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「NO RULE」でアメーバー。不思議なトライアングルが織りなす、Barbara Poolのつながり方。【後編】

平原 礼奈 │ 2017.05.19
前編では、バーバラプールの皆さんのご活動と、メンバーの参画のきっかけについて伺いました。今回は、バーバラプール流の働き方の秘訣についてうかがっていきます!

秘訣は「NO RULE」

みなさんが独立して劇的に変わったのは、「スピード」だと言います。企業にいると、新しいことをするのに上申して一週間以上はかかったり、新たなプロジェクトの立ち上げには数年を要することも。 「社会って恐ろしいスピードで進化してるので、前職では上申して待っているうちに、状況がどんどん変わってしまうことがありました。今は、クライアントに向けて動いて決定するスピードがものすごく速くて、昨日話して今日にはもう決まっているなんていうこともよくあります」と福留さん。 ひらばるが彼らと一緒に仕事をして印象的だったのは、バーバラプールという組織に属しながらも、それぞれが代表者であり、フリーランスのような働き方をしているように感じたこと。 「NO RULEなんです。私、ルールがあると逃げ出したくなっちゃうんですけど(笑)ルールがないと、自分自身に返ってくるので、やるも自分、やらないも自分。自分が取ってきたプロジェクトは自分で責任と権限を持って担当して、それぞれの責任の所在が明確です。もちろん法律など侵してはいけないこともありますが、それ以外であれば、人が人を縛るということ自体、時代に合っていないかなぁと感じます」と井上さん。

自由だけど、つながっている

では「NO RULE」の中で、完全な個人としての活動でなく、組織に属していることの価値は何なのでしょうか? 「会社であってよかったなと思うのは、ちょっと大きいことをしようとした時の母体があるということですね。フラットに働きながらも、会社という受け皿がある安心感に勇気づけられます」と井上さん。 「自分がやってるプロジェクトには、どうしてもどっぷり浸かってしまうのですが、客観的な意見を聞けることや、それぞれ得意な範囲がバラバラなのがいいですね。自分の場合、企画をするのは好きで、予算を決めたりするのは得意でないので、そこはフォローしてもらっています」と廣部さんも続けます。 月の半分以上は九州にいる廣部さんが、東京に来た時に打ち合わせをして、福留さんがバーッと必要資料を作って持たせて帰るのだそうですよ(笑) 3人集まれば不得手なことはカバーでき、一人では見えない世界が見えてくるのですね! 「あと、これほどリモートワークが発達した時代で、あえて対面することって大事だなぁと。メッセンジャーって便利だけど、流れていっちゃうんです。会って話すと、言葉では伝えられないことも伝わって。デジタルの良さの恩恵は受けながらも、対面での良さも大切にしたいですね」と福留さん。
「“バラバラ”プールにならないような工夫もしているんですね」と言うひらばるの隣の人は一体……(実はすごい人ですが、今回は謎のままにしておきます)
やはり、会って話すと集中の度合いと仕事の進行速度は加速するようで。モリソラという拠点もできて、「いまはここで皆と共有したい、話したいと自然と思うようになった」と皆さん口々におっしゃいました。デジタルとアナログが交わった、自由につながるいろいろな在り方が魅力的です!

アメーバーワークを推進

バーバラプールと関わっているのは、3人だけではありません。国内外のクリエイターとプロジェクトベースでつながって、幅広い活動を展開しています。 「ローカルとグローバルは今推進しているテーマで、イギリスやフランスにもパートナーがいます。活動を拡げるにあたっては、いかに自分たちの身を普段から軽くして、変化に対応しながら周りの人たちともつながっていけるかというところが重要だと思います。私たちはそれを “アメーバーワーク”と言っているのですが」と福留さん。 なるほど、その時々の状況にあったスタイルで形を自在に変化さるアメーバーな働き方! 今では、このアメーバースタイルや、フットワーク、スピード感を求めるクライアント・パートナーは多く、これまでマイナーだった働き方がマジョリティになっていくのを実感しているのだそう。
バーバラプールの皆さんはコーヒーが大好き。コーヒーの達人が選んでくれるという、美味しいコーヒーを淹れてくれました。有田焼の器も素敵!
最後に、3人がこれから目指していることを聞きました。 「いま、日本は団体より個が大なりになってきていると感じます。これは目に見える以上に大きな変化で、挫折する方もいると思うし、ハードルは高い。心身ともに疲れて孤独な人に、自分たちがおこがましくメッセージを発信するのではなく、私たちがやっている具体的な活動で、こんな生き方があるんだと思ってもらえたらうれしいですね」と福留さん。 途中でどこかに消えてしまった自由人廣部さんは(笑) 「プロジェクトベースでの働き方をもっと広めていきたいですね。自分たちだけでなく、相手も。数年後には、また新しいことができていると思うので、社会全体に同じような人たちが増えていたらいいなと思います」 バーバラプールの創設者である井上さんは、 「誰でも、ライフスタイルが変わると、ネットワークが一時的に断絶してしまうことってあると思うんです。NO RULEで枠を全部取り払ってしまえば、違っちゃってもいいんだと感じられるのではないかと。ちょうど新しい働き方などの時代の変化で、私たちは恵まれた環境にいると思います。だから、この経験と価値観をどんどん広げていきたいですね。シニアやママさんなど多様な環境にある人や、企業に勤めている人とも何か一緒にできるようなきっかけもどんどん作っていきたいです」と井上さん。 バラバラになる良さも、つながる良さも体感しながら、地域を軸に、社会を変える働き方を推し進める3人。すごい勢いながら、自分たちの価値観を押し付けることは決してしない柔らかさも持ち合わせていて。まさにこれからの世の中を切り拓く人たちなのだな、と眩しく感じました!
恒例の集合写真!

バーバラプールモリソラ (撮影:山田憲史 取材・執筆:ひらばるれな)
研究員プロフィール:平原 礼奈

mazecoze研究所代表
手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。

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