態に。この日、約600名の方々が集まってくれたのだそうです。
12時。CARAVANバスのクラクションが鳴って、いよいよパフォーマンスステージがはじまりました。
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HARUKIさんのヒューマンビートボックスで躍るDAIKIさん!
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CARAVAN Performersが続々とバスから降りてきて、のびやかなパフォーマンスと共に、広島のみなさんに向かってにっこり。
リーダーのDAIKIさんが「このステージで繰り広げられるパフォーマンスを見て、感じて、心と体全体で楽しんでいってください!」と呼びかけます。
今回のゲストアーティストの大前光市さん、広島で活動するダウン症のあるメンバーによるプロダンサーチーム「 I4P(アイ・フォー・ピー)」のみなさん、デフダンスグループ「ルバート」のお2人も舞台に上がって、ステージはとっても賑やかに。
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コール&レスポンスも息ぴったり!
それもそのはず、ステージにいるメンバーは昨日も集まって、体を使いながらお互いを知っていくコミュニケーションのためのワークからコラボダンスのリハーサルまで、一緒に関係性をあたためてきたのです。
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舞台裏でも「昨日の息合わせの時間、大事だったね!」と口々にお話ししていましたよ。
ステージに話を戻しましょう。
お次はI4Pのダンサー6人によるショーケースです。
I4Pは、多機能型事業所LOVE ART(就労継続支援B型)でパフォーマンス活動をするプロダンサー集団。毎日4から5時間も厳しいダンスレッスンをしているのだそうです。
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息の合ったかっこいいダンスに、とにかく踊るのが大好き!という気持ちがあふれる華やかなステージでした!
お次は人気のダンスバトルです。
CARAVAN Performers(TOMOYAさん、かのけんさん、DAIKIさん)VS チーム広島(大前さん、I4P翔太さん、I4P賢士さん)が、自分らしさを表現しながら場を盛り上げていきます。
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14歳でストリートダンスを始め、ダンスの可能性に魅了されSOCIALWORKEEERZ を創設したTOMOYAさん。CARAVAN Performersとして今回初めて広島に参上!
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I4Pリーダーの賢士さん。努力で培った多彩な技術を駆使したダンスとこの表情!
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ありのままの自分をモットーに、ダンス、ミュージカル映像と幅広く活動する個性派ダンサーのかのけんさん!
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片道2時間かけてI4Pに参加している翔太さん。キレのあるおしゃれなダンスが素敵!
そして最後のバトルはDAIKIさん vs 大前光市さんです。
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近い、近い。
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DAIKIさんは怒りをぶちまけるクランプという踊りで感情を全身表現!
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大前さんはカラフルな義足で優雅に舞う。
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頭で立ってみたり。
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義足から紙吹雪を出してみたり。
「ここで小道具!ずるい!」とDAIKIさん(笑)
バトルが終わるとダンサーたちは抱き合ったりハイタッチをしたり、お互いをたたえ合います。
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見ているこっちもたまらない気持ちになる瞬間。
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さいごは観客全員を巻き込んでのコラボダンスです。広島のみなさん、ノリがいい〜。一緒に、楽しそうに身体を動かしてくれていました。
恵比寿での出発式のあと、名古屋を飛ばしてここ広島に来たわたくし、全体的に、温度上がっていません? みんなこの間一体なにがあったの?と思うくらい、感情の波がエネルギーとなって押し寄せてくるパフォーマンスでした。
SOCIAL LOCKS!課外授業には生徒(リスナー)も飛び入り参加!
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12時30分。「SCHOOL OF LOCK!」よりTrue Colors Festival とのコラボレーションコーナSOCIAL LOCKS!の課外授業が始まりました。テーマは“みんな違う”。
パーソナリティーのぺえ教頭と、教育委員会でパーソナリティーを務めるとーやま委員(遠⼭⼤輔さん)が登場!
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広島限定のスペシャルゲストとして、TikTok⼥性⽇本⼀のフォロワーを持つ⼈気クリエイター景井ひなさんと、1分前までパフォーマンスをしていた大前光市さんも登壇されました。司会進行は、広島FMのパーソナリティーの大窪シゲキさです。
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景井さんは「初めてです。ラジオを聞いてる方と直接お会いするのが。すごくうれしいです」とコメント。
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その後のトークでは、大前さんが24歳の時、事故に遭い左足を失ったお話に。
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とーやま委員からの「左足を切断することに、どうやって向き合ったんですか?」という質問に、大前さんは「向き合ったのは、退院して普段の生活に戻った時に、義足が使いにくくて踊りにくくて。足をなくしてこんなにも不便なんだと実感してからです。これまでの動き方ができなくなって、挫折しました。でも負けず嫌いだったので。人と同じ方法じゃなくてもうまくなってやろう、みたいなところがありましたね」と当時を振り返っていました。
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さらに、「怪我をしてからのほうが、たぶん必死に考えるんですよね、どうにかせにゃならんと自分で考えることは大切なことだと思います」と、怪我をする前よりダンスが上達したというお話も。
病室で、踊ることを反対していたお父さまが「光市、お前、絶対負けんなよ」という言葉をくれたお話もしてくれました。
大前さん「その時に、どんな形になっても、僕はやっていけると思ったんです。かっこよさっていろいろあるから。それまで思っていた普通には当てはまらないかっこよさだって、絶対にあるはずだって、信じました」
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この日はなんと、SCHOOL OF LOCK!の生徒(リスナーのことを生徒と言います)であるラジオネーム“メグリンチョ”さんもステージに上がってくれました!
メグリンチョさんは以前SOCIAL LOCKS!で、「見た目は女の子だけど、心は男の子の時が多くて、時々違和感を感じることがある」という性に関するメッセージを届けてくれました。
そのとき、ぺえ教頭からの「メグリンチョはすごい強い子だと思う」というコメントに勇気づけられ、高校入学時の自己紹介で、クラスのみんなにトランスジェンダーであることを打ち明けたのだそう。
ぺえ教頭は「自ら環境を作っていってくれてさ。ちょっとでも背中を押せていたら、うれしい」とコメント。
メグリンチョさんも「自分がやりたいとか、自分らしくありたいって思う気持ちに素直に生きていくことが大事だなと思います」という力強いメッセージを伝えてくれました。
出演のみなさんによる恒例の黒板メッセージはこちら!
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大前光市さん
「夢は形を変えて叶えていく」
どんどん形を変えて、新しい夢を叶えていけば、自分に近づいていく。自分のことが好きになっていく。それが、最終的な夢だという気がしています。
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景井ひなさん
「前向き」
普段から嫌なことだったり、悲しいことだったり、たくさんあると思うんです。それをいかに前向きにとらえられるかって、すごく大事だなって。自分の心を擦り減らすよりも、自分でケアしてあげて前向きに考えたほうが生きやすくなるんじゃないかなと思って、この言葉を書きました。
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ぺえ教頭
「わがままに生きる」
人間、生きる環境だったり、感情だったり、置かれている状況もさまざまだと思うので、“我がまま”をしっかりと受け入れて、自分で環境を作っていく。自分を生きられる人生を、皆さんにも、もちろん私も歩んでいきたいなと思って、この言葉を書きました。
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とーやま委員
「今日見たこと、聴いたこと、感じたことを誰かに言う」
知らないことが多い僕たちは、多分、死ぬときにも知らないことだらけだと思うんです。でも、知らない世界をみんながちょっとずつ知ることによって、人にやさしくなれることもある。今日の皆さんのお話もそうですし、大前先生のかっこいいダンスとかも、知っていけば世界は変わるんじゃないかって、マジで思っています。
だから感じたこと、なんでも、誰にでもいいので伝えてもらえたらいいなと思います。
課外授業の様子はSOCIAL LOCKS!レポートもご覧ください
出演直後の景井さんには、コメントもいただきました。
Hiroshima/Voice の記事も、ぜひご覧ください!
大前さんゲストパフォーマンスステージ。境界線が風に吹かれて
14時。大前光市さんのゲストパフォーマンスステージです。
大前さん、ずーっと舞台に立ちっぱなしなのですが、それを感じさせない集中力。ここからさらに5曲通して踊ってくれました。
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大前さんが舞台に出ると、空気が変わるような、風が吹くような、目に見えないものが溢れ出て、観客側の自分に向かって広がる世界をじわじわ味わえるような不思議な気分に。なんとも幸せな時間でした。
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ステージ後に大前さんは「広島が熱かった!」と一言。
DAIKIさんから「今後の活動は?」と聞かれて「好きなことをやる」と答えておられました。
大前さんにはこの直後にインタビューもさせていただきました。
Hiroshima/Interviewもぜひご覧ください。
トラブルも笑顔で包み込む。止まない手拍子のラストパフォーマンス!
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15時半。この日最後のステージです。
CARAVANバスから降り立つパフォーマーたち、コール&レスポンス、ショーケース、バトル、みんなでダンスと1回目のステージと同じ流れなのに、なぜでしょう、毎度胸が躍るのは。これが生のパフォーミングアーツの魅力なのかなと思いました。
途中、音楽が途切れるアクシデントがあったのですが、パフォーマーたちは動じないどころかむしろ楽しんでいましたよね?
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身体から込み上げるリズムで踊り続け、みんながMCでつないで。大前さんもステージに飛び乗り、I4Pからも「みんな見てくれよ!」という声援が。
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お客様の手拍子も止まらず、それぞれに、心がぎゅっと近づくいまこの瞬間を楽しんでいるかのようでした。
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すべての人が影響し合うステージ、この場にいるみんなとだから生まれる空気、こればっかりはここにいないと味わえないものだなぁと感じました。
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最後は、パフォーマーを代表してEriさんと啓太さん、DAIKIさんからのメッセージ。
Eriさん
今日は見てくださって、ありがとうございました。みなさんの表情とか、反応を感じて何度も泣きそうになりました。こういうステージが当たり前にたくさんあって、みんながハッピーになる空間がたくさん訪れたらいいなって、心から思っています。
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DJ徳永啓太さん
曲止まっちゃって本当に申し訳ない! 感極まってる雰囲気だけど、俺今夜寝れないわー。
そうコメントする啓太さんを、メンバーみんなが笑顔でフォローしている中、DAIKIさんを見ると、泣いているー……。
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DAIKIさん
今日、泣かないって決めていたのに……(笑)
僕たちは、障害も違うし、苦労していることも、自分が得意としていることも全部違います。日々、ぶつかり合いながら、今日やっと本当に1つのチームとしてより一層、いいパフォーマンスができたと思います。
トラブルもあったんですけど、皆さんが手で大きな花を咲かせようとしてくれたり、大丈夫ってうなずいてくれているのがここから見えていました。たぶん、種は皆さんの心の中にもうあると思います。それをどう花を咲かせるか、どんな色の花を咲かすかは、皆さん次第で。
普段、障害のある人がいること、目に入ること、全部恐れないでください。知ることは何も間違っちゃいません。知ろうとすることも怖がらずに、友だちになってください。今日空間を作っていただいた人たちは、みんな友だちだと思います。
DAIKIさんはその後、この場にいるお客さま、スタッフや関係者のみなさんにまで丁寧に感謝の気持ちを伝えてTrue Colors CARAVAN in Hiroshimaは幕を下ろしました。少し日が落ちた会場は最後まで熱気に包まれていました。
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CARAVANは次の地、札幌へと向かいます!
今回もすごい熱量で広島でのパフォーマンスを終えたTrue Colors CARAVAN。
次の地は札幌へ!
北海道のみなさま、2022年7月17日(日)にぜひ、遊びにいらしてください。パフォーマーと一緒にCARAVANを盛り上げていただけたらうれしいです。
>True Colors CARAVAN in Sapporo詳細
取材・執筆:平原礼奈(True Colors CARAVAN広報チーム)
撮影:鈴江真也
取材日:2022年6月18日、19日
mazecoze研究所代表
編集者・手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。