【我が社のmaze道〜クックパッド株式会社編〜】
第1回:キッチンで交差して。日本の食卓を支えるクックパッドのおいしくつながる働き方
第2回:食欲と好奇心を刺激する「クックパッドニュース」制作秘話!
第3回:社員の暮らしをまるごと受け入れ、その人らしい働き方を後方支援!
前回はキッチンに夢中になってしまったmaze 研一同でしたが、大人の社会科見学はまだまだ続きます!
今回は、読むと食欲がむくむく湧いてくるという噂の「クックパッドニュース」制作秘話を、ニュース編集部の小菅さんと金さんにうかがいます!
読むとお腹が空くニュースの誕生
「クックパッド」内のレシピ数が150万を超えた2年半ほど前に、サイト内に蓄積されたレシピをもっと発信していこう! と立ち上げられたのが「クックパッドニュース」です。 「ユーザーさんのレシピをベースにして、トレンド、節約・マネー、裏ワザなどさまざまな付加価値をプラスした記事を作っています。クックパッド内ではわりと珍しいプッシュ型サービスなんです。家で作ってみたい、シェアしたいという好奇心がかき立てられるようなニュースでありたいと、心がけています」と小菅さん。 「読んでいてお腹が空くようなおいしいニュースを配信しよう」を合言葉に、クックパッドニュース編集部が一丸となって毎日配信しています。企画力の陰にビッグデータあり
現在1日に20本前後の記事が配信される「クックパッドニュース」は、編集長含め6名の編集部メンバーの手によって生み出されています。一人が一週間に担当する企画数を考えただけでも息切れしそうですが、少数精鋭で立ち止まることなくバズる記事や食のブームを席巻するその企画力は一体どこから? 「本やテレビからも情報を取り入れていますが、クックパッド内の動きに非常に注目しています。たとえば、直近で10 件のつくれぽ(ユーザーによる作りましたフォトレポート)がついたレシピからトレンド傾向を読み取ったり、クックパッドのビッグデータサービス「たべみる」を利用したり。検索窓にどのような言葉が入れられているかが一日単位で把握できるので、企画や記事に素早く反映することができるんです」と小菅さん。220 万レシピの動向をくまなく検索して、ニュースにアレンジしているのですね。時代に即した表現を模索
ニュースでは、世の中で流行しているキーワードとからめたり、見た目がおもしろいレシピにキャッチーな名付けをしたりと、読者の心をギュッとつかむ工夫も怠りません。昨年ニュースからヒットした「スタンディングねぎ鍋」も、ネット系男子に火がつき瞬く間に広がっていきました。 ニュースを読んでいて気づくのは「材料2つ」や「5分でできる」など、簡便さをウリとする記事が多いこと。 「配信しながら傾向として掴んでいったことなのですが、クックパッドのユーザーさんには時短で、材料や工程が少ないレシピのウケがいいんです。共働きの世帯が増え、忙しい中でいかに効率的においしい料理をつくるかという思いを感じます。そうした時代のニーズを敏感に吸い上げるよう気をつけています」と小菅さん。「スタンディングねぎ鍋」しかり、ニーズに則したレシピの中から思いもよらない振り切ったアイディアが生まれることもあり、それが意外な層に刺さって拡散していく現象がたびたび起こることも面白みの一つなのだそう。生活者としての視点を活かす
編集部メンバーのいち生活者としての視点も、もれなく記事作りに活かされています。 「料理って毎日とつながっているものなので、自分の実生活を振り返って、そういえば昨日行ったスーパーであの食材が出てたな、この切り方分からなかったんだよね、という気づきを企画に落とし込むことも多いですね」と言う小菅さんの一番の情報収集スポットは、スーパーマーケット! 売り場の面積から品揃え、価格、特設コーナーまでくまなくチェックしているとのことで、恵比寿界隈のスーパーで目を光らせている人がいたら、万引きGメンか小菅さんかもしれません。 ちなみに驚きなのが、編集部のみなさんはほぼ毎日自炊をしているということ。仕事を終えてスーパーに寄って、情報収集を兼ねて自分や家族のごはんづくりをするのだそうです。 「忙しい日には、ニュースで取り上げた“材料3つでOK”とか、“10 分でできる”というレシピが大活躍します。自分自身が体験することで、同じ境遇の働くお母さんにも役立つ情報を届けられているんだなと実感できて、モチベーションが高まりますね」と金さん。まさに仕事とプライベートが「食」を通じてまぜこぜです!実行したら、検証して因数分解
記事を配信したら、効果測定も怠りません。毎日、朝会で前日の数値を確認しながら振り返りを行います。一記事ずつ読者の反応を見て、なにが受けたのか、タイトルなのか、企画なのか、メイン写真の美味しそうな感じだったのかなど、要因を探っていくのだそう。 「ヒットした記事があれば、シェアキッチンで実際にそのメニューを作ってみながら、さらにアレンジしたり、行程やポイントを細かく紹介する記事として追加発信する記事を作成することもあります」と小菅さん。シェアキッチンは、ニュース作りにも活かされているのですね!メンバーでつながる時間も大切に
毎日忙しい編集部ですが、毎週木曜はシェアキッチンでチームランチを楽しんでいます。みんなが社にいるランチタイムは大切なコミュニケーションの時間。チームの皆で冷蔵庫にある食材を使って食べたいものを作り、一緒に頬張るだ けでいっそうチームワークが深まるのだそう。 たまたま取材日はチームランチの日。のぞいてみると、生ハムサラダ、鶏むね肉と野菜たっぷりのお鍋、アボカドフライにデザートまでクオリティの高いこと! ビジュアルの美しいこと! そして、みなさんほんとに仲がよさそう~。 ちなみに、外部ライターとして「クックパッドニュース」の記事を書いているひらばるですが、産後そろそろ仕事をはじめたいな、と思っていたタイミングで声をかけてくれたのが小菅さんでした。その頃まだ娘の保育先が決まっていなかったために相談すると、赤子連れでの打合せを快諾くださり、無事に執筆スタート。定期的に勉強会やおいしいものを食べる会を開催してくれたり、ライター陣に週間ヒット記事の解説やお役立ちネタを提供する「ニュースライターズメルマガ」を発行してくれたりと、編集部のみなさんのホスピタリティにはいつも感動しております。 >>>次回は働きやすさを支援するしくみについてうかがいます! (撮影:木内和美 取材・文:ひらばる れな) クックパッドニュース たべみる研究員プロフィール:平原 礼奈
mazecoze研究所代表
手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。