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ボラサポが考える、オリパラボランティアが生み出すダイバーシティ&インクルージョンと、その先にある心のレガシーとは?【前編】


いよいよ2020の幕開け。聖火ランナーをやっちゃうぐろです!

皆様こんにちは、mazecoze研究所 研究員のぐろです。
2020年オリンピックイヤーが明けました。
4年に一度の祭典、それも生涯そうないであろう自国での開催。このビッグイベントに乗っかって、良い思い出を作りたいと考えている人も多いのではないでしょうか。 かく言う私も「聖火ランナーやる!」とお祭り気分で言っていたのが、なんと有言実行になってしまい、只今“太もも”“部分痩せ”を鋭意検索中です。(ユニフォームが短パンとは知らなかった…)

でも所詮思い出は思い出。終わってしまえば、そこから発展することはありません。 一方で現在急ピッチに整いつつあるインフラは2020年の後も残る物であり、そこに施された様々なバリアフリー設備はダイバーシティ&インクルージョン(以後D&Iと略)の社会を支えていく社会資源となるでしょう。

ハードの面は今後の社会を見据えたレガシー(遺産)として見える形で残っていく中、ソフトの面はどうなっていくのか?
コラム「まぜこぜだよ 人生は」の7回目「ぐろ、お笑いに挑戦するの巻」でも書かせていただきましたが、車いすが乗りやすいよう工夫されたエレベーターも、車いすを置いてきぼりで先に乗ってしまう人が減っていかなければ、作ったかいがないと思うのです。器が人を作るというのもあるでしょうが、D&Iに関してはとりわけソフトの部分が肝になるものだとも考えます。

そこでソフト、心のレガシーについて深掘りしたく行き着いたのが、2020年開催のオリパラボランティアに向けた研修に携わる日本財団ボランティアサポートセンターさんでした(以後ボラサポと略)

ボラサポさんでは、若者から高齢者、外国人も障害者も含む多様性に富んだ8万人の大会ボランティア(フィールドキャスト)に、D &Iを念頭に置いた研修を受けてもらうべく、取り組んできたとのことで、早速取材に行ってきましたよ。

ボランティアのあり方に向き合う人々

まずは、今回お話をうかがった方々のご紹介から。

日本財団ボランティアサポートセンター事務局長 沢渡一登さん。本取材では沢渡さんを中心に、お話を聞かせていただきました!

広報部マネージャー 倉田伸也さん倉田さんは、今回の取材のコーディネートをしてくださいました

広報部コーディネーター 小久保秀善さん

そしてわたくし、ぐろ。初取材で緊張しています

取材前に今回の大会ボランティアの概要を伺った時、障害や多様性のある方も一緒に働くというところにインパクトがあると受け止めました。
実は20年以上前、私がmaze研のひらばる編集長(今回はカメラマンとして同行w)と初めて出会ったのはユニバーサルデザイン系ボランティア団体共用品ネットでした。そこでは私を含めた他の障害のある方も、健常のメンバーと等しく活動していました。私自身はそれが普通の事と思っていましたけど、その話をすると驚かれる方が多いのです。ボランティアされるのではなく「する側」ですか、と。

全員参加型ボランティアの基盤づくりに奮闘

大会ボランティアの役割は9種類。様々な場所で活躍します

今回の東京2020大会では、ボランティアというものがどのように位置付けられているのか。最初にそこのところからお聞きしようかと思います。

--今回の大会ボランティアの募集では、障害当事者からの応募も少なからずあったということですが、募集段階での取り組みについて教えてください。

沢渡さん「成功した大会と評価されることが多い2012年のロンドン大会では、障害のある方達がボランティアにも約7%参加しています。
日本でもちゃんとアプローチをして、多様な人がボランティアに参加することができるようにと考えてきました。そこでまず力を入れたのが視覚障害と聴覚障害のある方々でした。1番情報が伝わりにくい方々にボランティアに参加してもらうことにすごく意味があると考えたのです」

--具体的にどのようなアプローチをされたのですか?

沢渡さん「視覚障害のケースですと、パラリンピアン(競泳)の河合純一さんと相談を進めました。
視覚障害のある人にとっては自分がボランティアをするということがよく分からないかもしれない。だからオリパラで働くなんて全然想像もできないんだと。もっとイメージが湧くように、自分たちに何ができるか考える機会を作りたいと言っていただいて。
それで2018年の9月、筑波大学理療科教員養成施設という、鍼灸マッサージの教員を養成する所で視覚障害のある方30-40名に集まっていただいて、オリパラってどういうもので、どんなことができるのかをディスカッションする場を作ったんです」

--障害者が受け身になるのではなく、自ら大会を盛り上げるためにできることを話しあったということでしょうか。

沢渡さん「はい。そこでは色々なアイデアが出てきてきましたし、我々も次の様な提言をさせていただきました。
1つは鍼灸マッサージの知識がある、彼らの強みを生かせる機会を作るということ。もうひとつはロンドンの時にあった、障害がある人が活躍するためのサポートボランティアをつけること。そして研修に講師として当事者の視点で話をして欲しいこと。その3つを挙げたんです」

--大会ボランティアの役割として決まっている9種類の中、特性に合った分野で活躍してもらおうということですね。

パラ駅伝でのボランティアの様子(画像提供:日本財団ボランティアサポートセンター)

マッチングの可能性を探るため、2018年11月には、日本財団パラリンピックサポートセンター主催のイベント「ParaFes」のボランティアに視覚障害者にも参加してもらったそうですよ。
話し合いをしながら実体験をする中で、2年目には問題なく動ける状況になり、視覚障害があってもボランティアできる、とお互いに自信を深めたそうです。パラ駅伝などその他のイベントでも、視覚障害者のボランティアを行っているとのことです。

先のボランティア団体供用品ネットで私も視覚障害者の不便さを調査し、ユニバーサルデザイン的アプローチで解決する提案を担うチームにいました。その時に感じたのもまさにそれで、当事者自身が様々な工夫を生み出し、それぞれの不便さを克服しようとしている姿でした。
それは視覚障害者のみでなく、私も含め、他の多岐にわたる障害のある方々でも同様だと考えています。

サポートボランティアの捉え方

--今回は障害があるボランティアの参加に際し、1つ気になるのは、サポートボランティアの果たす役割です。
自らができることでオリパラに貢献したい、社会参画することで自分の可能性にチャレンジしたいと考えている方々に対し、もしお世話係が随時付いて回るのだとすれば、それは逆に「任せてもらえない」「信用されてない」という残念な経験になってしまわないか?という点。そこはどうお考えでしょうか。

沢渡さん「ボランティアのボランティアは本末転倒だと言う話もあると思っていますし、今のお話の通り自立した障害のある方が自分でできるというのは、一番良いと思うのです。
サポートボランティアは、ずっとべったりサポートするのではなく、例えば視覚障害のある方に対しては、会場までスムーズに来られるようにするため、駅から会場までのアテンドをするという限定的なイメージです。あとはチームに入って仕事をするので、チームのメンバーで話し合い、そこで支え合いながらやっていく形が想定されると思います」

--サポートというのは合理的配慮の範疇であると。

沢渡さん「そうですね。視覚障害であれば行動援護は行いますし、聴覚障害であれば研修や説明時に特性にあった情報保障を行うということです。
現場では他にも必要な配慮もあります。例えば視覚障害の場合、会場の空間把握を実際に触ったり歩いたりしてもらう時間を取るために集合時間よりも早く来てもらうとか。 こういう配慮は必要で、そこがなく一緒くたでいいよとなると、取り残されてしまうこともあります。普通の合理的配慮だと思っています」

部外者ながら突っ込ませていただきます

--その通りだと思います。ですがもう1つお節介ながら心配するのは、そのような合理的配慮を当事者以外のボランティアの方が、「特別に配慮している」という受け止め方をしないかというところです。必要な配慮を表面的にしか見ず、「あの人たちだけ特別扱いされている」と受け止める層も世間にはまだいます。
ボランティアの中でもそう受け止める方々がいると、折角のダイバーシティでインクルーシブな活動がちょっと傷ついてしまうのでは?

沢渡さん「そうならないような内容の研修が用意され、すべてのボランティアの方々が受講します。D &Iとコミュニケーションに力を入れたプログラムとなっています」

ボラサポが携わる研修プログラムについて語り始める沢渡さん

なるほど、D&Iとコミュニケーションがキーワードになる研修。具体的にどのような内容なのか、俄然興味が湧きました。
後編では、今大会のボランティア研修の内容について、そしてボランティア活動がその後の日本社会にもたらすであろうレガシーについてご紹します。

(取材・執筆 ぐろ)

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