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日本で一番ヘアドネーションを応援している美容室に、善意でつながる「次世代ヘアドネーション」について聞きました(前編)

ひらばる れな │ 2019.09.30

ヘアドネーションの現場に潜入!

こんにちは。mazecoze研究所です。
みなさんはヘアドネーションってご存知ですか?

ドネーションは“寄付”という意味なので、ヘアドネーションは “脱毛症や乏毛症、小児ガンなどの治療や外傷等、何らかの事情で「頭髪に悩みを抱える子どもたち」に、ヘアドネーションによる献髪のみで作ったメディカル・ウィッグを無償提供する”取り組みのことをいいます(JHD&Cより引用)。
著名な女優さんがヘアドネーションしたというニュースを見たり、テレビやsnsで話題になったりと、聞いたことある、という人も多いのではと思います。

しかし! ヘアドネーションを実際にやっていたり、周りの人にその意義を語れる人はまだまだ少ないはず! 我々もそうでした!

そんな中、maze研のワークショップなどで大変お世話になっている教育コーディネーターの竹丸草子さんから「近々ヘアドネーションをしたいと思うんだけど、取材してみませんか?」とお声がけが。それはもう、ぜひ、お願いします!
ということで、早速ヘアドネーションが行われる現場にいってきましたよ!

うかがったのは、二子玉川にある美容室「55JET ai HAPPY HAIR MAKE」さん。

地元の人に愛される地域密着型サロンながら、月に約50人ものヘアドネーションカットをしているのだそう。55JETさんは、おそらく日本で一番ヘアドネーションを応援している、ヘアドネーション賛同サロンなのです。

知っている、から、やってみるへ

早速、竹丸さんのヘアドネーションの一部始終を見学させていただきましょう。
カットを担当してくれたのは、美容師の廣瀬絹代さんです。
廣瀬さん、よろしくお願いします!

まずは、カウンセリングから。
ヘアドネーションではヘアドナー(毛髪提供者)の髪をバッサリ切るので、新しいスタイルにも満足してもらえるよう、丁寧なカウンセリングを心がけているのだそう。
二人とも久しぶりの再会だそうで、和気あいあい。

寄付できる髪の長さは、31センチ以上。なんだか半端な数字ですが、フルウィッグに使う毛髪の国際基準である12インチをセンチメートルに換算すると、30.48となりそれに合わせているのだそうです。
写真に写っているのは、55JETさんのオリジナル31センチメジャー!

ここで、大事なポイントを教えてもらいましたよ。
ヘアドネーションする髪は、完全に乾いていることが鉄則です!
生乾きだとカビが発生して、発送時に他の髪までカビて大惨事になってしまうからだそうです。
ご自宅や行きつけの美容室でカットする場合にも、必ず乾いた状態でお願いします。なにとぞ。

「髪、こんなに長いですよー」髪の長さをスマホで撮って、竹丸さんに見せる廣瀬さん。
「くせ毛だけど大丈夫?」と気にしていた竹丸さんですが、ヘアドネーションでは髪色や髪質を問わず、クセ毛やブリーチをしている髪でも、規定の長ささえあれば、老若男女誰でもヘアドナーになれるとのこと。

続いて、髪を結んでその1センチ上でカットしていきます。
かなり細かく結んでいますが、小分けにすることで、31センチ以上長くとれる部分が出てくるからなんですって。
「少しでも長く、いただく髪を無駄にしない」というプロの気くばりを感じます。

人毛のウィッグの魅力については、「何といっても質感ですね。化繊のものとは柔らかさや風合いが全く違うんです」と廣瀬さん。
お子さんの肌に直接触れるものだからこそ、柔らかな人毛のウィッグを届けたいという思いで、皆さん活動されているのですね。

いよいよカットです!
まずは、断髪式風に竹丸さんにハサミが手渡されます。55JETさんでは、はじめのカットは本人にさせてくれるのだそう。これは記憶に残りますねー。

その後は廣瀬さんの手によって素早くカットが進み、あっという間にドネーションカットは完了!
竹丸さん1人分の髪で写真くらい。
意外に少ないなぁ、と思っていたら、フルウィッグを作るには20-30人分のヘアドネーションが必要なのだそうです。知りませんでした!

ヘアドネーションのカットは、賛同サロンだけでなく、自宅や行きつけのサロンでしても良いそうで、意外と気軽にできそうです。

髪の送り先や賛同サロンは、下のリンクよりご確認いただけます!

髪の毛を送る
賛同サロンを探す

今回初めてヘアドナーになった竹丸さん。新しいヘアスタイルも素敵です。
ドナー体験をしてみて、いかがでしたかー?

竹丸さん「髪型が決まらずに伸ばし放題だった髪を、どうせならヘアドネーションのために伸ばしてみようかな、と、気楽な感じで伸ばしてきました。
最初のカットの時は、ハサミを持たせてくれて自分で切ったり、その髪を丁寧に見せてくれたりと、ちょっと特別な気分になりました。髪を提供する人にもありがとうの気使いが感じられて、ヘアドネーションを大切にしているお店の想いにも触れた気がします。提供する側が楽しんでニコニコできることも、大切だなあと思いました。
ふつうと特別のバランスが、提供する側が上から目線にならないポイントかもしれません。こういうことが普通に循環していくのが良いなと思います
どんな子どもに届くのか、たのしみです」

ヘアドネーションの現場では、美容師さんがドナーの方としっかりコミュニケーションをとりながら、ふつうと特別のほど良いバランスが生み出されていました。
廣瀬さん、竹丸さん、見学させていただきありがとうござました!

ヘアドナーの前と後ろをつなぐ長い工程

 

画像提供:55JETさん

ヘアドネーションに、ヘアドナーが直接関わる工程はここまでですが、ウィッグとしてお子さんの手元に届くまでには、前にも後ろにもにもさらに長い道のりがあります。

はじめに行われるのが、職人さんによる頭の計測です。
ウィッグを必要とするお子さんであるレシピエント(価値があるものを受け取る存在という意味で、レシピエントと呼ばれるそうです)からの申し込みを受けて、メジャーメンドと呼ばれる計測を行って、その子にあったオンリーワンウィッグの設計をしていきます。

そして、先ほどの髪のカット工程があって、寄付された髪はインドネシアの工場へと送られます。
工場では、キューティクルをなくしたり、中和したり、染毛するなど特殊なトリートメント処理加工が施され、均一のサラサラな髪質に。

ここでいよいよウィッグの形に植え込まれていきます。作られるウィッグは、お子さんの免疫が下がっている場合にも配慮して、安全性の高い医療用メディカルウィッグの規格認証を受けているのだそう。

できあがったウィッグはお子さんの元へと送られ、スタイルカットができるお店でそれぞれに合うヘアスタイルが作られて、やっと!完成!

たくさんの人の手を介し、時間もお金もかかるこれらすべての工程が、現在はヘアドナーからの髪の寄付や、賛同サロンのボランティア、サポーターの寄付によって無償で行われています。

お子さんの手にウィッグが届くまでにはとても長い時間がかかることもあり、いまもたくさんのお子さんがウィッグを待ち望んでいるのだそう。
髪そろそろ伸びてきたなぁ、どうしようかなと思った時には、もっと気軽にヘアドネーションを検討してみませんか!?

後編
では、55JET代表の當間紀之さんに「次世代型ドナースタイル」についてお話をうかがっていきます。

 

(mazecoze研究所 編集部/取材・撮影・執筆協力 ハル)




研究員プロフィール:ひらばる れな

mazecoze研究所代表・編集長
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育会社にて障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。
ダイバーシティプランニングを行う「hullabaloo」代表、ソーシャルデザインのしくみをつくる「PReNippon」共同代表、ノウフクPROJECTファシリテーター、久遠チョコレート広報など、様々なプロジェクトを推進。

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