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第4回:絶対に知ってほしい!オランダの共働き事情!

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オランダから、こんにちは! 前回の最後に、「親が忙しすぎない」ということについて書きました。今回は、その理由について掘り下げていきたいと思います。

週3〜4日勤務が普通のオランダ!

オランダは、知る人ぞ知る、ワークシェアリングの国です。OECDの調査でも、週30時間未満しか働かない人が35%で世界でもずば抜けています。個人的な印象では、老若男女問わず、週3〜4日勤務の人が圧倒的に多く、週に5日勤務している人の方が珍しい印象です。
参考記事:Part-time employment rate

日本では、最近「教員の働き方改革」が話題ですよね(私もかなり重要性を感じて、日本向けに「セレクトタイム」という授業プランを提唱しています)。オランダでは、教員さえ、週3〜4日勤務が「普通」です。校長先生でさえも!!

クラス担任が2人いて、月〜水曜はA先生、木〜金曜はB先生という場合がよくあります。週1日だけ、校長先生が担任代わりになるという場合もあります。
担任が2人いると、1人の場合よりも子どもとの相性の問題が緩和されます。また、片方の先生が病気などで長期間休む場合、もう片方の先生が都合をつけるということが出来ます。
敢えて複数担任制にするために、A先生が月曜と火曜曜は1年生を担任し、木曜と金曜は2年生を担任するということもあるほどです。とにかく制度が柔軟です。

また、病院へ行っても、市役所へ行っても、会計事務所へ行っても、銀行へ行っても、とにかくあらゆるところで、「○曜日は、私は休みです。」と宣言されることが多いです。

私がイエナプラン研修で2週間ホームステイさせてもらった酪農農家の話です。父親が敷地内で100頭の乳牛を管理し、母親は週2日は往復2時間の会計事務所で働き、週1日は在宅で同じ仕事をしているとのことでした。
「もっと働きたい?」と聞いたら、「息子(14才)や娘(11才)のこともあるし、家のこともあるから、週3日がちょうどいい。」とのことでした。このお母さんは、仕事のない曜日は、毎週ランチタイムに学校に来て、先生たちが昼休憩している間に子どもたちを見守るボランティアをしていました(オランダでは、このランチタイムの見守りボランティアもよくあります)。
さらに、ホームステイ中、このお母さんが仕事で遅くなる日は「近所の友達が夕飯を作って持って来てくれるから」とのことでした。近所の人がオランダ名物のマッシュポテトとソーセージを鍋ごと持って来てくれ(しかも、ソーセージは真空パックのままマッシュポテトの中に入れて保温するという斬新な方法で!!笑)、19時に帰ってきたお母さんと一緒に、その近所の夫婦と一緒に夕飯を食べました。「19時は遅い」という考え方なのですね。

週3日勤務で16時代に帰れるカラクリとは?

  老若男女問わず、このような働き方なので、「共働き」もよくあります。男性だけが週5日働くよりも、男女ともに週3日勤務で合計週6日の方が生活費が稼げるという考え方です。
実際、日本では正社員だけが社会保障を受けられる仕組みですが、オランダではそんなことはありません。例えば、医療保険は、仕事に関わらず全員が自分で選んで自分で入る仕組みです。フルタイムもパートタイムも、本当の意味で「同一労働同一賃金」なのです。

「共働きの家庭は、子どものお迎えはどうするの?」とよく聞かれます。子どもたちは、4歳から小学校に通えますが、10歳くらいまでは週に2日は午前授業です。水曜日はオランダ全土、全学年が午前授業です(日本も昔はそうだったはず!)。週に2回も午前中にお迎えに行くわけですが、特に問題にはなっていないようです。両親ともに週4日勤務ならば、どちらかが休みの日が週2日はある計算になりますし、両親ともに週3勤務なら、どちらかが休みの日が週4日ある計算になります。
さらに、どうやら祖父母が子どもの面倒をみると、助成金がもらえるらしいのです(保育園に払う保育代の代わり、ということになりますね)。

先日面白かったのは、私が息子たちを迎えに行くと、初めて会う年配の女性がいて、「娘の友達の娘を迎えに来た」というのです。関係性を理解するのに、かなり時間がかかりました。(笑)その「娘の友達」が急に仕事で来られなくなったので、ということらしいです。きっと、このように「助け合う」ことも珍しくないのでしょう。

さて、週3〜4日勤務だとしたら、その週3〜4日が残業だらけで大変なのではないか、と思いますか? そんなことは全くありません。高速道路の帰宅ラッシュは、16時代です。学校の先生たちも、学校によって違いますが、子どもたちが14時半から15時半くらいに帰ると、その後1〜2時間仕事をして、遅くとも17時には退勤します。

また、40代の校長先生の例です(オランダでは、20代から校長になれます)。彼は、月〜水の週3日勤務です。木・金などに学校に来なければならない理由が出来た時は、「代わりに月曜に休むね」と職員に言って調整しています。有給休暇、早退、遅刻などの書類は一切ありません。責任と信頼の元で仕事をしているのがよく分かります。

最後に、女性の産休・育休についてです。確かに、日本のように3才まで育休が取れるということはないようですが、皆、自分の意志でいつ復帰するかを決めているようです。私は、長男が1才2ケ月で復帰した経験がありますが、週3日勤務が出来たらどんなにいいだろうと思っていました。1ケ月だけ「育児短時間勤務」という教員があまり取得しない(幻になりつつある)制度を利用しましたが、結局サービス残業や持ち帰り仕事が増えるだけの印象でした。

親に余裕があると、子どもの幸福度が上がる

「親が忙しすぎないから子どもの幸福度が高くなる」関係について、改めて書いておきます。 一つには、子どもの睡眠時間の長さです。オランダ人は、「家族揃って18時に夕飯を食べる」と私のオランダ語のテキストに載っていました。3家庭にホームステイしましたが、本当でした。
そして、20時から21時には子どもたちは寝ます。一時期、次男が20時に寝ていても学校で眠くなってしまった時には、担任の先生に「19時に寝なさい」と言われたほどです。日本の働き方では、とても無理ですよね。
子どもたちが早く寝られるのは、塾や宿題、そして日本で重要視されてしまっている「翌日の準備」がないのも大きいと思います。とにかく、家に帰ってから「翌日の学校のために何かを準備する」ということが皆無なのです。

もう一つ、親自身が時間的余裕をもって働いているので、精神的余裕があります。ホームステイ中も、買い物をしていても、学校で出会っても、習い事に行っても、「イライラして怒っている」ところを見たことがありません。子育てや学校教育で一番重要なのは、大人が余裕をもって子どもに接することなのではないか、と最近痛切に感じています。

以上のような働き方の国で、現在わが川崎家では、夫が「専業主夫」生活をしております。ただ、専業主夫と言っても、朝ごはんと簡単な子どもたちのお弁当(サンドイッチ)は私が作っています! 洗濯を取り込むのも、たまにやります。他は、ほぼ全て夫の仕事となっています。

私は、週に2回はイエナプラン校にアシスタントに行っています(無給ですが、無料でオランダ語を教えてもらい、教育実習をさせてもらっているようなものです)。他に、オンラインで日本の子どもたちと探究レッスンをしたり、先述した「セレクトタイム」のオンラインゼミも行っています。
私自身は、「オランダにいるのになぜこんなに慌ただしい生活をしているのか?」と時々自問することもありますが、とても心地の良い毎日です。夫婦としても、この働き方・生活の仕方が、とても心地よく、合っているのだと思います。

どこの国に住んでも、自分で、そして自分たちで選んでこの働き方をしているのだと思えることが幸せに繋がるのではないかと思っています。

川崎 知子(かわさき ともこ)

東京都墨田区出身。東京都の公立小学校で担任として11年間勤務。
2009年、リヒテルズ直子氏と尾木直樹氏の対談本「今、開国の時、ニッポンの教育」を読み、オランダの教育を知る。同年より、上越教育大学の西川純教授が提唱する『学び合い』も実践。2011年より、日本イエナプラン教育協会の千葉支部としての勉強会をイエナカフェという名前で開始し、墨田区や江東区では親向けにも開催する。2015年にオランダでのイエナプラン研修に1週間参加し、イエナプランの学校の子どもたちの自然に学ぶ姿に改めて感銘を受ける。教室にベンチを置いて、いつでも輪になって話し合いが出来るようにするとともに、自分たちで時間割を作ったり、学び合ったりするブロックアワーを実践。
2013年、長男の育休明けには育児短時間勤務を取得。2人の息子の育児をしながら仕事をする上で、イエナプランを実践することが「働き方」にも好影響であることを実感し、2017年7月の「学校働き方フォーラム」で「子育て中でも働きやすくなる方法」として紹介。
2017年9月より、夫と息子たちとともに、オランダに移住。長男をイエナプラン校に通わせながら、研究を続けている。オランダにて、イエナプラン専門教員資格取得。
イエナラボ
オランダより愛をこめて~教育と子育てと日々の暮らし~

研究テーマ:コラム
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