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子ども×まちづくり【たがやすメンバーコラムVol.7】

mazecoze研究所 │ 2024.12.27

こんにちは。たがやす理事の山中陽(あきら)です。
毎月投稿しているたがやすメンバーによるコラム、今月は私が担当いたします。今回は私が錦江町で子どもたちと一緒に行ってきた活動について紹介させていただきます。

ただの移住者が地域の子どもたちと共に

私は2019年に地域おこし協力隊として錦江町に移住してきました。着任当初のミッションは空き家利活用だったのですが、錦江町に移住してくる前は小学校の先生だったということもあり、子どもたちと何かしたいと思い、子どもに関わる活動を始めました。

学校の先生という立場でもない他所から移住してきたただの若者が、地域の子どもたちと一体何ができるのかわかりませんでしたが、地域住民、保護者、錦江町役場、教育委員会、学校など多方面の皆様にご協力いただき主に次の3つの活動を行っております。

①小学生主体の公園利活用
②コミュニティ食堂(子ども食堂)
③錦江町山村留学受け入れ

小学生主体の公園利活用

子どもたちとの最初の活動は公園利活用事業でした。そこは遊具も無くあまり利用されていないただ1本の木が生えている公園(公園というより空き地)。
この公園をもっと有効活用するにはどうするべきか。滑り台やブランコといった遊具を設置するのか。それを考えるのは実際には公園で遊ばない大人が会議室に集まって考えるのではなく、実際に公園を利用する子どもたちが考えた方が面白い公園になりそうということで、夏休みに小学生を募集して公園の活用方法について検討を重ねることにしました。そして考えた案を子どもたち自身が町長や町民の皆様にプレゼンしました。

子どもたち10名によるプレゼンの様子

子どもたちが提案したのは公園に1本だけ生えている木を活かした子どもも遊べて高齢の方も利用できるウッドデッキ付きのツリーハウス。
普通なら町に提案して終わるところですが、今回は子どもたちと考えたツリーハウスを子どもたちと一緒につくりたいと思い、クラウドファンディングに挑戦しました。予算を集めるという目的ではなく、町にプレゼンする際に自分たちの想いを応援してくれる人たちがたくさんいることを可視化するために、支援者数100人を目標に設定してのクラウドファンディングでした。

そして2021年8月〜2022年5月に毎月1回土日に子どもたちとワークショップを行いました。
アイデアを提案して終わり、予算を確保してプロが綺麗なツリーハウスをつくって終わりではなく、時間をかけて子どもたちと一緒につくっていくプロセスを大切にツリーハウスを完成させました。

約2年間に渡る長いプロジェクトでしたが終わった後子どもたちは「次はどこの公園をやるの?」とワクワクしていました。自分はこれで終わるつもりでしたが、気づけば翌年また子どもたちと他の公園に遊具やベンチをつくってました。笑

色塗りをする子どもたちと見守る大人たち

完成したツリーハウス

コミュニティ食堂(子ども食堂)

実は私は3年ほど前から錦江町の小学校の運営協議会に所属しており、学校行事に来賓として参加させていただくこともあります。

ある学習発表会の場で子どもたちが町に対して錦江町の課題を提言するという機会があったのですが、その際に子どもたち自身が「子どもたちの居場所が少ない」ことを提言していました。その発言を聞いて、子どもたちの新たな居場所をつくろうと思い、子ども食堂を定期的に開催することにしました。
これまで夏休み限定で年に数回開催したことはあるのですが、単発ではなく定期的な居場所をつくりたいという想いから、2024年2月から毎週日曜日の9時〜15時で開催することにしました。

子ども食堂と聞くと貧困対策というイメージもあります。今回の企画は貧困対策が目的ではなく、子どもたちの居場所づくりが目的なのでコミュニティ食堂という名前で開催しています。
「仲良く安全に遊ぶ」という最低限のルールはありますが、その他は基本的には子どもたちがやりたいことをやって楽しめる場として開催しています。

料理したい子は一緒に料理する、勉強したい子は勉強する、中で遊びたい子はボードゲームやテレビゲームなどする、外で遊びたい子はサッカーや野球をするなどその日によって様々な場となっています。

学年の壁を超えて遊ぶ子どもたち

コミュニティ食堂を開催するには様々な課題もあります。
主な課題は運営費と運営スタッフの確保です。
運営費に関しては子どもたちがご飯を食べるための食券を1枚250円で発行し、会場であるゲストハウスよろっでに宿泊に来られる方、ご飯を食べに来られる方、ふらっと寄ってくださる方に購入(寄付)していただいております。子どもたちはご飯を食べたら寄付していただいたチケットを1枚とって、お礼の言葉を書いて壁に貼るシステム。

また地域の農家さんや水産会社さんが「子どもたちに食べさせて」とお米やお魚を寄付してくださることもあります。

これまで子どもたちに利用された食券は400枚以上。寄付ありがとうございます!

開催日は基本的に私とゲストハウスよろっでのスタッフ1名とで運営しておりますが、「大人が子どもの場所をつくる」から「子どもが子どもの場所をつくる」のも面白そうだなぁと思い、SNSで高校生や大学生のボランティアスタッフを募集したところ、鹿児島市内の大学生や地元の高校生と繋がることができ、ボランティアの子たちが参加できる日はその子たちと一緒に運営しています。

小学生とボランティアの高校生と大学生

参加する子どもたちは最初は5〜10名程度の規模でしたが、続けるうちに徐々に参加者も増えていき、多い時は40名を超える子どもが参加することもあります。
下校中の子どもたちや小学校の行事(運動会や餅つき大会など)で子どもたちに会うと「今週はコミュニティ食堂ある!?」と楽しみにしている子どもたち。

他にも課題もあり、いつまで続けられるかわかりませんが、子どもたちも楽しみにしてくれているので今後も無理のない範囲で続けたいなぁと思っています。2025年3月までのどこかでBBQもやりたいと思ってるけど実現できるかどうか……頑張ろう。笑

子どもたちと関わるモチベーション

すでに長い文章になってるので③山村留学の受け入れについてはまたの機会に。
教育委員会でも学校でも役場でも保護者でもない、「ただの移住者」である私がこれだけ子どもたちと関わらせていただいたことは本当に特別で幸せなことだと思います。

私が活動している錦江町が掲げているスローガンに「子や孫へ、希望あふれる未来を創りつなぐまち」というものがあります。
町として大きく掲げていますが、自分が子どもたちと何かしてきたのは目の前の子どもたちが楽しそうという単純な理由です。

子どもたちと何かするときには様々な課題が出てきます。大変なことや反対意見が出てきて結局実行せずに終わりということも多々あると思います。
コミュニティ食堂も体力的にしんどいこともあります(コミュニティ食堂が終わった後に夜まで仕事が入っている時など)
ただ目の前の子どもたちが楽しそうなのでやってて良かったし、今後もやっていきたい、続けば良いなぁと思います。

子どもたちが元気だと地域も元気になる。
子どもが少ない高齢化率約50%の町ですが、いつまでも元気な子どもたちの居場所がありますように。

たがやすnote

(文・画像提供 山中陽)

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