【我が社のmaze道〜クックパッド株式会社編〜】
第1回:キッチンで交差して。日本の食卓を支えるクックパッドのおいしくつながる働き方
第2回:食欲と好奇心を刺激する「クックパッドニュース」制作秘話!
第3回:社員の暮らしをまるごと受け入れ、その人らしい働き方を後方支援!
これまで会社の顔であるシェアキッチンから生まれるつながりや、気づきを誘発するサービス「クックパッドニュース」について教えてもらいました。その間、横から「いいなーいいなー、私もクックパッドで働きたい」と連呼するmaze研のほてはま所長……。最終回は、そんなクックパッドさんの働く環境や制度についてうかがいましょう。
母になってもクックパッドで
前回紹介した「クックパッドニュース」の編集部では、金さんはじめ6人中、3人が母としての顔も持っていました。 「ニュース編集部に限らず、母になる社員も年々増えています」と話すのは、広報室の鈴木さん。 「私の部署でも産休中のメンバーが2 人います。育休後はクックパッドに戻ってくる人が多いですね」 クックパッドで働きながら母になる人はもちろん、母になってから転職してくる人も多いのだそう。金さんもその一人です。 「子どもがいながらの転職でも、採用のときに特に問題視はされませんでした。10年ほど前、出産と同時に仕事を辞めたのですが、産休明けに働くか迷ってハローワークの人に相談したんです。そうしたら、“なんでもいいから続けていたら、いつかきっと好きな仕事ができるようになるから”と後押しされて。フリーの編集者として、無理のない範囲で仕事を続けてきました。子どもが小学校に上がるタイミングで、新しいことにチャレンジしたいとクックパッドに応募して、面接の時にハローワークでの話をしたら、“続けていてよかったですね”と言ってもらえたんです」 継続は力なりを信じて仕事を続けた金さんと、それを受け入れてくれたクックパッドさんとの出会い。maze研一同、瞳が潤ってしまいましたよ。変化に対応できる就業制度
20期目に入り、時を重ねるごとに社員さんの年齢や生活環境も変わっているというクックパッドさん。ライフスタイルや個人の状況に合わせて“在宅勤務制度”を柔軟に使って働く人も増えています。 「“在宅勤務制度”は、どうしても出社が難しい時に申請し、自宅で働いた時間が勤務時間として換算される制度です。私も子どもが体調を崩して出社できないときなどに活用することがあります。有給を時間単位でとれる“時間給制度”もあって、子どもを病院に連れて行く時などは役に立ちます」と鈴木さん。育児に限らず、介護を必要とする社員さんが週に数日在宅勤務している例もあるのだそう。 全社員にノート型PCが付与され、打ち合せもテレビチャットでできるなど、在宅で勤務できる環境はすでに整っていたクックパッドさん。そこに、時間の融通が効くしくみが付加されて。多くの企業が「いずれは」と想定しながらもなかなか踏み出せないでいることを、社員さんの仕事と暮らしを考えてさくさく実行してしまうスゴさと柔軟性を感じます。まさに、未来型の働き方がここにあり! フレックスタイム制も導入しており、コアタイムは9時半から15時半までなので、毎日保育園の送り迎えを担当している父親事業部長もいるのだとか。社員の声を吸い上げて
社員さんが働きやすいように考えられたいろいろな制度。それを作る人事部の人も、定期的に働く環境についてのヒアリングや座談会を行っています。 「小さい子どもがいると、体調が悪くて保育園に預けられないという状況がどうしても起こりがちですよね。人事が開催するママ社員座談会でこういった話をするうちに、会社で病児保育の団体と法人契約をし、活用しやすくなりました。イベントなどでどうしても休めないときにも、選択肢が得られて、それを会社が援助してくれるのはありがたいです」と鈴木さん。社員さんの声に耳を傾けることで、必要な部分は押さえながらもオーバーにならない支援のしくみができあがっているのですね。職住近接を推進する福利厚生
クックパッドさんには、会社から1.5 キロ圏内に住むと家賃の補助が受けられる“近距離奨励金制度”もあります。会社の近くといったら、オシャレタウン恵比寿ですよ!? なんてうらやましい……。 「私も会社の近くに住んでいるのですが、通勤時間が少ない分、食事に時間をかけたりゆっくりスーパー探索ができたりと、日々、心にゆとりを感じています。こういった暮らしを会社から提供されているということは、本当にありが たいと思います」と小菅さん。まさに、我々maze 研の研究テーマのひとつでもある「職住近接」。やっぱり身体的にも精神的にもいいことずくめのようです。 ほかにも、自転車通勤を奨励する“自転車通勤制度”では、毎日自転車で通う社員さんに月1万円の奨励金を支給! 通勤ラッシュから逃れ、健康も促進されるというなんとも合理的な制度です。こうした制度から生まれる時間の余裕が心の余裕に、体力は気力となって、仕 事の集中力ややる気の向上にもつながっているそうです。クックパッドで暮らしも変わった
最後に、それぞれが感じるクックパッドの魅力についてうかがいましょう。 鈴木さん「ルールに縛られることなく、自分から提案をしていける環境であること。前例に捉われず、社員の多様性に応じて変化していける風土が魅力だと思います。また、日々いろんなレシピに触れるので、プライベートで作る料理のレパートリーも増えました」 金さん「社員がプライベートをすごく大事にしていて、プライベートが充実しているから仕事も充実するという考え方がすごくいいなと思います。ユーザーさんの生活があるからクックパッドを使ってもらえているので、生活を大事にできる社風が魅力です。子どももそんな私をみて“働いているママが好き”と言ってくれて、原動力になっています」 小菅さん「なんでも挑戦できる会社だと思います。もともと食べることが好きだったのですが、クックパッドに入ってからさらに料理をするようになりました。健康に良いし、節約にもなって。なんていうか、生きてるなぁって感じます。仕事も生活もすごく豊かになったと思います」 気がつけば、すっかりお昼どき。シェアキッチンには美味しい匂いが立ちこめています。人がまばらだったラウンジは食堂と化し、社員さんが自炊したごはんを食べながらわいわいと談笑していました。 夢中で話をうかがった2時間。忙しい仕事の中でも、食と暮らしに重点を置くクックパッドの土壌が、楽しそうな社員さんの笑顔を生み出しています。お客様に提供するサービスも、社員の働き方もまるごとつながって、みんなが幸せになる価値を発信する。それを実現させているクックパッドさんは、ほんとにおいしい会社なのでした。 (撮影:木内和美 取材・文:ひらばる れな)研究員プロフィール:平原 礼奈
mazecoze研究所代表
手話通訳士
「ダイバーシティから生まれる価値」をテーマに企画立案からプロジェクト運営、ファシリテーション、コーディネートまで行う。
人材教育の会社で障害者雇用促進、ユニバーサルデザインなどの研修企画・講師・書籍編集に携わった後に独立。現在多様性×芸術文化・食・情報・人材開発・テクノロジーなど様々なプロジェクトに参画&推進中。