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第2回:受験を戦い抜ける子も、自己肯定感が高い子も持っている。たくさんの「知るって楽しい!」という実体験

mazecoze研究所 │ 2016.07.01

第1回:かけっこが苦手な子が大阪市でNo.1に!? 奇跡をおこす子育てとは?


勉強ができる子ほど「勉強=楽しいこと」と思っている

こんにちは。岩田かおりです。
宿題の時間になると、元気がなかった小1女児が途端に「宿題や〜ろう!」と自分から言い出すようになったり、まだ学校で歴史を習っていない小2男児が、「ぼく、織田信長に一度でいいから会ってみたいんだよね」と真剣に相談してくる怪現象(?)が、私の周りでは日々起こっています。
登園中の4歳男児が、 “注意”と書かれた道路標識を見て「サンズイ見つけた!」と大興奮することも……。彼ら「勉強」を楽しんじゃってるんです。

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親が“仕掛け作り”を始めた子どもから、「勉強を楽しめる子ども」に変身します

「うちの子もそんな風に育ってくれたら…」、親なら誰しもそう願いますよね。でも、親がちょっとした“戦略”を使うことで、この状況を作り出すことはできるんですよ。
今回のコラムでは、この“戦略”についてお伝えします。実践すると、子どものやる気に火がついて、親もとってもラクになりますよ!

「今を楽しむ天才!」という子どもの特性に注目

大人にとって当たり前の感覚が、子どもには備わってないということが結構あります。
特に大きいのが時間の感覚。例えば、小学校には“中休み”と呼ばれる20分程度の休み時間があるのですが、その時間になると子どもたちは校庭へ一目散に飛び出し、サッカーにドッチボールに一輪車にと思い思いの時間を過ごします。汗だくになって満喫し、しかも20分という時間内にトイレを済ませ、水を飲んで、次の授業のためにちゃんと教室へ戻っていきます。
これ、大人は案外マネできないんです。仕事の合間にちょっとコーヒーを飲んでトイレへ行って戻るだけでも20分なんてすぐに経ってしまいませんか? そう、子どもの「今、ここ」に対する集中力って大人とは比べものにならないほどすごいんです。けれど、大人は1時間先のこと、明日のこと、一週間先のことを考えて行動できますが、子どもたちは逆に苦手です。特に遊びに集中していると、5分先の事さえも考えられなかったりするんですよね。

言い換えると「子どもは今を楽しむ天才!」ということ。
かおりメソッドが目指す「ガミガミ言わなくても勉強する子」を育てるポイントのひとつは、そんな子どもならではの特性を活かすことにあります。だって、今を楽しむ天才!の子どもたちは、面白いことなら、すぐに食いついてくるんですから(笑)

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何時間でも砂山を作り続けられる集中力!つきあうパパはもうヘロヘロです(笑)

「知るって楽しい!」と思わせることが最重要

<シーン1>
お兄ちゃんが勉強中の九九に興味津々のおチビちゃん、お母さんと一緒に買い物へ行きました。 帰り道にフワ〜っといい香り。みんな大好き、たこ焼きです!
「ママ!食べたいよ〜!」
こんな時は作戦の好機。たこ焼き屋さんの店先で焼けるのを待っている間に仕掛けます。

たこ焼き

「このたこ焼き屋さんは、8×7=56」「56個も焼けるなんてカッコイイ!」

ママ :『あ〜、美味しそう! このたこ焼き機、大きいねぇ。えっと、縦は1・2・3・4・5、そして横は1・2・3・・・・9個も焼けるんだぁ。ということは……うわっ!!』(ちょっと大げさに言うのがポイントです)

おチビちゃんは、ママが驚いている理由が知りたくてたまりません。

子ども:『え、ママ。どうしたの? なに、なに!?』
ママ :『5×9=45!! 一度に45個も焼けるなんて!』
子ども:『えー、すごーい!』
ママ :『ごっくしじゅうごで45個だよ! うちのたこ焼き機とぜんぜん違うね〜』(ものすごくうれしそうに言うのがポイントです)

こんな会話をすることで、「お兄ちゃんがやってる九九って、早くたくさん数が数えられるんだ!すごい!自分もできるようになりたい!」と、おチビちゃんは思います。このインプットが上手くいけば、自動販売機を見ても、餃子屋さんで待っているときも、テーマパークの駐車場に遭遇したときも九九を使って数えようと、チャレンジするようになるのです。

でも、同じことを教えているようでも、
ママ :『このたこ焼き機は縦が5個、横が9個焼けるのよ。だから5×9=45。45個焼けるのよ!わかる?』
子ども:『……???』

子どもの立場になって考えてみるとわかりますよね。これでは感動もないし、面白くもないんです。ついやってしまいがちな“上から目線”をググッと下げて、親も子どもと同じ目線になって、驚いたり喜んだりすることが作戦成功の秘訣です。

<シーン2>
この作戦は、言葉を覚えたての2歳さんでも使えるんですよ。
例えば、『赤い服がいい!』『青いお靴が履きたい〜』なんて、色の概念がわかり始めた2、3歳ぐらいのお年頃も作戦の好機です。

朝、登園する際に、『○○ちゃんの好きな赤い色のもの、園に着くまでの間に見つけたら教えてね~』と声掛けしてから、自宅を出発してみましょう。子どもは張り切って教えてくれます。
『ママ!信号が赤』
『ママ!あの看板に赤』
『ママ!赤い自転車』

子どもが赤いものを見つけたら、すかさず、そしてやはり大げさに褒めることがポイント。
『すごい!そんなところまで気がつくなんて!!ママよりいっぱい見つけられたね!すごいね!!』(些細なことでも心から褒め称えましょう)

褒め言葉をシャワーのように浴びせられることで、子どもは「発見するって楽しい!」「知るっておもしろい!」と思うようになります。毎日の登園・降園時間、自転車の後ろで親の背中をただ見る過ごすのは、本当にもったいないんです。

国旗カード

競争したり、ゲーム感覚で遊べる仕掛けを作ることも「知るって楽しい!」につながります

仕掛け作りでものを言うのは、親御さんの演技力です。ですから、かおりメソッドでは、『お父さん、お母さんは、名優、大女優になってください!』と言っています。親が大げさなくらい本気で褒めて、リアクションして、「おもしろいよ!」と伝えることで、子どももさまざまなことに興味を持つようになります。発見すればするほど親がほめてくれるのですから、楽しくないわけがありませんよね。
しかもこの喜びは、今の子どもに不足していると言われる“自己肯定感”を高めることにもつながるんです。親が恥ずかしがっている場合じゃありません。

<<発見する→褒められる→知るって楽しい!>>

このサイクルがまわりだすと、子どもが勉強好きに育つ可能性はグーンと高まります。

勉強は生真面目にするものではない! 親の思い込みは捨てるべき

実はもうひとつ、親が作戦を実行するときにしてほしいことがあるんです。
それは、「勉強は真面目に机に向かってするもの」という固定観念を捨てること。

これを捨てられない親御さんの子どもは、「勉強を楽しい」と思うことができません。
『ちゃんとここへ座って!』『集中しなさいって、何回言ったらわかるの?』『なんて字が汚いの!?』———なんて叱りながら、多くの親御さんが机で勉強させることにこだわってしまいます。「学習習慣を身につけさせなければ」と、焦る気持ちもわかるのですが、これでは子どもが緊張してしまい、「知るって楽しい!」には遠く遠く及びません。それどころか、勉強の内容に興味を持つ前に、勉強の時間自体が大嫌いになってしまいそうですよね。

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「こんなに薄い羽なのに遠くまで飛べるんだね」。日常生活の中で得られる実体験ほど「知るって楽しい!」を引き出せるものはありません

そもそも、10歳までの勉強は遊び感覚でいいと私は思っています。 10歳までの子どもにとって大切なことは、机に向かって勉強すること(だけ)ではなく、できるだけ多くの経験をすること。もちろん、机に座って勉強することも大切ですが、子どもが「勉強大好き!」になるためのエッセンスは、街の中や日常生活の中にあるんですよ。 だから、お子さんと一緒に驚いたり、喜んだり、そして何よりも、まずは親御さんが、もっと気楽に!もっと楽しく!

岩田かおり(いわた・かおり)

「かおりメソッド」代表。
長男、長女を幼児教室等に入れずに都内国立小学校に合格させた実績から、親が手取り足取り教えなくても、ガミガミ怒らなくても、子ども自ら勝手に勉強するようになる“しかけ”と“しくみ”を次々に考案。どんな親でも再現できるように体系化し「かおりメソッド〜教えない教育」として、世田谷でセミナーをスタートさせた。これまでに教えた子どもの保護者はのべ約300人。現在、13歳♂・11歳♀・7歳♀の母。

かおりメソッド

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