日本初開催の「東京2025デフリンピック」を、ボランティアで盛り上げませんか? 日本財団ボランティアセンターの特別企画をレポート|ボランティア申込は2025年1月31日(金)まで!
目次
「東京2025デフリンピック」ボランティア募集中
こんにちは。
mazecoze研究所です。
デフアスリートの国際総合スポーツ競技大会「デフリンピック」をご存知ですか?
耳が聞こえないという意味を持つ英語のデフ(Deaf)に、オリンピックを組み合わせることで、デフリンピックは「きこえない・きこえにくい人のオリンピック」であることを表現しています。
来年2025年は、デフリンピックの開催から100周年を迎える記念すべき年で、さらに、なんと、日本で初めて開催されることが決まっているのです。
今年11月15日からは、大会ボランティアの募集もスタート。
でも、この貴重な機会に興味を持ちながらも「手話ができないけど大丈夫かな」とか「自分にできることがあるのかな」といった声もちらほら聞こえてきます。
そんな中、これまでに様々なデフスポーツでのボランティア活動や手話を学べるオンラインセミナーを実施している日本財団ボランティアセンターさんが、「開催1年前!特別企画~デフリンピックとボランティア~」というオンラインイベントを開催しました。
デフリンピックボランティアへの一歩を後押ししてくれる内容なので、レポートしたいと思います。
今すぐ大会ボランティアに応募したい人は、大会公式ボランティア情報サイトへ
>ボランティア申し込み情報
見てわかる、楽しめる、共生社会を目指す大会
はじめに、東京2025デフリンピック応援アンバサダーの川俣郁美さんが、デフリンピックの歴史や概要について共有してくれました。
ろう者である川俣さんが手話でお話しし、手話通訳者がその内容を音声日本語に翻訳。手話がわからない参加者にも伝わる情報保障がなされた中で、プレゼンが進められました。
デフリンピックの始まりは、1924年にフランスのパリで開催された第1回大会(当時の名称は国際ろう者スポーツ大会)です。その後オリンピック・パラリンピックと同じように、4年に1度、夏季大会と冬季大会がそれぞれ開かれてきました。
「デフリンピックでは、選手たちが音に頼ることなく試合を進められるように、光やフラッグなどを活用した数々の見える工夫がなされています。そうした環境整備によって、試合に集中して臨むことができ、フェアに戦えるのです」と川俣さん。
競技での数々の見える工夫は、観客にとっても「今何が起きているかわかりやすくて、一緒に楽しむことができる」という魅力につながっているそうです。
川俣さんは、「東京2025デフリンピックに期待することは、社会の変革」だと言います。デフスポーツの魅力や価値を伝え、スポーツの力を通して聞こえる人と聞こえない人が出会うことで、共生社会の実現へとつながっていく期待とわくわく感を伝えてくれました。
さらに、2017年にデフリンピック夏季大会が開催されたトルコのサムスン大会に、日本選手団スタッフとして帯同したときのお話も。
「街全体がデフリンピックに積極的で、歓迎されていると感じました。開会式や閉会式、その他様々な場面では、4つの言語(国際手話、開催国であるトルコ手話、英語、トルコ語)で同時に進行されていたんです。これまで聞こえる人の大会に参加すると、進行は音声言語で進み、手話通訳を介してそれを見ていたのですが、デフリンピックでは手話ですべての発信がされていたことに感動しました。
同時に、スポーツを通して他の国との違いや暮らしについて知ることができる貴重な機会になりました」。
東京2025デフリンピック開催概要
開催地:東京(一部福島、静岡)
大会期間:2025年11月15日~26日(12日間)
参加予定国:70~80か国・地域
参加者数:各国選手団等:約6,000人
競技種目:21競技
詳しくは下記サイトもご覧ください
>東京2025デフリンピック 大会情報サイト
>デフリンピックのご紹介
手話ができなくても大丈夫! ボランティアは大会の顔
そして話題はボランティアの活動へ。
サムスン大会でのボランティアについて、川俣さんは、
「ボランティアスタッフが指さしで競技会場へ誘導してくれました。スタッフの中には聞こえる人も聞こえない人も、手話ができる人、できない人、日本語が話せる人もいました。筆談や身振りなど様々なコミュニケーションの方法を探りながら、ボランティアの皆さんが会場に立ってくれていて、とても安心しました。おかげで、大会そのものだけではなく、初めから最後までその滞在期間の間ずっと、楽しむことができたんです」と振り返ります。
世界各国から様々なお客様や選手が集まる中で、彼らの多くが初めて会うのがボランティア。「つまり、ボランティアは大会の顔ですよね。手話や外国語が話せることも大事かもしれませんが、最も大切なのはこの大会を成功させたい、サポートしたいという気持ちだと思います」と川俣さん。
最後に、ボランティアに興味がある人へのメッセージとして、「この大会の目標には多様性とインクルーシブも掲げられています。様々な特性がある方々に、ボランティアに応募いただけたら嬉しいです。デフリンピック100周年の歴史的な大会ですから、みなさんと一緒に次の100年に向けたスタートになるようにしていきたいです」と伝えてくれました。
デフスポーツのボランティア体験者からの声
次は、デフバレーボール女子日本代表の長谷山選手と、デフスポーツの国際大会でのボランティア経験がある方々によるパネルディスカッションです。
みなさんのお話の中からご紹介します。
●長谷山優美選手 アイコンタクトの大切さ
私たちはふだん手話を使いますが、プレー中はボールのやり取りが早く、なかなか手話で会話ができません。そういったときにはアイコンタクトがとても大切です。
私たちは聞こえないので、「試合中に何があっても下を向かない」というルールを決めています。失敗して悔しくても、アイコンタクトを取ります。そうしてチームのコミュニケーションを深め、テンションを高めていきます。
ボランティアの方がいることで、選手がプレーに集中できる環境が生まれます。応援していただくと嬉しくて、俄然やる気が出ます。一緒にデフリンピックを盛り上げていただけたらうれしいです。
●デフスポーツ国際大会でのボランティア経験がある川上さん
日本財団ボランティアセンターのぼ活!で募集された「デフバレーボール世界選手権2024沖縄豊見城大会」のボランティアをしたときには、ボールを運んだり得点板の点数を変えたりといった試合運営のサポートから来場者の受付まで、様々な活動をしました。選手たちとの距離が近く、「頑張って」とか「お疲れ様」といった声かけもできました。
ボランティア仲間と徹夜で応援ボードを作って試合を応援したりもしました。大会の成功という一つの目標に向かって、仲間と一緒に盛り上げられたのは本当に嬉しく楽しい経験でした。
デフリンピックのボランティアとして色々な人を募集するのは、デフリンピックを盛り上げたいという気持ちを持つ人たちが集まることが、大きな力に変わっていくからだと思います。これからデフリンピックを前に日本各地で行われる様々なイベントにも参加して、一緒に頑張れたらと思います。
●デフスポーツ国内・国際大会でのボランティア経験がある菊池さん
デフバレーボールの国内大会では、モップで床を拭くボランティアを担当しました。手を挙げて選手たちの視界に入るようアピールしながら、素早く作業をして戻るようにしていました。
先日の沖縄での世界大会にも参加しました。国内大会と世界大会では、会場の雰囲気やボランティアの活動内容や質が違うんです。様々な国のチームや応援の方がいて、緊張感と迫力がありました。
デフスポーツって、静かなイメージがあったのですが、選手同士が床を踏み鳴らしたり、壁を叩いたりして、お互いを鼓舞する姿が見られるんですね。振動で気持ちを伝える応援の形を初めて知って、私も一緒に盛り上がりました。
ボランティアの視点で言うと、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるように、レクチャーを受けたり事前の準備をしっかりすることが大事だと思います。
デフスポーツの情報は、全日本ろうあ連盟スポーツ委員会のホームページでも随時発信されています。
>全日本ろうあ連盟スポーツ委員会
東京2025ボランティア募集概要
最後に、東京都生活文化ポーツ局の酒井さんが、デフリンピックボランティアの募集についてお話ししてくれました。
酒井さん
「ただいまボランティアを担ってくださる方を絶賛募集中です。
手話言語技能は必須要件ではありません。
障害のある、なしや、手話ができる、できないに関わらず、いろんな方にご応募いただき、一緒にデフリンピックを作り上げていきたいです。
大会ボランティアの募集人数は約3,000人で、
①2025年4月1日時点で満18歳以上の方、
②活動期間中において日本国籍又は日本に滞在する資格を有する方、
③各種研修への参加が可能であること、という応募条件があります。
活動内容は、選手や観客、関係者の案内誘導や、会場内外での運営サポートなどがあり、手話ができる人は手話言語を生かしたサポート活動もお願いしたいと思っています。
共通研修、手話言語研修・ろう者の文化等理解研修、配置・役割別の事前研修があり、オンラインのオンデマンド形式なので、ご自身のタイミングで受講していただけます」
ボランティアは先着順ではなく、応募人数が募集数を超えた場合等には、希望する活動場所等を踏まえて抽選になるそうです。
東京2025デフリンピックボランティアの募集期間は2025年1月31日(金)までですよー!
今回のオンラインイベントには700名以上の方が参加されていて、「東京2025デフリンピック」への関心の高さがうかがえました。100年大会をボランティアとして体験できるのは一生に一度なので、ぜひ参加&応援してみませんか?
(画像提供:日本財団ボランティアセンター)