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「練馬を世界の中心に」UDトーク青木さんもやってるシビックテックって何?【前編】

mazecoze研究所 │ 2018.06.14

こんにちは。保手濱です。
みなさんはUDトークの青木さんを覚えていますか? 喋ったことがそのまま文字になる凄いアプリを完全に個人的な動機で作ってしまった方です。

ライター、編集者、プレゼンテーター必見! 会話を「見える化」する次世代アプリ「UDトーク」がすごいんです。
前編 https://mazecoze.jp/cat3/1855
後編 https://mazecoze.jp/cat3/1955

先日とあるイベントで久しぶりに再会して、「最近どう~?」という話の中で、
「今は練馬に夢中」という青木さん。

……練馬に夢中って何やねん! ということで、話を聞きに行ってきましたよ。

エンジニアの町おこしは、なにやら色々面白い

お話を伺ったのはおなじみ青木さん(写真左)と、青木さんからご紹介いただいた「この世界に精通している(なんの世界?)」という榎本さん(写真右)です。よろしくお願いします!

編集部:えーと、UDトークの青木さん。今は練馬に夢中とのことですが。

青木さん:練馬区を世界の中心にするべく活動しています。

編集部:ずいぶん渋いところに中心据えちゃうんですね。具体的には何をされているんですか?

インタビューはUDトークのアプリで喋ったことが即座に文字に!ラクちん~

青木さん:今年の3月にCode for Nerimaという一般社団法人を立ち上げました。シビックテックの団体です。シビックは「市民」、テックは「テクノロジー」。テクノロジーを使って市民が社会課題を解決しようという活動のことです。Code for Nerimaは練馬区民もしくは練馬が好きなら誰でも参加できます。

編集部:エンジニアがやる町おこしって感じですかね。具体的には何をしているんですか?

青木さん:具体的な活動としてはですねー、例えば先日は「ねりまオープンデータたぬき」というものを作りました。練馬区のたぬき(の置物)がある場所がわかります。

練馬区のたぬき(の置物)マップ

編集部:……これは一体なんのために?

青木さん:練馬でたぬきを探す際は是非ご活用ください。きちんとその場所に本当にたぬき(の置物)があるのか検証してから載せているので、非常に信頼できるデータですよ。

真剣に語る青木氏

青木さん:まあこれはお遊びなんですが、それでも市民とエンジニアが一緒に街のことを考えることで見つけられる課題もあるんです。こういった地図を作る作業は「マッピング」というのですが、行政が公開している地図のデータを使って作っています。今ってエンジニアが使える形式のさまざまなデータを、行政や事業者がたくさん公開しているんです。そういうのを「オープンデータ」っていうんです。

青木さん:バス会社が公開しているバス停や路線図のオープンデータを組み合わせて、練馬区の施設にどのバスで行けばいいかわかる地図も作りましたよ。地図上のバス停をクリックして検索すると、そこを通るバス路線が全て表示されるんですよ

このバス停を通るバスがどこに行くか、一目瞭然! これは便利だ!

青木さん:区の施設って駅から距離のある場所にも多いですよね。これならどこからバスに乗ればいいかすぐにわかるんです

編集部:これはとてもいいですね! たぬきと大違いですよ、青木さん!

青木さん:これは練馬区に隣接するものも全部出ます。練馬区民は武蔵野市の吉祥寺とか、バスで他の区や市に行くことも多いので。バス路線図って区内だけのものやバス会社単体のものとかはあるけど、全体のものってあまりないんですよ。

編集部:ないない。バスの行き方ってほんとに調べづらいんですよね!

Code for Nerimaとして練馬区のイベントを技術面でサポートすることも。こちらはNPO法人ねりまねこさん主催の第3回猫シンポジウムにて多言語字幕を導入。

市民の力でGoogleマップにもバス路線図が載る時代

榎本さん市民は区の境界線を意識しないで生活していますよね。こうした境界線をまたいだ課題って、行政は気づかないし、気づいてても解決できない。それは市民が気づいて、自分たちで解決できること。こういう時がシビックテックの出番なんです。
今、バスのオープンデータは東京より地方が盛り上がっています。東京はほかの交通手段もたくさんありますが、地方はバスでしか行けないところもたくさんありますよね。

編集部:ほんと、地方ってどこに行くにもバスですね。でも行きたい観光地があってもネットじゃよくわからなくて、結局現地に着いてから駅員さんに聞いたり。

地方のバスがもっと使いやすくなれば、観光客も増えそう

榎本さん:だから練馬区みたいにバス会社からデータをもらってマップを作れば便利なのですが、オープンデータってそれぞれが好き勝手な形式で公開しても使えないんですよ。エンジニアが簡単に使えるような形式じゃないと意味がない。
そこで国土交通省が去年、バスのオープンデータのフォーマットを統一したんです。
※参考リンク https://gtfs.jp/wp/wp-content/uploads/2018/01/busformat_poster_s.pdf

榎本さん:このフォーマットは世界共通のもの。そうすると、何が起きるかわかりますか?

編集部:さっぱりわかりません

榎本さん:そのうちバス路線図がGoogleマップに載るようになるんです

編集部:おおーー!!!!

榎本さん:今ってGoogleマップで行き方が調べられるのは「徒歩」「車」「電車」だけで、バスは調べられないんですよね。今は青森や岡山などのバス会社さんが頑張ってオープンデータを作っています。Googleマップに載るとなると、これから全国のバス会社さんがこぞって作ろうとしますよ。
※参考リンク https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu3/1066503.html

編集部:超便利になりますね!

青木さん:これまでのやり方だと、バス会社がコンペして外注業者決めて独自のアプリ作ってってなってたけど、オープンデータを公開するだけでGoogleとかの事業者がそれぞれ最適な形で利用者に提供してくれるっていうのが今の流れ。Googleだったらこうだけど、例えば他の事業者なら子育てに特化する形の交通網アプリにしたりとか。

榎本さん:今はニーズが多様化していて、行政やバス会社とかの事業者が全てに対応しきれない時代なんです。だったらもう情報を公開しようって。そうすることで街が良くなったり、自分のビジネスが潤うんですよ

榎本さん:でもバス会社さんの社内にはエンジニアやプログラマーはいないじゃないですか。オープンデータっていってもどうやればいいのかわからない。そこで、現地の市民が手伝ってあげるんです。今年の3月には島根県雲南市の市民が、地元のバス会社のオープンデータを作っていました。

編集部「お困りですか?私たちがお手伝いしましょう」って登場するんですかね。かっこいい!

榎本さん:彼らもバス会社が情報を公開してGoogleマップに載るようになれば、自分たちの街がより便利になって潤うんです。これが「協働」。お互いが抱えてる課題があれば、地域で解決できる。これがシビックテックです。

編集部:いい話過ぎますね……! Code for ○○ってそんなにたくさんあるんですか?

青木さん:たくさんあるよ。元々はアメリカが発祥の活動で、Code for Japanもある。榎本さんは元々Code for Tokyoの立ち上げメンバーで、今は日本全国のシビックテックの活動を手伝っている、いわばシビックテックアドバイザーなのです

編集部:なるほど……! すごい方を連れてきてくださったんですね!

後編に続く→


Code for Nerima http://code4nerima.org/
Code for Tokyo http://codefor.tokyo/
UDトーク http://udtalk.jp/

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