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子どもの心のケアについて明橋大二先生メッセージ

平原 礼奈 │ 2020.04.28

子育てカウンセラー・心療内科医の明橋大二先生

「煮詰まってきた」「きつい」の声あちこちで

明石農園さんが毎月届けてくれるお野菜。旬の色彩にも元気をもらっています!

こんにちは。mazecoze研究所のひらばるです。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、子供の保育園が休園になって何日経ったのでしょう。 家族で一日中一緒に過ごす生活は発見やうれしさがありつつも、心忙しくて今がいつなんだか自分が何を考えていたんだか分からなくなることも多く、不思議な感覚の中を漂っています。 stay homeで工夫して暮らしている友人たちからも、「煮詰まってきた」「きつい」といった声が聞こえてくるようになりました。わかる……。 それぞれの置かれている状況によって辛さや大変さの種類が違うことも想像しながら、自分のことを考えてみました。 私がいま一番辛いのは、「一人の時間がない」ことです。 朝起きた瞬間から絶え間なく子供たちに話しかけられ、仕事は途切れ途切れで、あっという間に散らかる部屋、やればやるだけやることがある家事(なぜ?)、子供との向き合い方への試行錯誤、スマホを見れば続々と更新される深刻なニュース。常に心がざわついて呼吸が浅く、落ち着きません。子供が寝てやっと一人の時間ができた頃には寝落ちして翌日へ。 私には、自分を調整するための静かな時間がとても大切だったんだと気づかされる毎日です。 さらに、自分は家にいるだけなのに、もっと頑張ってくれている人、大変な状況にある人もたくさんいるのにと、自らを否定する気持ちが次々とわき起こり……。

いまこそ境界線と休息を

HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子

そんな中、2018年に子育てカウンセラー・心療内科医の明橋大二先生に取材させていただいた記事「5人に1人のひといちばい敏感な気質をもつHSP・HSCは、自己理解と自己肯定でもっとラクになる」を読み返して、はっと気がつきました。 自分の性質として、身体ではなく心の疲れがたまりやすいこと、それをダメなことだと自らを責める必要はないこと。そしていまこそバウンダリー(境界線を引く)とダウンタイム(休憩を取る)が大切だということ。 そうだった、そうだったと気持ちが切り替わりました。 --------- HSP(Highly Sensitive Person)とは 日本では「ひといちばい敏感な人」と訳される、共感力が高く過剰に刺激を受けやすい気質を持って生まれた人のこと。その気質は生涯変わることはなく、子ども時代のHSPのことをHSC(Highly Sensitive Child)とも言う。 人種や性別に違いはなく、5人に1人くらい、15〜20%の割合で世界中に存在していることがわかっている。 (詳細は、下にリンクした記事もぜひご覧ください) --------- いまこの状況の中で、色々な理由で、自分のことを責めている人がたくさんいるのではないでしょうか。 少しでもほっと心がラクになるきっかけになればと、ここではHSP・HSCに関連するmaze研の記事をシェアいたします。 バウンダリーとダウンタイムについては、HSP・HSCであるなし関係なく、辛さを感じている人にご覧いただけたらいいなと思っています。
5人に1人の「ひといちばい敏感な気質」をもつHSP・HSCは、自己理解と自己肯定でもっとラクになる。子育てカウンセラー・心療内科医の明橋大二先生にききました!
ひといちばい敏感な特性をもつ子供「HSC」を伸び伸び育むためにできること。 子育てカウンセラー・心療内科医の明橋大二先生にききました!
明橋先生からは、「HSPは、家にいても、どんな状況でも、楽しみを見つけられる能力があるので、きっと乗り切れると思いますよ」というメッセージもいただきました!

明橋先生より: 新型コロナウイルスに関する子どもの心のケアについて

それから子供のこと。ママ友間では最近、「子供の家での遊びや、自由に外遊びができない、友達とも会えないストレスのケアをどうしたらいいんだろう」というやりとりが飛び交っています。 明橋先生が「新型コロナウイルスについてWHOからメンタルヘルスに関する文書が出ており、とりあえず子どもの心のケアに関する部分を要約してまとめてみました」と発信されていて、私はとても参考になりました! 明橋先生に掲載許可をいただきましたので、引用いたします。
新型コロナウイルスに関する子どもの心のケアについて

真生会富山病院心療内科

明橋大二先生

1.悪いのは、人ではなく、ウイルスです。 このウイルスは、すべての国の、あらゆる人が感染する可能性があります。 どんな状況にいたとしても、感染する可能性は0ではありません。 ですから、このウイルスを持った人を非難したり、攻撃したりするのではなく、共感と思いやりを持って接しましょう。悪いのは、その人ではなく、ウイルスです。   2.信頼できる情報に一日に一度か二度、接するだけでいい テレビやネットなどで繰り返し、ネガティブなニュースを見たり聞いたりすると、必要以上に不安になったり、怖くなったりすることがあります。 そういう場合には、そのような情報に接する機会を最小限にしてください。 一日一度か二度で十分です。信頼できる情報源から情報を得るようにしてください。 例えば、以下のサイトは常時更新されています。 ●厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について 新型コロナウイルス感染症に関するQ&A 子どもが怖がる時には、そのようなニュースはなるべく見せないようにしてください。 噂でなく、事実や、科学的に正確な情報に従って行動しましょう。それは不安を和らげます。   3.子どもが不安を表現できる方法を見つける 子どもが、不安や恐怖を表現する方法を見つける手助けをしましょう。 遊びやお絵描きなどの創造的な活動が役立つこともあります。 安心できる環境で、自分の気持ちを表現したり、人に聞いてもらったりすることで、子どもは安心します。   4.子どもを極力ひとりにしない できるだけ子どもを親や家族の元に置き、世話をする人から離さないようにしてください。 どうしても離さなければならない時には、代わりに適切なケアをしてくれる人をそばに置いてください。またその場合、電話やテレビ電話で1日2回は、家族と連絡を取るようにしてください。   5.子どものための新しい日課をつくる 家庭での日常的な日課はできるだけ続け、特に子どもが家でずっと過ごさなければならない時には、 新しい日課を作りましょう。学習のための時間を含む、楽しめる活動を与えましょう。なるべく人と接する時間を持つようにしましょう。(外出制限のため、それが家族だけであったとしても)   6.子どもが甘えてきたら、可能な範囲で受け入れる ストレスや不安のある時、子どもは、親に甘えたり、赤ちゃん返りをしたり、逆にわがままを言ったり、いらいらしたり、攻撃的になることがあります。子どもが甘えてきたら、可能な範囲でそれを受け入れましょう。不安があるようなら、心配事について率直に話し合うことで、子どもは落ち着くことがあります。   7.親自身のケアも大切にする 親も、不安になっています。親自身も、自分のケアを大切にしましょう。不安について大人同士で話し合ったり、自分の趣味に打ち込んで気分転換をしたり、リラックスできる時間を持つことは大切です。 みんなが我慢しているし、不安になっています。それを人を攻撃したり八つ当たりすることで発散したくなることもあるでしょう。しかしネガティブな感情は循環してまた自分に返ってきます。 事実は事実として、お互いなるべく希望の持てる話題を共有しましょう。 (参考文献
明橋先生、ありがとうございました。 私も自分自身や子供の不安と向き合いながら、できることをしていきたいと思いました。 いま世の中を支えてくださっている方々に感謝して、新型コロナウィルスに罹患された方、不安にお過ごしの方に心よりお見舞い申し上げますとともに、はやくこの事態が収束することを願っています!
明橋 大二(あけはしだいじ)先生 昭和34年、大阪府生まれ。 京都大学医学部卒業。 子育てカウンセラー・心療内科医。 国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院をへて、真生会富山病院心療内科部長。 児童相談所嘱託医、スクールカウンセラー、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。 専門は精神病理学、児童思春期精神医療。
●明橋先生の書籍 HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子 ひといちばい敏感な子 教えて、明橋先生! 何かほかの子と違う? HSCの育て方 Q&A
研究員プロフィール:平原 礼奈

mazecoze研究所代表
手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。

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