「欲しいもの全て無料でどうぞ」机も椅子もベッドまで!?ハウスメーカーがお宝配布イベントを開催したワケ。
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春のうららな週末に開催された謎イベント。
保手濱です。あたたかくなってきましたねー。
先週末とあるイベントへ行ってきましたよー。
やってきたのは埼玉県の北越谷という町。初めて来たのですが、元荒川の桜並木が続く土手が本当に美しく、大感激!
桜の時期は少し過ぎてしまいましたが、静かな川沿いの景色は、昔からずっと続いているこの土地の雰囲気を感じさせてくれました。
その川沿いにある土地で、目的のイベントが開催されておりました。その名も「棟下式(むねおろしき)」!なんでしょうか初めて聞きましたが、とにかく行ってみましょう。
さっそく会場入ってすぐの建物入り口で、なんだかすごい行列が…。
建物の中まで行列は続きます。
建物内にあるもの全て!無料で差し上げますっていう超太っ腹ツアー
奥へ進むと、みなさんなにやら物色していますね。
これは今日のメインイベントの「お宝発見ツアー」。建物内で持っていけるものは全て早い者勝ちで持ち帰ることができるという太っ腹なツアーです。
みなさんお気に入りの品を見つけては「リユース済み」の札を貼って予約していきます。ええ〜。。皿とか鍋とかたくさんある。。。これ持ってっていいの〜?
さらにこの建物には宿泊施設もあり、部屋にはベッドや机などの大物もそのまま。もちろんこれらも持ち帰り可能です。
ねえ、なに?このイベント。あとで肉体労働させられたりしないよね?
まだ家作ってないのにお客さん呼んじゃうハウスメーカー
実はこれ、ハウスメーカーのポラスさんが開催している、近隣の住民向けイベント。
この土地はポラスさんが買い上げて、これから一戸建ての住宅地として開発する場所です。
元々は信用金庫さんの研修棟があった場所で、家具や小物がそのままの状態でポラスさんに引き渡されたというわけ。このままだと廃棄処分になってしまうものを無料配布しているのですね。
この施設は、使われていた当初は定期的に周辺住民へ開放して、お祭りやスポーツ大会など、地元の交流を深めていたところだそうです。
今回のイベントを開催した経緯について、担当のポラスグループ 中央グリーン開発株式会社の横谷さんに聞きました。
私「ポラスさんってハウスメーカーさんですよね?売る家を作る前に人呼んじゃったわけですよね。なんかもったいない気もしますけれど」
横谷さん
「はい。私たちは土地を買い上げてそこに住宅を建て販売する会社ですが、その土地は元々まわりの住民の方々にとって思い入れのある場所だったり、愛されて使われてきた建物だったりと、たくさんの歴史を持っているんです。それを、私たちが買ったからといってすぐさま壊してもいいものだろうか?と疑問に感じたのがはじまりです。きちんとその土地や建物に感謝をして、再利用できるものは分配し、それから次へとつなげることが、新しく住む住民の方々にとってもまわりの方々にとっても必要なことと思いました」
私「なるほど。だから通常建物を建てる際に執り行う「上棟式」ではなく、建物を壊すときに感謝を表すという意味で「棟下式」と名付けたんですね」
横谷さん「はい。今の建物がみなさんと過ごす最後の機会として開催することにいたしました」
新しくこの土地に住む住民と近隣をつなぐ役割も
この日は「お宝探しツアーの」の他に、竹を使った小物作りワークショップや、夜には野外で寝っころがりながら映画を鑑賞する「ねぶくろシネマ」など、家族で楽しめるイベントが盛りだくさん。
700人以上の来場者があったそうで、大にぎわいでした。その中にはこれからここにできる住宅を購入するご家族もいるかもしれません。近隣の住民たちにとっては、親しみのあった土地が新しいものに生まれ変わることを知り、お別れを告げて次世代を受け入れる機会に。新しく越してくる人たちにとっては、自分たちが住む場所がどんな所だったのか、まわりにどんな人たちが住んでいるのかを知る機会となったイベントでした。
そういえば、私も今住んでいる場所に過去何があったのか知りません。
どんどん進化するテクノロジーや変わっていく環境に流され、つい新しくできるものばかりに目が行ってしまいます。でもそれは今まで育まれてきた土壌があってこそのもの。
これまでにあったものをきちんと振り返り、最大限に活かしてから新しいものを創り出していく。それが現代の私たちに求められている姿勢なのかもしれません。
これからこの土地は、ポラスさんが何十年も使われ続ける場所へと開発していきます。素晴らしい川沿いの景色を住民たちみんなが楽しめるように、ここならではの住宅地にしていくんだとか。今後も注目していきたいと思います!
(取材・執筆:保手濱歌織)
ポラスグループ 中央グリーン開発株式会社