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Kitakyushu/Voice:CARAVAN Performersがいま感じていること

平原 礼奈 │ 2022.10.11

※この記事は、mazecoze研究所が「True Colors CARAVAN」広報チームとして企画制作した“マガジン”を、当メディアにも転載するものです。True Colors CARAVANの開催と連動して随時連載いたします。

D&Iの種をまくCARAVAN Performers

こんにちは。True Colors CARAVAN広報チームの平原です。
ここまで色とりどりの感性で全国各地にダイバーシティ&インクルージョンの種をまいてきたCARAVAN Performersのみなさん。
それぞれがいま感じていることは? 自分にとっての「居心地の良い社会」とは? 最終地点の一歩手前となった北九州で聞きました。

CARAVAN Performers

Vol.8 True Colors CARAVAN in Kitakyushuレポート!
Kitakyushu/Interview:ゲストアーティスト GOMESSさん
Kitakyushu/Voice:CARAVAN Performersがいま感じていること ▶︎▶︎この記事

DAIKIさん(CARAVAN Performersリーダー/振付・演出)

-東京での出発式から名古屋、広島、札幌、大阪、ここ北九州と巡ってきた中で、DAIKIさんがいま感じていることを聞かせてください。

DAIKIさん
次の別府が最後ですね。一見同じことをやっているんですけど、おもしろいくらいに毎回色が違うんです。ゲストやコラボする地元の方々など、誰が隣にいるのかによってステージの作り方が違うし、それぞれの希望も乗せてくださって、ステージって生きているものだなって実感しています。
僕は感動するものを作りたいので、その思いを伝え続けようとすると、不思議と毎回泣いちゃうんですけど(笑)
なんで泣いちゃうんだろうって考えたときに、毎回違う人がいて、それぞれのドラマがあるからだろうなって。そうするとステージから見える景色も変わってきて、それが僕の中で感動としてぐっと湧き上がってくるんです。
あと、パフォーマーも、スタッフも、このチームでここまでこられたのが大きくて。北九州でお別れするテクニカルチームや事務局の人もいて、それがすごく寂しいんですけど。純粋にみんなのことが大好きになっています。自分が寂しいと思えるプロジェクトになれてよかったなという気持ちで、別府も変わらずタネを撒くだけです。

-回を重ねるごとに、CARAVANで起こっていることが、場にいる人の間で響き合う感覚が強まっているように思います。DAIKIさんの感じ続ける心の熱量が、それを後押ししているのだなぁとも。いまではスタッフもDAIKIさんが泣くのをわくわくしながら待ってますし(笑)
DAIKIさんにとっての「居心地の良い社会」とは、どんな状態ですか?

DAIKIさん
「障害あるなし関係なし」とかそういう言葉をわざわざ言わなくても、日本中、世界中であたりまえにCARAVANのようなイベントが起こっている状態ですね。
そこには自然に低身長症の人や車椅子を使う人がいて、車椅子の人が踊っているから感動するのではなく、ぜんぶが一つの「表現」として人の心を動かしている世界になったらすごくいなと思っています。
誰もが純粋に宴をして楽しく話したり踊ったりしている社会、それが僕の目指したい世界のあり方で、それを伝えたくて本気で表現し続けています。

かんばら けんたさん

-かんばらさんは、いまどんなことを感じていますか?

かんばらさん
ついに終わりが見えてきたという感じです。長かったなって。寂しいとか、実感はまだあまりないんですけど。約半年のCARAVANは、初めは新しく作り上げるいろいろがしんどいこともありましたが、だんだんと楽しくなってきました。各地でコラボするゲストアーティストの方や、地域で活動されている方々との出会いがCARAVANの魅力だと思います。
今回の北九州にはGOMESSくんが来てくれるのですが、彼とはずっと前から一緒にやってきて、探り探りの状態から阿吽の呼吸になるまでいくつもの修羅場をくぐってきた仲なんです。ここでまた交差できたことが嬉しくてならないですね。

-とても楽しみです。大雨の札幌CARAVANでは、水しぶきをあげながら全身全霊でパフォーマンスするかんばらさんが印象に残っています。どんな状況も表現に変えるパフォーマーの感性とステージを生で体感できるのは、毎回とても贅沢な時間です。
かんばらさんにとっての「居心地の良い社会」は、どんな社会でしょうか。

かんばらさん
自分に障害があるから気づけたことなのですが、よく「困っている人がいたら助けましょう」って言うけれど、逆に「助けて欲しかったら助けてって言っていいんだよ」っていう社会が正しいのではと思っています。
たとえば僕の妻が「ベビーカーを押している時に扉を開けてもらえなくて大変だった」ということを話していたことがあって、そのときに「助けてって言えばお互い気持ちよく終わっていたんじゃない?」と。人に迷惑をかけちゃいけないという気持ちが先行してしまうのも、いまの社会の状態を表していると思います。
居心地のよい社会になるためには色々な視点がありますが、助けてって言ってもいいんだというのがもっと広がることも一つの要素ではないでしょうか。社会から見捨てられる人が少なくなれば、信じられないような事件やいじめも減ると僕は信じているので。
CARAVANでも、みんなが多様で違うからこそ生まれるパフォーマンスをするから、見てくれた人に「違うのがあたりまえで、おもしろいんだ」という感覚を伝えられるのだと思います。だれもが世の中にあるさまざまな違いを認められる、そんな状態になればいいなと思っています。

かのけんさん

-かのけんさんは、いまどんなことを感じていますか?

かのけんさん
一期一会でCARAVANが続いてきました。地域の方々との出会い一つひとつを大切に、最後まで噛み締めていきたいです。どこか寂しい気持ちがあるのがいまの正直な思いですね。

-かのけんさんにとっての「居心地の良い社会」とはどんな状態でしょうか。

かのけんさん
一人ひとりが特性の違いを超えて、人として向き合えている状態です。
たとえば僕の場合、耳が聞こえないというとなにか異なるもののように見られることがあります。でも、もっと大きな視点から見ると、たとえば価値観の違いや性の違いなど、生きている以上誰もが違いを持っているし、生きにくさだってそれぞれにありますよね。他の人と自分が違うのは当たり前。それを認め合った上で、ありのままの自分を大事にできる社会が、居心地の良い社会だと思います。

-かのけんさんのパフォーマンスは、身体の動きだけでなく表情と醸し出す空気まで、かのけんさんらしさに溢れています。はじめからそうだったのでしょうか?

かのけんさん
いえ・いえ(かのけんさんには手話でお話を聞きました。ここで “家”の手話を2回繰り返す手話ジョーク!)
僕自身、自分が何者かわからないという葛藤を持っていたことがありましたよ。
ダンスにしてもはじめからいまのスタイルだったわけではなく、音に合わせて同じ振り付けをピシッと揃える踊り方がかっこいいなと、そうしていたこともあります。
それからパフォーマンスだけではない色んな経験やチャレンジをして、上手い下手ではなく、自分の心の中にあるものをありのままに出せるようになってきたときに、「かのけんらしい」と言われるようになったんです。葛藤があったからこそ今があると思います。
自分のありのままでいられる社会って居心地がいいよね、というのをこれからもパフォーマンスを通じて伝えていきたいですね。

Eriさん

-True Colors CARAVANがここまで巡ってきて、Eriさんはいまどんなことを感じていますか?

Eriさん
CARAVAN Performersは、表現をする人というカテゴリーは同じでも、考え方や価値観はもちろん、練習の仕方やカウントの取り方まですべてがバラバラなメンバーなんです。バラバラな人たちがチームとして組むと何が起こるかというと、すごく衝突したんですね(笑)ここは自分と考え方が違うなとか、そういう取り方をするんだなっていう違和感を心にしまい込んで、小さく積み重ねていたときもありました。ボタンをかけ違えたような状態が続くと、気づいた時には後戻りできないということもありますよね。
でも私たちはそうなったときに、「やっぱりそこ考え直した方がいいよね、もう一回戻ってみようよ」って、ゼロから考えていくことを選択できたんです。
自分たちは違うのが当たり前だから、もう一回作っていこうと途中で軌道修正することができるこのチームに、メンバーとして入れたことをとても幸せに感じています。

-CARAVAN Performersの関係性も、ステージを重ねるごとに深まっていったんですね。ちなみに軌道修正したのはいつごろのお話でしょうか?

Eriさん
いまもずっとです(笑)戻って進んでを繰り返しながら。はじめに比べるとみんな自分の考えを言うようになりましたね。そう言い合える関係になれたのかなって思っています。

-Eriさんにとっての「居心地の良い社会」とはどんな状態でしょうか。

Eriさん
いまのお話ともつながっているのですが、「自分と違うな」という思いを自分の中だけに溜めておくのではなく、自分と人が違うのは当たり前のこととして、その中で一つひとつコミュニケーションを取っていける関係を築いていくことが、結果的に自分にとっても居心地のよい社会になると思います。
壁がゼロであるべきというのではなく、壁があっても人によって柔軟に合わせたり変えたりできたらいいんじゃないかなと思います。

テコエ 勇聖さん

-テコエさんは、いまどんなことを感じていますか?

テコエさん
なんだかんだでもう半年くらい経つんですよね。自分のマインドの変化を感じる部分は色々あるんですけど……それがいい変化なのか悪い変化なのか、自分の中でまだ落とし込めていないのが正直なところです。

-何か葛藤があるのでしょうか?

テコエさん
生きにくさを感じている人がいることは意識するようになったんですけど、かといって自分にできることが増えたかというとそうでもなく。意識はできたんだけど、意識しただけで結局なにもできていない自分に罪悪感を感じるようになったというか。じゃあ僕になにができるんだろう、というのを考えています。

-それは、テコエさんにとってダイバーシティ&インクルージョンというものが自分ごとになっているということではないでしょうか。

テコエさん
そうかもしれません。どうやって行動に移して意味のある成果を出していけるのかを意識しながら活動を続けていけたらなって思います。CARAVANは楽しんでいますけど、真面目な話になるとむずかしいなー!

-テコエさんはリハーサルや舞台裏でも、メンバーや緊張している地域のダンサーさんによく声をかけて場をなごませていますよね。そういうのもテコエさんだからできる行動ではないかと……。

テコエさん
ちょっとはありますね(笑)シーンとした現場より、だれかがわーきゃーやっていたほうがいろんな声もでやすいし、おしゃべりもしやすいなと思って。

-テコエさんにとっての「居心地の良い社会」とはどんな社会でしょうか。

テコエさん
ヘルプを求めることや、いろんなことをカミングアウトしやすくなる世界が、居心地のよい社会なのかなと。
たとえば障害のある人で、できることは自分でやりたいし、できないことはヘルプしてほしいと感じている人がいると思うんですけど、でもいまはそれを言いにくい世の中だと思うんです。あらゆる人があらゆる面で声を出しやすい世の中になると、言う側も言われた側も生きやすい世の中になるんじゃないかなと。
でも、声があがってもそれを支えられるスキルや社会の受け入れ態勢がないといけないですし、発言しやすい空気感や雰囲気とともに、社会の意識変換も、双方向に大事だと思います。

HARUKIさん

-True Colors CARAVANが恵比寿の出発式から始まって、ここまで続いてきました。HARUKIさんはいまどんな気持ちですか?

HARUKIさん
ここまで来られて嬉しい気持ちです。でも、最後が見えてきて、終わっちゃうのが寂しいという思いも少しあります。

-HARUKIさんが心地よいな、と思うのはどんなときですか?

HARUKIさん
落ち着けるときというのは特になくて。自分がどう生きていいのかわからなくなるということはあります。

-CARAVAN Performersのマネージャーでもある、お姉さんの美咲さんからも札幌でお話を聞きました。家族総動員でHARUKIさんのステージを応援していると聞いて、素敵だなと思いました。

HARUKIさん
家族はすごく大切だなと思います。僕にとって家族は、気持ちを穏やかにしてくれる存在なんです。

YU-Riさん

-SOCIALWORKEEERZよりNAGAさん、TOMOYAさん、ARISAさん、なかさんがこれまでCARAVANをつないでくださり、ここ北九州でYU-Riさんが初参加です。どんな気持ちでここにいらっしゃいましたか?

YU-Riさん
これまでの公演も見ていて、すごく感動を生むステージだなと思っていたのでわくわくしています。
せっかくの北九州、今回コラボするパフォーマーさんたちともこのご縁で繋がりたいと思いますし、それがお客さまにも届くといいなと思っています。

-YU-Riさんは、SOCIALWORKEEERZの副代表も務められています。福祉系のお仕事をされているのでしょうか。

YU-Riさん
大学で福祉を学びました。いまはインストラクターや、舞台の演出、出演などダンサーとして活動をしています。

-プロフィールに“二児の母となり”と書かれていたのですが、お子さんのことも少しうかがっていいですか?

YU-Riさん
はい。上の子が2歳ちょっとで、下の子が5ヶ月です。

-え! まだそんなに小さいのですね。

YU-Riさん
今日は、東京で夫に預けてきました。父ちゃん頑張れって(笑)今回、出張のために卒乳もしてきました。

-そうだったのですね。取材をしていて気づいたのですが、CARAVANには、いろいろな調整をして、またご家族の応援があって初めてこの場に来られている人がたくさんいます。みんなが安心して参加できるように一生懸命各種調整をしている事務局や制作チームの人もいます。だから各地の会場でみなさんに会えたときに私、毎度感動するんですけど。YU-Riさんも北九州に来てくださってありがとうございます。
いまYU-Riさんにとっての「居心地の良い社会」とは、どのような状態の社会だと考えますか?

YU-Riさん
私にとっては、自分も相手も仮面をかぶらずにいられる社会かなと思います。
自分だけでなく、相手も居心地が良いと感じあえる状態が伝染していけるといいなと。たとえばケアやサポートが必要だったらそれを教えてもらって、あっそうなんだって必要なことをしあえるような。もちろん自由でいいんですけど、自由な中にもお互いに気遣い合える、そんなイメージです。
ここにいるパフォーマーとはその雰囲気を共有し合っているように感じるのですが、ステージを見ていただいた人にも、帰った後にそんな空気を持ち帰っていただけたらいいなと思います。

徳永 啓太さん

-CARAVANが北九州まで来て、いまどんなことを感じていますか? 啓太さんにとっての「居心地の良い社会」とはどんな状態の社会ですか?

啓太さん
CARAVANで僕自身が学んだことは、「人に頼る」ということでした。
僕は脳性麻痺という障害だけど、東京で一人暮らしをしているので、遠征先でも一人で準備や体調管理はできます。でも人の倍の時間がかかり、歩ける人よりも早く起き、早く行動しなくてはいけないんですね。そうすると寝る時間が短くなって自分のパフォーマンスにも影響がでてしまうことがあって。
CARAVANでも途中までは自分でなんとか全部やっていたんですけど、僕の準備が遅れているときにテコエくんが心配して寄ってきてくれたんです。そのとき、頼ったほうがいいなって思いました。
今日も本番前リハーサルの2時間前に起きないと間に合わないところをギリギリになってしまったんですが、テコエくんが部屋に来てくれて。いつもの自分なら間に合ってませんしスタッフに迷惑かけたと思います。でもメンバーのおかげでリハーサルに間に合ったということは、一人で頑張るよりも誰かに頼ってプロジェクトを成功させることが大事だなと。
このプロジェクト自体が「共生」を目指すものですよね。自分もマイノリティの当事者だけど、各地に来てくれたお客さまに伝えるだけでなく、自分も誰かに頼っていかないと共生社会は生まれないなと。逆にHARUKIくんがどうしたらいいか迷っていたら側にいたり、かんばらくんとは身体障害者用トイレの情報を共有しあったり僕ができることもある。お互いに頼り合える関係性があることが大事なだと思います。このプロジェクトに関わって、だんだんと居心地がよくなっている感じがするんです。

-啓太さんにはじめてお会いしたのは4月の恵比寿での出発式でした。そのときのインタビューで「不安や違和感があります」ってはっきり言っていたのが印象的でした。CARAVANをご一緒する中で、自分や社会の違和感を無視せずにしっかり持つ思いの深い方なんだなと勝手ながら感じていて。めちゃくちゃ優しいですし。今日お話を聞いて、啓太さんの中での境界が以前よりも溶けていっているのかなって感じも受けたのですけど。

啓太さん
例えば前日のリハーサルが終わって、みんなで夕食へ行ったりしてるんですが「今日は体調が少し悪いから帰って一人で整えたいなぁ」とか自分が少し我慢すればいいことを正直に吐露するのって、勇気がいるし調和を崩してしまって迷惑かけるんじゃないか思ってしまいがちですよね。でも大事なことってそうじゃないって思えるようになりました。自分を吐露できる関係になってきたってことかもしれません。これって僕だけじゃなくて社会で生きているとそういう場面に出くわしてしまうことってあると思います。
僕は今でも正直、「多様な社会を目指していこう」ということに対する違和感を持っています。調和を求められるからです。それぞれが生きていく社会で調和って難しいと思っていて、文字通り「和」を作ると省かれる人が必ずでてくると思います。CARAVANは、見てもらうことで気づきになる役割があるならばと出演を決めたんですけど、いまは自分自身が人に頼ったりコミットしていかないとって思っています。あ、好き嫌いは別ですよ。みんな好き!ってなっちゃうとそれはそれで気持ち悪い(笑)

-置いてきぼりになる人はいないけど、感性や価値観や好きなものはそれぞれ自由だよっていうあり方。

啓太さん
そうそう、そういう多様性のあり方が心地よいと思います。

インタビュー後、啓太さんから次のメッセージをいただきました。
そのまま掲載できたらいいなと思い、啓太さんから許可をいただいてご紹介します!

私は「共生と共存」という言葉が好きじゃありません。それは調和を求められるからです。脳性麻痺という障害で生まれた時から人と違うことが当たり前の中、人と同じことはできないし、時にはやりたくないって反発もありました。だから捻くれた性格で35年生きてきたわけですが笑。この性格もあり、最近「ボディポジディブ」という言葉を耳にしますが違和感があります。どんな人でもいろんな経験をして自分の体を時には愛し、時には憎み、肯定と否定のグラデーションを行ったり来たりしながら生きていると思います。なので「ポジディブ」だけ抜き取られても自分じゃないような感覚になります。

「調和」も同じです。自分と違う価値観を持っている人を認めることはとても難しいです。社会では調和することが良いとされていますが窮屈に感じる人もいます。「調和」を外して「共生と共存」だけだととてもシンプルですが、その状況はカオスです。しかし「共生と共存」が守れていれば大した問題ではないです。自分と違う人を受け入れる必要はなく「そういう人もいるんだ」と存在を認めることが必要だと考えます。DAIKIくんもステージで言っていましたね。

今は多様性のある社会を作ろうとしていますが、それはある程度のカオスを作ることだと僕は思います。カオスな状況は自分に余裕がないと不快でしかないです。個人的にCARAVANの目的は、多様性を美化することなくカオスな状況をいかに楽しめるか。インタビュー当初「不安」を口にしました。それは調和を求められ、個の表現や存在が失われそうだと感じたからです。今回5公演を行なって学んだことは2つです。「他人に強制しない範囲で自分の意見を持ち、他人を受け入れる余白を持つこと」「誰かに頼ること、誰かに頼られることはお互いに心に余裕がないとできないこと」コロナパンデミックで強制的に距離を取らなくてはならない、そして侵略さえも起きてしまう今、世界的にストレスフルな状況が続いているので、この2つを理解することはなかなか難しいと思います。これからも社会が謳う、ある程度「調和された多様性」を否定しつつ、多様性の本質と向かい、個人の自由度が上がる環境を目指していきたいです。

徳永啓太


今回、リハーサルやステージの合間を縫って、CARAVAN Performersに個別にお話を聞きました。話してくれたことを書き起こして眺めていると、みなさんそれぞれに違う場面や価値観のお話をしながらも、一つの大きな物語でつながっているような感覚に。

北九州を終えて次はいよいよ最終地点の別府です。すべてのステージが終わったときに、みなさんの心にはどんな思いが芽生えているのでしょう。改めてうかがう機会を設けたいと思います。

CARAVANは次の地へと向かいます

歌や音楽、ダンスなど、私たちの身近にあるパフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・⾔語・国籍など多様で、個性豊かな⼈たちと⼀緒に楽しむ「True Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭」を、⽇本全国に広げる新たな取り組み「True Colors CARAVAN」。

全国CARAVANは、最終地点となる大分県別府市へ!

お近くの方もそうでない方も、2022年10月23日(日)にぜひ、遊びにいらしてください。

True Colors CARAVAN in Beppu詳細

取材・執筆:平原礼奈(True Colors CARAVAN広報チーム)
撮影:濱本英介(AcePhotographic)
取材日:2022年9月10日、11日

研究員プロフィール:平原 礼奈

mazecoze研究所代表
手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。

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