定年過ぎたら悠々自適なリタイアメント・ライフとか言っている場合じゃなかった!
こんにちは。研究員の阿部志穂です。
「外部研究員さんたちだけじゃなく、まぜ研メンバーも自分でネタを発信していこうぜ!」ということになり、これからは、私を皮切りに他のメンバーもいろいろ書いていく予定です。私の場合、「あべちゃんは資格あるから、働き方のこととか書いて〜」と、ほてはま所長から気楽に命令されたので、そんな感じの連載になっていく予定です。どうぞ、よろしくおつきあいくださいませ。
さて、物書き生活18年。本当はエンタメ・ライターとして活躍したかったのですが、修行のために入った編集プロダクションで、なぜか資格とか転職とか社会人大学とかの記事担当にさせられたワタクシ。知識をつけるために身銭を切って取得したのが、いわゆる「キャリアカウンセラー」の資格です。なにせ当時は、司法書士と行政書士の違いも知らないねーちゃんだったので、いきなり「サムライ資格大研究!」とかの特集を持たされ、自分でもどうなることかと思ったわけです。でもまぁ、人間、たいていのことはなんとかなるもので、今では「 “働く”ってテーマはだいぶオモシロいな!」という感じ。このテーマを扱ってなかったら、多分、まぜ研のメンバーにもなっていなかったと思いますし、人生、まか不思議でございます。
定年から25年以上も残る人生、リタイヤしている場合じゃない!?
そんな私が送る「70歳になっても働き続ける未来のために」。
軽やかなまぜ研サイトに似つかわしくない、重くてカタい、略してオモカタなタイトル。それなりにマジメに書いていこうという、筆者のなみなみならぬ決意の表れです。なぜなら、これからのニッポン。男女関係なく70どころか80歳になっても働き続けなければいけないかもしれないわけですよ。それは、みなさんも薄々感じていますよね。なんといっても、今、30、40代の人、ほとんどが90歳以上まで生きちゃうわけですから。
※内閣府の発表している「日本の将来推計人口」によると、2050年の女性の平均寿命は90.29歳、男性の平均寿命は83.55歳になる予定。
仮に65歳で定年退職したとしても、まだ四半世紀以上も人生があるという未来予想図です。これは、リタイヤしている場合じゃないですよ。だって、生きてりゃお金がかかります。で、そんなに長い間、ちゃんと生活し続けられる退職金を払ってくれる会社なんて、どんだけあるんです?って話ですから。
もちろん、現役時代からコツコツ貯金してつましく生活し、定年までそれなりに働き、リタイヤ後も最低限の消費で…という暮らしをすれば、伸びてしまった寿命分、生きながらえることができるかもしれません。でも、このご時世、自分が定年の日を迎えるまで会社が存続する保証なんてまったくないし、正直なところ、私だったら耐えられません。100年近くもの間、山もなく谷もない日常を淡々と生き抜くだけなんて、いったい何のための人生か!?、と。 ヒトとして生まれた以上、いろんなものを見て歩きたいし、美味しいものを食べながら仲間と語らいたいし、そこそこオシャレだって楽しみたい。子どもには自分以上に素晴らしい経験をさせてやりたいと思うのが人情だし、孫ができたら財布のひもを緩めまくって「おばあちゃん大好き!」とか言われる年寄りになりたいじゃないですか。
多くの人は「仕事が嫌い」。ここを変えれば未来も変わる!
そんなわけで、最上級ではないものの、このくらいの比較的幸せな人生を送るひとつの方法が、「70歳になっても働き続ける未来」を選ぶことだと、私は思っています。これまで、のべ1,000人以上の方に働き方や人生観に関するインタビューしてきた中で達したある種の結論ですので、それなりに信ぴょう性はあるはずです、多分。(メディアに登場する識者の方で「これまで1,000人以上の女性にカウンセリングをし」とか、「3,000人以上の転職を成功させ」といったプロフィールを持つ方をたまに見かけますが、このまえ概算したら私も余裕で1000人越えていて、自分で自分に少し驚きました(笑)。)
か・り・に。「うち、とんでもない富豪なんで、マジで将来NO問題なんですよぉ。ちょっと心配なことと言ったらぁ、相続ぐらい?」という、大変恵まれた環境にいらっしゃる方だって、仕事をし続けていたら、暮らしにそれなりの緊張感が生まれるのでボケにくくなるかもしれないし、体調管理に気を遣うから健康寿命だって延びるかもしれません。長生きしたって、健康でなければきっとツラいでしょうから。それに、働いていれば社会と接点がある分、人生を“孤独死”で幕引きせずにすむかもしれません。
こうやって見ていくと、働くことって、「お金を稼ぐ」という第一義以外にも、さまざまな価値がある行為なんですよね。
でも、世の中には「仕事があまり好きじゃない」という人がいて、いや、多分、そういう人の方がきっと多くて、働くことに「楽しくない」「疲れる」「ツラい」というイメージを持ってる人が少なくないでしょう。でも、気力も体力も衰えてくる70歳過ぎまで、そんな「楽しくもない」「ツラくてお金を得るためだけの」仕事を続けるのは、それこそしんどそうですよね。
生涯現役をかなえてくれる“mazecoze”な働き方
では、70歳になっても働き続けるにはどうしたらいいか? できれば、前向きに、楽しく、モチベーション高目で! ———その問いへのひとつの答えが、手前味噌ながら「mazecoze精神」の中にあるような気が、私はしています。
仕事とプライベートを切り分けない日常、世代や性別や国籍で切り分けない人間関係、自分の価値観やスキル、リソースをオープンに共有することで、新たな価値を生み出す生き方。いわゆる、ダイバーシティ、ユニバーサルデザインなどにも通じるこのような考え方を実践すれば、なぜ長く幸せに働き続ける人生を実現することができるのか…? このコラムでは、キャリア論の先輩方のお話や私の元を訪ねてくださるキャリアカウンセリングのクライアントさんたちの事例なども紹介しながら、そのあたりの解明を進めていきます。うん、なんだか研究員っぽい!
まずは、初回はごあいさつ。また次回、お目にかかりましょう!