バリアフリー地図情報発信アプリ「Bmaps(ビーマップ)」の開発者・審査員対談をしました! 【後編】
多様な人が外出時に求めるバリアフリー情報を共有・発信するアプリ「Bmaps(ビーマップ)」。日本財団の支援を受けて開発され、特定非営利活動法人CANPANセンターと株式会社ミライロが共同運営しているアプリです。
Bmapsを開発した方々と、先日開催されたイベント「Bmaps杯」審査員にお集まりいただき、前半では開発秘話やユーザー目線での感想について語り合いました。
この後編は、Bmapsが仕掛けるバリアフリー意識の醸成と、今後の展望について聞いていきます!
企業間で街のバリアフリー情報の投稿数を競う!
Bmapsを使って先日(2018年7月18日~8月26日)開催されたのが、「第2回 Bmaps杯」です。
Bmaps杯特設サイト
http://www.bmaps-event.jp
Bmaps杯は、バリアフリー情報の投稿数をチームや個人で競争するというもの。アプリを作るだけではなく、こうしたイベントも実施する理由について、Bmaps事業の推進を担当されている井原さんに教えてもらいました。
井原さん「Bmapsは投稿される情報が多いほど便利になります。でも運用していくうちにユーザーが投稿をするきっかけがなかなかないという課題が見えてきました。
そこで、弊社がお付き合いのある企業さんにも参加してもらい、企業ごとにチームになって投稿数を競う『Bmaps杯』を企画しました。
企業さん側からは以前より、『社員のボランティア意識をもっと醸成したい』というお話をうかがっていたので、その課題ともかけ合わせたアイデアです」
垣内さん「チームで競うので、一人でやるよりも動機づけができますし、その行動が誰かに役立つ情報になることで、個々の意識を高めることにもつながるのではないかと。実際、皆さん楽しみながら熱心に情報を投稿していってくださいました」
井原さん「第1回目のBmaps杯では、19社53チーム、述べ648人の方が参加してくださいました。約1ヶ月の開催期間中、総投稿数は12,122件。現在約10万件の情報が集まっているので、イベントをすることで一気に10%の情報が増えたことになります」
ちなみに先日投稿期間が終了した第2回Bmaps杯では、899名の方が参加したのだそう。
2回目を開催したのも、さらなるきっかけづくりのためだったのでしょうか?
井原さん「Bmaps杯を経験した企業の方から、参加者の中にユニバーサルデザイン・バリアフリーに取り組んでいこうというマインドが醸成されたという感想を多くいただきました。そしてそれが企業文化の醸成にも寄与するとのこと。ですので、継続してBmaps杯を行い、さらにその輪を広げていこうと思いました」
参加者が社会に価値を起こす行動への一歩を後押しし、企業のボランティア文化を醸成し、それが誰かの「行けた!」につながるBmaps杯。まさに三方良しですね!
オリパラを超えて、地方にこそBmapsが必要になる
これから、Bmapsはどのように成長していくのでしょうか?
最後に今後の展望について聞きました。
垣内さん「いまは2020年の東京オリンピック・パラリンピックへの関心の高さもあり、首都圏、関東圏ではBmapsにもどんどん情報が集まっています。
ただ、長期的な視点で地方にこそBmapsのようなものが必要です。地方では障害のある方の多くは車で移動しますから、事業者も街の人も障害者との接点や、バリアフリーを意識する機会が少なくなりがちです。
行ける店が少ないというのは、お金を使える場所が少ないということですから『じゃあ働くこともないか』という思考になりがちです。障害がある人の離職率が高いのには、そうした理由もあると考えています。
稼いだお金を使える場所を増やすことが、地域の消費や良い経済をめぐらせることにもつながっていきます」
2020年の先を見据え、Bmapsのうねりを地方にも広げていくことが大事だと話す垣内さん。Bmapsで自分の店のバリアフリー情報を発信したら、お客様によろこんでもらえて売り上げもアップしたとなると、店舗側にとってもしっかりとメリットがありますね。
井原さん「投稿数を増やすために、店舗や企業からバリアフリー情報の提供をしてもらうことも進めています。先日『バリアフリー情報アプリから選ばれたおもてなしで使える東京のお店10選』という冊子も発行しました。
接待や会食で使えるというお声もいただいていますし、こういう情報が求められているんですよという意識喚起にもなればと思っています」
垣内さん「あのお店がやっているなら、うちもやってみよう! となればいいですね。飲食店であれば、味だけではなく、これからはバリアフリーも評価されていく時代なんだということを示していきたいです」
井原さん「Bmapsは諸外国から多様な人が一斉に集まる首都圏でも、高齢化が進む地方都市などでも、必ず役に立つと実感しています。障害がある方にもっと広まって欲しいので、いろいろな企画を考えています」
これから2020年までに100万件のバリアフリー情報を収集するという短期的ビジョンと、日本の各地域や世界に向けてバリアフリー情報を発信していくという長期ビジョンを持って、様々な取り組みをすすめているのだそう。
それぞれの人生の中で、子供を産んだり高齢になったり、心も体も環境も変化していくものですが、その時々に必要な情報が見つかるBmaps。情報を得るだけではなくて、自分の投稿が誰かの役に立つうれしさも経験でき、情報が集まれば集まるほど誰もがあたりまえに参加できる社会になっていく。
双方向性のある一体感が魅力的なBmapsのこれからに、ますます目が離せません!
第2回Bmaps杯の結果発表ももうまもなく。私も育児疲れ中の母ユーザーのリアルな視点も交え、審査を楽しみたいと思います!
みなさま、ありがとうございました。
Bmaps
http://web.bmaps.world
Bmaps杯特設サイト
http://www.bmaps-event.jp
mazecoze研究所代表
手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。