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脳科学研究者の井手正和先生が、『科学から理解する 自閉スペクトラム症の感覚世界』をご出版! メッセージもいただきました。

mazecoze研究所 │ 2022.07.27
画像提供:金子書房さん、井手正和先生

「感覚過敏・鈍麻から広がるグラデーションな脳の世界」を連載してくださった井手先生が、書籍を上梓されます!

こんにちは。mazecoze研究所です。

mazecoze研究所で「井手先生の脳科学最前線! 感覚過敏・鈍麻から広がるグラデーションな脳の世界」を連載してくださった井手正和先生(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 脳機能系障害研究部 研究員)が、書籍を上梓されます。
これまでも様々な媒体で執筆されてきた井手先生ですが、なんと単著は初だそうです。おめでとうございます!

書籍の概要(目次一覧)

タイトル
科学から理解する 自閉スペクトラム症の感覚世界(金子書房)』

著者:井手正和
発売日:2022年8月12日

〈目次〉
序章 なぜ、いま自閉スペクトラム症の「感覚」なのか?
[1] 自閉スペクトラム症の診断基準の改変
[2] 診断基準で「感覚過敏」「感覚鈍麻」が重要になる
[3] ASD 者の割合
[4] ASD 者の中で感覚の問題をもつ人の割合
[5] 感覚の問題への関心の高まりの背景

第1章 感覚の基礎 25
[1] 外界のシミュレーションとしての感覚
[2] 見たものが意識にのぼるまで
[3] 刺激が強い!と感じるメカニズム

第2章 自閉スペクトラム症者の感覚の特徴
[1] 自閉スペクトラム症者の研究の導入
[2] 弱い中枢性統合理論(WCC)
[3] 知覚機能亢進仮説(EPF)
[4] 外部空間の捉え方の特性

第3章 自閉スペクトラム症者の感覚処理特性のモデル
[1] 高い知覚精度と感覚過敏の結びつき
[2] 感覚プロファイルの開発とDunn のモデル
[3] 個人内における異なる感覚特性の共存
[4] 当事者の体験を実験データから読み解く

第4章 ASD 者の感覚特性の定量化
[1] 刺激への“高い感度"と“慣れにくさ"
[2] 視覚刺激の空間情報の処理
[3] 視覚刺激の運動情報の処理
[4] 音の周波数・音圧の処理

第5章 ASD 者の感覚特性に関連する脳内基盤
[1] 脳波を用いた感覚特性の研究
[2] 感覚鈍麻に関係する脳活動
[3] 脳の領域間の結びつきの強さ
[4] 脳の抑制機能の低下と感覚特性

第6章 過剰な刺激の時間分解能と感覚過敏
[1] 脳はどのように時間を感じているのか
[2] 高い時間分解能と感覚過敏
[3] 時計の秒針の動きを観察する青年
[4] 過剰に高い時間分解能の感覚をまたいだ共通性
[5] 過剰に高い時間分解能の背景にある脳活動の特徴
[6] 過剰に高い時間分解能と脳内のGABA 濃度との関係
[7] 不安が時間分解能に及ぼす影響

第7章 個性的な感覚をもつ人たちの世界
[1] 知覚の基本単位となる時間と空間の情報
[2] 時間と空間の個性的な感覚の表現
[3] 脳の中で結びつく時間と空間の情報
[4] ASD者の感覚特性と共感覚

第8章 今後の科学的研究の展望
[1]「連続した特性」から「重なり合う多様な特性」へ
[2] 感覚特性と社会的側面の特性との関連性
[3] けっきょく障害? 個性? 個人差?

目次を眺めただけで、読み応えぎっしり感が伝わってきます。
発売前にもかかわらずAmazon売れ筋ランキングの障害児教育カテゴリで1位を獲得されたのだそう。早く読みたい!

井手先生からのメッセージ

井手先生からmazecoze研究所にメッセージをいただいたので、ご紹介します。

井手先生
科学的な証拠から感覚過敏・鈍麻について一冊まとめて解説する初の書籍です。予想以上の反響で、しかも発売前なので、嬉しくもあり恐ろしくもあります(笑)
ベストセラーに入るほどになったのは、「自閉症」「感覚」というトピックに関する関心がある程度高まっている状態があってのことだろうなと思います。

今でもmazecoze研究所の記事を見て反応してくれる方がいるので、あの取材記事はとても大切な意味を持っていたと感じます。
特に、鈍麻について取り上げた情報はどこを見渡してもほとんどないので、そこを1つの記事にしてくださったのは本当にありがたく、今でも紹介することがあります。
「感覚鈍麻」についての記事

ぜひ、mazecoze研究所さんでまた取りあげていただけたらと思います!本当に嬉しいです!
感覚特性が「勘違い」「ワガママ」などではなく、脳の機能に由来することを知ってもらいたいと執筆した本書が多くの方に届くことを願っております。

「研究結果を自ら伝え知ってもらうことで社会を変えていく」という信念を持たれている井手先生。
一歩一歩着実に、世界をより多様で心豊かなものに変えていかれている姿が眩しいです。
井手先生、改めましてご出版おめでとうございます!
maze研でもまた、感覚の世界について教えてください!
(連載担当kana &ひらばる)

「井手先生の脳科学最前線」記事一覧

●英語版「Dr. Ide’s brain science forefront

井手正和先生

専門:実験心理学、認知神経科学、神経心理学
発達障害者の感覚処理障害(感覚過敏・感覚鈍麻など)の神経生理基盤を明らかにすることを目的とし、心理物理と脳イメージング法を用いた実験を行う。
研究室webサイト

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