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「楽しさを伝播させる」自由参加型PTAが盛り上がる理由とは?

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保手濱です。またPTAネタ入ります!

「PTAを面白がる会」開催しました!【前編】
「PTAを面白がる会」開催しました!【中編】
「PTAを面白がる会」開催しました!【後編】

今年度から息子が通う小学校のPTA役員になった私。そこで気づいたのが、どうやらPTAの制度や運営に疑問を抱く子育て世代が思ったよりたくさんいるということでした。

【おさらい】PTAとは?

Parent Teacher Association(任意団体)
歴史:第二次大戦後、 GHQの指示で文部省が設置。
目的:PTAは、児童生徒の健全な成長を図ることを目的とし、親と教師とが協力して、学校及び家庭における教育に関し、理解を深め、その教育の振興につとめ、さらに、児童生徒の校外における生活の指導、地域における教育環境の改善、充実を図るため会員相互の学習、その他必要な活動を行う団体です。
(昭和42年6月23日文部省社会教育審議会報告)

戦後GHQにより全国の学校のへ設置が進められたPTA。長い歴史の中で「父は仕事・母は家事」というように全ての家庭が決まった形であるということを前提に運営されてきましたが、家庭状況の多様化や共働き家庭の増加により、変革を迫られる時期に来ています。

私もそんなビッグウェーブに乗り、PTAについて大いに騒いでいたところ、お友達が「PTAを面白がる会」を開催してくれたのが今年の5月。そこではいい大人がお酒を飲み交わしながら本気でPTAを面白くするためのアイデアを一生懸命考えたのでした。

イベントの様子

さて、イベントでたくさんのおもしろアイデアが出たのはいいのですが、ではそのアイデアを自分のPTAに活かすためには何から始めればいいの??もうちょい他校の事例を知りたいなーと思いまして見に行ってきましたよ。

白羽の矢が立ったのはPTAを面白がる会イベントレポ 中編で登場してくださった杉山さん。イベントでは、ポイント制などに頼らずやりたい人が参加するPTA活動を行なっているという話に参加者一同ざわついたのでした。


杉山さん

そんな楽しく活動してるってほんまかいな?いっちょこの目で確かめてきますか!というわけで、杉山さんが顧問を務める品川区の清水台小学校へゴー!!

いきなりものすごいイベントを見せつけられる

この日は1学期の終業式の午後。「楽しいから絶対見に来て!」と呼ばれたのは杉山さんのお隣の小学校。近づくとなにやらキャーキャー楽しそうな子どもたちの声が。

なんと近隣4校のPTAが合同で開催している「水神祭」というウォーターバトル大会を開催中だとか!

子どもたちが各々武器(水鉄砲)を持ち、色んなゲームに参加中。炎天下の中大盛り上がり!

水風船を投げてキャッチできる数を競ったり、リレーをしたり

対抗戦だから気合いも入ります。2億点入ってるのは謎ですが

ゲームごとにBGMが大音量で流れ、まるでどこかの企業が主催する商業イベントのよう。

いました!杉山さん。子どもたちに混ざってこの日は司会のようですね。さすが放送作家、絶妙な進行で盛り上げています。

それにしても、杉山さんの上のお子さんは既に中学生になり、下のお子さんは未就学児のため、今は小学校に自分の子どもはいないそう。もちろんイベントにも参加していません。それなのにこの真剣な感じは一体何??

さらにイベント後半になると、校舎の影で大人たちがなにやらゴソゴソ。

え、仮装ですか???今日はハロウィンじゃなくて水遊びイベントですよね?? 一体これから何が起こるのでしょう…。

大会終了後、校長先生扮する水神さまより、優勝した学校にはトロフィーが手渡されます。

勝った学校も負けた学校も、みんな頑張った!来年も頑張ろう!
感動のフィナーレを迎えたと思いきや…?

満を持して登場

で、でたあ〜!さっきの仮装軍団がマイク持って登場!会場騒然です!

どうやら設定としては、水神さまの敵の黒水神さまたちだそうです!
さあ、このままではいけない!黒水神さまたちの頭の上についている宝珠(オーブ)が悪の力で黒くなっているのを、水鉄砲できれいにしましょう!

逃げる黒水神さまと宝珠(ボールを黒く塗ったもの)

保護者の悪ノリがすごすぎます!この設定、居酒屋で飲みながら決めたでしょ??

子どもたち大喜び!

…てな具合に大盛り上がりでした。

印象的だったのは、子どもたちが楽しそうなのはもちろんのこと、関わっている大人たちが全員相当楽しそうだったこと!

「なにかうちのPTAでも参考にできるものがあるかなー」と気軽な気持ちで見に来たのですが、ハイレベルすぎて何から真似すればいいのかわかりません…。

これは話を聞かないとあかん、とイベント後に疲れ切っているであろう杉山さんと会長の田澤さん、ついでに校長先生と副校長先生も捕まえてインタビューしましたよ!

少人数のスーパーPTA、その全貌に迫ります!

左から杉山さん、PTA会長の田澤さん、校長の高橋先生、副校長の齊藤先生

全学年で119人と、少人数制をとる品川区立清水台小学校。品川区の小学校は学区制ではなく、各家庭で子どもを通わせたい小学校に希望を出します。清水台小学校はPTAの評判もあり年々児童数が増えているそう。

「僕たちが抜けてからもこの学校が盛り上がっていくために、学校説明会でもPTAがひと肌脱ぎます。PTAが保護者の立場で説明したほうが共感してもらえますし、先生たちが言えないようなこともコソコソっとね(笑)」と杉山さん。

「PTAがリクルート活動を頑張ってくれてるおかげで児童数はどんどん増えてます」と副校長先生

顧問など特別な立場をのぞき、通常は自分の子どもが卒業したら退会するPTA。それでも学校の児童獲得に積極的に協力するなんて、学校にとっても頼もしい存在ですよね。

イベントをたくさん開催!活動の見える化でみんなが納得

「イベントが多いので、ちゃんとやってる感が出るんですね、PTAの」

PTAが主催する年間のイベントは、春のバーベキューから始まり、先ほどのウォーターバトル、秋の焼き芋、冬の餅つき。これ以外にも夏休みの終わりには地域と合同で行う避難所宿泊体験(花火大会つき)や、スラックライン、かけっこ、サッカー教室、子どもを楽しませるために大人だけ参加できるマジック教室など、本当に盛りだくさん!

「イベントには在校生だけじゃなく町会の方達を呼ぶことも。会費制にして、経費はだいたいその日集まった会費でまかなえる形にしていますが、町会さんからお祝い金をいただくこともあります。あとはドジョウとかザリガニをいただいて、ドジョウ掴みしたり、ザリガニ釣りしたり」

避難所体験訓練。教室に泊まるための段ボールハウスを自分たちで作る

町会さんとは防災対策についてもよく話し合うそう。夏の終わりに開催する避難所宿泊体験も、災害時に学校を避難所にした場合を想定して泊まってみようというイベント。そういった機会に町会の人たちが地元の子どもたちと顔見知りになることも、防災・減災につながります。花火大会をセットにすれば、子どもたちにとっては学校に泊まって花火ができるというとっておきのイベントに!堅苦しくならず、あくまで楽しくやるというのがいいですね!

本格的な花火大会!

イベントが多く、目に見える活動をたくさん行なっているからか、年に1度徴収するPTA会費についても不満が出ることはないようです。

「新入生の保護者には、4月にPTAについての説明を必ずします。学校のPTAっていうのはどういうことをやってて、どういうお金の流れをしててって。納得してから入ってもらうんです。あとはたくさんイベントやっていれば、『PTA頑張ってるからね』って大目に見てもらえるので、神経質にならなくて済みますね」

PTAに加入しなかったり会費を払わない保護者がいるという問題もよく聞く昨今ですが、たしかにこんなに盛り上げてくれているならどんどん払いたくなるかも。

無駄を省いた大改革!楽しいPTAを作るまで

杉山さんがPTA会長に就任したのは今から4年前。上のお子さんが4年生の時です。 なんとその時は、全国のお父さんお母さんが頭を抱えている問題が山盛りだったそう。

「会長に就任してから、無駄なものを徹底的に省いていきました。文句?言われないですよ。だってみんな心の奥では嫌だと思いながらやってたんだもん」

杉山さんはPTA主催のイベントや業務を全て洗い出し、見直していきました。平日の昼間に何度も開催されるミーティングを極力減らし、惰性でやっているイベントは面白いものに変えていきました。

「判断基準は筋が通っているかどうか。『なんのためにやってるの?』と聞かれて答えられないものはやっちゃいけないよね。もちろん、なんでもかんでもやめたり変えたりしたわけではなく、一見無駄なようでも町会さんとの事情があったり、よくよく聞くと必要なこともあるので、前会長ときちんと仕分けをしていきました」

町会さんとは元々はそんなに交流がなかったそうですが、イベントに顔を出したり、逆にお誘いしたりと交流を増やしていき、だんだんと親しくなっていったそうです。

「町会さんのほうは若い人たちを増やしたいという思いがあって、僕らも活動していく上で地域との連携は欠かせない。お互いが必要な存在なんですよ」

また、外部の協力団体として「GOOD FATHER 清水台」というお父さん団体があり、清水台小学校の102家庭のうち30家庭のお父さんが参加しているそう。これは子どもが小学校を卒業しても在籍できるので、PTAの活動にも長く関われる人が増えていく仕組みとなっています。

全体合意を待つよりも、ガンガン進めちゃう!

「打ち合わせや連絡は、イベント前とか必要なときにLINEでばばーっと集中!あまり集まらないです」

以前は月に1度平日の昼間に定例会を行なっていましたが、中止に。集まらない分オンラインでのコミュニケーションは密にとることを意識していきました。 先生方への連絡は電話とメールでするものの、保護者同士の連絡はとにかくLINEを大活用。 役員LINE、イベントの打ち合わせLINE、お母さんLINE、他校の会長LINEなど用途別にグループをたくさん作り、目的別にやりとりしているそうです。

「学校とのやりとりもほとんどメールですし、よその学校に比べても打ち合わせなどでPTAが教室を使う回数が極端に少ないですね」と副校長先生。

 

「僕なんてほとんど学校来ませんよね!」という田澤さんは、会長になって今年で3年目

しかし、ここで湧き上がる疑問がひとつ。LINEやってない保護者への連絡はどうするの?

職種や経歴関係なく、同じ地域に住む保護者が玉石混交に集まるPTA。もちろんITリテラシーもさまざまで、クラスの中にガラケーだけしか持っていない人が1人でもいるとLINEが使えないというケースはよく聞きます。 そうすると全家庭が確実に連絡を取れるメールしか使えなくなり、LINEに比べて返信や履歴の確認に時間がかかるメールでの密な打ち合わせは、できないことはないけどかなり難しいですよね…。これ、小さいことのようですが悩んでいる方も多いのでは?

「僕らにはそういう考えないですね。それって平等のようで、実は縛りをかけてるんじゃないかな。できない人がいたら、じゃあその人には電話かメールで連絡するよっていうだけの話で。LINEやってない人がいたら誰かお母さんが1人『私がメールで転送しときます』って言ってくるしね」

ほてはま、目から鱗です。当たり前のことっちゃ当たり前のことですよね。便利で有効な手段があるならそれを使おう。それが子どもたちのために繋がるんだから。
もちろん排他的になることは良くないですが、PTAだからって過度に全体合意を待つ必要はないんですよね。

やりたい人がやっているから「不平等」にならない

「こんなPTAだったら私はなんの役員やろうかな〜」妄想を膨らませる私

ポイント制などの強制参加はなく、参加したい人が参加するPTAに変えていった清水台小学校。役員決めはどうしているのでしょうか?

「うちのPTAには役員・委員・係があって、必ずどれかにはなってもらっています。役員が中心的なポジション。係はたとえば学校での講演会に参加したりとか、比較的簡単な仕事です。だからあまり参加できない・したくないっていう人は係になりますね。それぞれの事情もあるし、無理して役員やってもらうよりは、やりたい人がやっていくほうがいいので。」

役員は推薦制度になっていて、それぞれが自分のポジションを来年度引き継いでくれる人を探して推薦するそう。普段からやりとりしていれば各ポジションの向き不向きも見えてくるし、責任を持ってやってくれそうな人が見つかりそうですね。

「きちんとやってくれる後釜を探すので、それはそれで大変ですけどね。たまに逃げられたりして(笑)」

お話を伺っていると、何か優れた制度があっても、それがあれば全て上手く回るかというと、そうはいかない。結局は中心となる人たちがいかにコミュニケーションをとって進めていくか、それに尽きると感じました。

相互コミュニケーションが一番の要

「僕ら投げっぱなしにはしないんですよ。学校側からも『これやってくださいねー』って雑に投げられることはなくて、それに対する想いとやりたいことが具体的に来るので、こちらも骨組みを1回作って、これどうですか?って見せて。で、学校側も『じゃあ学校は何をすればいいですか』『これはこうしてください』みたいな、あくまで普通のキャッチボール。無茶ぶりとか変な振り方はされない。会話がしやすいとは思います」

台東区から赴任したばかりの校長先生。「PTAは地域ごとに特色がかなり出ます。前の学校は三社祭を中心に物事が進んでました(笑)」

「もちろん安全面の理由からとか、ブレーキを踏んでくれることはありますよ。でも別に嫌な気持ちにはならない。むしろ僕ら突っ走りすぎちゃうところがあるので、『ごめんなさい、ちょっとやりすぎました!』っていう(笑)」

改革後は、全ての業務やイベントはそれぞれきちんとした理由を持つようになりました。その根本の部分から理解をし合って進めていくから、「やらされてる感」が減ってモチベーションも上がるんでしょうね。

やりたくてやってるから、楽しさが伝播していく!

中心となる役員の方々が楽しく進めていくことで、お父さんたちだけでなくお母さんたちも楽しく参加してくれているそう。

「副会長がお母さんたちのトップみたいな人で。威圧的というよりもちょっとおバカな(笑)トップというか。常にはっちゃけてる人で。他のお母さんたちも一緒にノリノリになってやってくれます。今回のウォーターバトルでも、『黒水神様の手下になってずぶ濡れになる人を募集します』って言ったら、全員わー!って。『私やります!私やります!』って言ってくれて、思った以上に集まりました(笑)」

みんながやりたくて楽しくて参加するPTA。これって本当に理想です。

「全体的に楽しくやってる空気感があって、その中だから手を挙げやすいというか。僕らだって楽しいからやってるんですよね。楽しさって伝わっていくじゃないですか。それはもちろん子どもたちにも伝わって、参加したら面白いなって思ってくれる、というのがきっとずっと続いてるんでしょうね」

まさに楽しさの伝播。中心となる人たちが他の保護者や先生方、子どもたちも巻き込んで楽しいPTAを作り上げているということですね。

色々学ばせていただきました。清水台小学校の皆さん、ありがとうございました!

(撮影:木内和美 取材・執筆:保手濱歌織)

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キーワード:子育て, 暮らし
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