たった3時間で「幸福体質」に!?
前野隆司教授のハッピーワークショップ体験記
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目次
「幸せになるメカニズム」はもう解明されていた!
「幸福学」なる学問を研究しているということで、このところメディアに登場する機会も多い慶応義塾大学大学院SDM(システムデザイン・マネジメント研究科)教授の前野隆司先生。 実はmaze研・あべ、先日ひょんなことからお目にかかる機会に恵まれまして、直接お話させていただいたところ、「僕は、世界中の人を幸せにしたいと思っています。実は、人が幸せになるためのメカニズムは、ほぼ完全にわかってきているんです」などとおっしゃる。 ニッコニコしながら「世界中の人を幸せにしたい」と言ってのけるスケール感もさることながら、冷静に考えて「人が幸せになるメカニズムがほぼわかっている」ってすごくないですか? てことは、それを実践しさえすれば、みんなが幸せになれちゃうわけですよね。
ラブ度高めな夫婦漫才でさっそくハッピーシャワーの洗練
実はこのワークショップ、告知と同時に毎回すぐに定員が埋まってしまうという人気イベントだそうで、この日も80人の定員に90人以上が参加するという大入り満員状態でした。入り口で、「初対面の人3人とグループを作って着席してください」という指示が出されたため、会場は人いきれでムンムンなのに(この日は真夏日)妙に静かという緊張感漂う雰囲気に。そんな中、パートナーのマドカさんを伴って前野先生が登場です。 マドカさんはSDMの研究員でもいらっしゃるそうで、おふたりはご夫婦でもあり、師弟関係でもありというステキな感じ。しかも何なんでしょうねぇ、このおふたりの掛け合いは。夫婦漫才というより、ただのラブラブカップル。ややオトナの毒がありつつも、のほほ〜ん、ほのぼの〜としたやりとりに、参加者全員、いきなり当てられる展開に。 「幸せは移るんですよ」と前野先生はおっしゃいますが、果たしてワークショップが終わる頃、私たちもこのご夫婦並みのハッピーオーラを身につけられているのでしょうか。
求めだしたらきりがない「地位財型の幸せ」という刹那
グループワークに移る前に、まずは前野先生による「幸福学」のミニ講義。 幸せの種類や要因にはいろいろあるけれど、大きく分けると、- 地位財型の幸せ
- 非地位財型の幸せ
持つべきはこの4因子。果たしてワークで高められるか?
その反対に、長く続くのが「非地位財型の幸せ」。これは、安全な環境だったり、健康など身体にまつわることだったり。中でも、(ここからが本題なのですが)最も大きいのが心的要因に基づくこと。 前野先生は、1500人の日本人にアンケートをとり、その内容をコンピュータ分析することによって、心が幸せを感じる因子が次の4つであることを突き止めました。 その1:やってみよう!因子(自己実現と成長の因子) 夢や目標を持つワクワク、それが叶った充実感を感じることが多い人が持つ幸せ因子。 その2:ありがとう!因子(つながりと感謝の因子) 人の喜ぶ顔を見るのがうれしい、愛情や感謝の気持ちを感じている人が持つ幸せ因子。 その3:なんとかなる!因子(前向きと楽観の因子) 肯定的に物事をとらえ、切り替えが上手で落ち込みを引きずらない人が持つ幸せ因子。 その4:あなたらしく!因子(独立とマイペースの因子) 他人と自分を比べずマイペース、オープンマインドで自己概念が明確な人の幸せ因子。
脳内麻薬にまみれてみるみる上がる幸福度
あらかじめ渡されていたかわいらしいワーク専用カードに、それぞれの因子につながる自分ごとを書き出していくのがワークの基本。因子その1のワークなら、「今持っている夢や目標を3つ書き出す」、因子その2のワークなら、「感謝をしているもの3つとその感謝している理由を書き出す」といった具合です。 夢や希望は「世界征服」から「おいしい寿司が食べたい」(←これ、私。ちっちゃ!)といったものまで、規模感にかかわらずなんでもござれ。感謝している対象も、家族や友人だけでなく、自然とか地球とか人じゃないものでもいい。基本的に自由です。これを実際に考えてカードに書き出していると、確かに楽しい気分になってきました。さらに、3人グループとなったメンバーとのシェアタイムも、自分にはない価値観の発見などがあってワクワク。
会場騒然! 次のお題はなぜか「寸劇(SKIT)」
ただ、この後に続くワークには、一瞬会場がどん引きました。だって、「今までシェアしてきたエピソードの中で、一番印象深かったモノを寸劇に仕立てて発表してください」って……。参加者の表情も一様に「はぁ? 寸劇!?」て感じです。人前で演技するなんて幼稚園以来じゃないのかぐらいの人がほとんど。でも、ここまで来たからにはやらねばならぬのです。 そのあたりは、やはり前半のワークで幸福度が上がっているせいなのでしょうか。みなさんとっとと腹をくくってパキパキ動く動く。準備に与えられた時間は30分程度と短いものでしたが、素人くささ満載ながらも、どんどん形ができあがっていきます。
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人類の窮極の幸せは、やっぱり「世界平和」
寸劇の後はラストワークとして、縁あってチームとなったメンバーに自分が気づいたその人の良いところ、印象に残ったことをカードにしたためてプレゼント。こういった行為にも、褒められることによって自己肯定感が高まったり(因子その1)、メンバーとの絆を深めたり(因子その2)といった、幸せを高めるポイントがあるんですね。普段の暮らしでも実践できそうなポジティブ・フィードバックは、習慣になったら自分も周囲もどんどん幸せになれる気がします。 ハッピーワークショップには、各因子を3時間ずつかけてじっくり学ぶ4日間のプログラムも用意されています。今回は、ワンデイ3時間のショートバージョンでしたが、どのワークもシンプルながら、やっているうちにみんなの幸せオーラが上昇しているのを実感できました。 余談ですがこのワークショップ、夫の前野先生が突き止めた幸せの4因子をより多くの人に広めたいと、妻のマドカさんが考案したものだったとか。どこまでもステキなパートナーシップのおふたりです。
慶應義塾大学大学院SDM研究科 前野隆司先生のホームページ 「幸福学」入門編の講義がコチラからYouTubeでご覧いただけます