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アウトサイダーアートが教えてくれた、素人にもわかるアートの楽しみ方

mazecoze研究所 │ 2018.10.16
こんにちは。保手濱です。私たち研究員はまぜ研以外にも色々な活動をしているのですが、相方のひらばるは、障害のある人たちとものづくりをしたり、福祉事業所で作られるおいしいものをPR・販売する「PRe Nippon」という団体の代表なんかもしています。 https://pre-nippon.com/ の中のひとつに「Musubi-Tie(むすびたい)」というものがあるのですが。
Musubi-Tie-Pin 規格外となった注染手ぬぐいを素材に、荒川区の福祉事業所「荒川ひまわり第2」のみなさんが縫製・制作する世界に1つの蝶ネクタイ(ピンブローチ)
こちらから購入もできます。 そのMusubi-Tieが、とあるイベントのスタッフユニフォームに採用されたとのこと。
イベントのために納品されたMusubi-Tieずらり!
色とりどりのMusubi-Tieたち、いったいどんな現場を彩っているのでしょうか? 見てきましたよ!
やってきたのは渋谷ヒカリエ。9月13日から17日までの5日間開催されたアートイベント『日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 2020 ミュージアム・オブ・トゥギャザー サーカス』です。厳選されたアート作品が展示されています。 去年、青山のスパイラルで開催された『日本財団DIVERSITY IN THE ARTS 企画展「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」』からスタートしたシリーズで、今回は2020年に予定されている大型展に向けたプレイベントだそう。 いざ足を踏み入れると素敵な作品がいっぱい!
水彩画。色合いが小粋
枯れ葉でできた動物たち!
なんだこれ!
どれもこれもなんかいい!かわいい!おしゃれ! そしてスタッフさんたちは……
わー、みんなMusubi-Tieしてますね! ありがとうございます! 会場は楽しそうな雰囲気で、カラフルなMusubi-Tieがマッチしています。

初めての美術鑑賞は、アウトサイダーアートがおすすめです!

展示されている作品は、「アウトサイダーアート」というカテゴリーに属するものだそうですが、それってどんな作品のことを指すのでしょうか? スタッフの方に伺いました。 スタッフさん「アウトサイダーアートやアールブリュットと呼ばれるものは、西洋美術史の流れを汲んでいないものを指します。西洋美術の教育を受けていない方の作品から、広くは原住民の作品などもアウトサイダーアートに入れることがあります。美術鑑賞というと難しい感じがしますが、見たときの感覚を大事にしてもらえば良いので、美術の知識がなくても楽しみやすいと思います」
歴史とか文脈とか関係ない、「なんかいいな」でOK
アウトサイダーアートって障害者アートのことかと思っていましたが、もう少し広い意味があるのですね。 スタッフさん「私たちは『多様性とどう向き合うか』を大きなテーマとして持っていて、いかに社会の中にある境界線をなくしていくかを取り組んでいます。今回、展示している作家さんは、障害のある方から現代美術の作家さんなどさまざまですが、そのことをわざと明記していません」
スタッフさん「『障害のある方の作品展』というとどうしても福祉関係者以外には来てもらいづらいのですが、もっとたくさんの方に来ていただいて、ふらっと入って楽しんでもらいたいなと」 たしかに「アート」というと、「わかる人にしかわからない」的な敷居の高さを感じますし、「障害者アート」というとどうしても福祉や支援のイメージに。実際は、そうではなく誰にでも楽しめるものなのですね!

アートにまつわるあらゆる境界線をなくす試み

今回の展示で工夫している点を教えてください。 スタッフさん「一般的な美術展は「作る人」と「見る人」が分かれていますが、今回はその境界線も取り払う試みをしています。コンセプトは『サーカス』で、訪れた人が楽しめるように「巻き込み型」の展示にしました。作品をただ飾るのではなく、観光地にあるような顔はめパネルにして誰でも作品に参加できるようにしたりと、いろんな工夫をしています」
やってみた
これが元の作品。ノートブックに描かれたものを拡大してパネルに
と、ここで、ちょうど今回の内装を手がけた長岡勉さんがいらっしゃったのでお話を聞きました!
建築デザイン事務所POINTの長岡勉さん
長岡さん「一般的な美術作品の展示空間は、なるべく作品を邪魔しないように無機質な空間づくりを徹底しますが、今回はテーマが『サーカス』ということで、あえて作品に負けないくらいに個性のあるキャラクターを空間や什器に持たせてみました」 よく見ると什器に派手な色が塗ってあったり、動物の形になってます!
色のついた什器と作品
こちらはゾウさんです!什器なのに!
長岡さん「作品と什器、裏と表の境界線をなくしてお客さんが入り込めるようになると、作品との対話がもっと生まれやすくなるんじゃないかなと」
顔はめパネルの裏側もカラフルで派手!
長岡さん「普通は作家さんからの要望に沿った空間を作るのですが、今回はこちらからも展示方法を提案しながら一緒に空間を作っていくことができました」 美術作品って完成したらゴールだと思いがちですが、展示することで新しい魅力や関係性が生まれるのって、とても面白いです! 長岡さん「会場は完全オープンにするのではなく、全体を黒幕で覆って、外から見たら『なんだろう?』と気になってもらえるようにしました。そしてこの黒幕にも顔がはめられるようになってます。こちらは特に意味はないのですが、おでんです」
ガチでおでんです!ちょっと待って、いいの??
長岡さん「ふざけたり遊ぶことって悪いことじゃなくて、『こうやって楽しんでいいんだ』って思ってくれると美術体験の敷居が低くなっていいかなと思っています」 「サーカス」というテーマ通り、みんなが本気で楽しんで作り上げた展示。ワクワクする雰囲気が会場全体から伝わってきました!

2020年に向けてボランティアを募集!

この展示は主にボランティアさんによって運営されています。2020年の大型展ではたくさんのボランティアさんを募集するそう。
ボランティアの内山さん、Musubi-Tieお似合いです!
内山さん「普段は広告のデザイナーをやっていますが、昨年の青山スパイラルでの展示からボランティアとして参加しています」 なぜボランティアとして参加したのですか? 内山「個人的には作品の良さが参加するモチベーションになっています。展示されている作品はどれもアートとしてすごく良いもので、作家さんたちは本物の天才だと思います。アウトサイダーアートは正統派のアートじゃない面白さがあって、それをもっとたくさんの人に知ってもらうお手伝いができるのは嬉しいです」 アートをもっと身近に楽しみたい、関わりたいという方、2020年の大型展ではボランティアとして是非ご参加くださいね!
日本財団DIVERSITY IN THE ARTSの皆さん、素敵な企画をありがとうございました!
日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 2020 ミュージアム・オブ・トゥギャザー サーカス https://www.diversity-in-the-arts.jp/exhibition2020/moto-circus
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