意味なんかなくていい!思いのまま電子工作を続けてきた女の子は、唯一無二の存在になった(3/3)
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前回かなり遠い世界まで旅立ってしまったマゼコゼスト矢島さん。最終回の今日はちゃんと収束に向かいますのでご安心ください!
技術協力した作品がミラノサローネへ!
大学院卒業後は就職せず、すぐに自身の法人である合同会社techikaを立ち上げた矢島さん。主に企業の依頼を受け、技術協力や商品のプロトタイプ開発に携わっているそう。
2017年には、「織ノ響」という西陣織の「細尾」による伝統的な織の技術とパナソニックの音響技術とのコラボレーション作品に技術協力として参加。「ミラノサローネ 2017」でパナソニックが展示した、「Panasonic Design × GO ON」"Electronics Meets Crafts:"の展示にも携わりました。
GO ON × Panasonic Design http://panasonic.co.jp/design/goon/
矢島さん:西陣織の生地そのものをタッチセンサーにする技術的な作業と、触ることで音が鳴るプログラミングを担当しました。西陣織に使われている金銀箔を貼った糸は電気を通すので、これをタッチセンサーとして使いました。
なんと、伝統工芸ではるか昔から使われている金糸をセンサーに!この発想はおもしろいですね!
矢島さん:はい。パナソニックのデザイナーさんと一緒に試行錯誤する中から生まれました。さらに、12個のパネルは触れるとそれぞれ違った音が鳴ります。同時に複数のパネルに触れると音が重なり合うので、ミラノサローネではたくさんの人が触れて音の重なりを楽しんでいました。
#MilanoSalone 2017 - Panasonic x GO ON Installation - Electronics Meets Crafts
アナログの最骨頂ともいえる京都の伝統工芸と最新技術のミックス。さらに使って楽しい仕掛けづくり。矢島さんが今までやってきたことの集大成ともいえる仕事ですね。
開発した「新しい防犯ブザー」
もう何が出てきても驚きませんが、矢島さんたちが今全力で開発中なのが、オリジナルで開発したデバイス「しっぽコール」。これはこれまでにないタイプの防犯ブザーなんです。
従来の防犯ブザーって、カバンなどに付けておき、緊急時に大音量のブザーが鳴るというもの。
なんとこの「しっぽコール」はスマホと連携できるんだって!
矢島さん:普通の防犯ブザーってよっぽどの時じゃないと鳴らせないですよね。怪しい人が近づいてきてても、気のせいだったら恥ずかしいし。
「しっぽコール」はちょっと不安なときに握ると、スマホから着信音を鳴らすことができるんです。これならなんでもない時に鳴らしてしまっても恥ずかしくないから気軽に使えます。さらに本当の緊急時にはしっぽを引き抜くと、あらかじめ登録しておいた家族や友人に電話して、GPSで現在地を知らせることができるんです。
わああ、めっちゃ、意味ある……!初めてものすごく有用なものが出てきた気がします。これは欲しい!子ども用にも良さそうです!
そしてこのしっぽの形。面白みのないデザインが多い防犯ブザーをこんなに可愛く仕上げてしまうのも、矢島さんらしいですね。これならカバンに付けてもおかしくない!
矢島さん:「しっぽコール」は私を含め4人のチームで開発中です。そのうち3人は女性で友達にインタビューをしたり、帰り道を尾行させてもらったりと、使う人の視点を大事に開発しています。
女性が夜道を安心して歩ける街づくりをするために、防犯ブザー以外の構想も広げています。
その一つがライトマップです。しっぽの上部に明るさセンサーがついていて、街の明るさがアプリの地図上にプロットされるようになっています。みんながしっぽコールを持つと集合知によってて街の明るい道がわかります。みんなで強くなろう!というコンセプトの現れでもあります。
「しっぽコール」は製品化に向けて現在開発中だそう。楽しみです!
しっぽコール http://shippocall.com/
昔から使われているものに技術を埋め込んで、新しい使い方や楽しさを見つけてしまう。矢島さんにしかできない発想や視点は、これからも世の中の常識を壊してくれることでしょう。これからもまぜこぜな発想でどんな発明をするのでしょうか?これからの活動にも目が離せません!
矢島さん、ありがとうございました!
(photo:木内和美 text:保手濱歌織)
乙女電芸部 http://otomedengeibu.com/
合同会社techika http://techika.jp/
取材協力:DMM.make AKIBA https://akiba.dmm-make.com/