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「隣人」が育児を救う!? ──家族も友情も超えた他人との、子連れルームシェア【後編】

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前編

西夫婦の子連れでのルームシェア暮らしインタビュー、後半です!
「他人」は「家族」を超えることができるのか、この人間関係にどんな可能性があるのか。
「他人」っていいなあ、「他人」だからこそ出来ることがあるのか。むしろ「家族」より強いんじゃないかこの共同体は?
そんなことを思い知らされた後半戦、それではどうぞー!

「他人」だからこそ小さな不満に慣れるしうまくいく

編集部:ルームシェアの記事を読んでると、お互い越えすぎないようにするルールとかあるじゃないですか。そういう決まりや、子供が生まれてから作ったルールはありますか?

晃彦さん:うちらはそういうのほとんどなくて。

美樹さん:あえて言うなら「干渉しない」
例えば、前のもーりーの部屋は一旦個室に入らないとベランダに行けなかったけれど、干した布団が雨に濡れていても取り込まない(笑) で、夜になって帰ってきてから「濡れてる!」っていう声が聞こえてごめんねって心の中で謝る。

個室のドアを開けることに対して、子どもにも言っているんですがよっぽどのことがない限り開けない。トイレに行くようにもーりーの部屋を行き来して遊ぶとかいうのは絶対ダメだと言っているし、本人たちも人のテリトリーだっていうのは多分わかっている。

編集部:それは子どもにとっても非常にいいですね。親しみやすい距離感っていうのもありつつ、ここはダメっていうのがあるのはとてもいいバランス。
そういう決め事は美樹さんが主にまとめているんですか?

もーりーさん:うーん多分みんな何もあまり考えてない(笑)

美樹さん:自分たちがまぜこぜになってることにも気づいてない(笑)

おいたんさん:ここでは水回りの掃除は西くんがやるし、ゴミは気づけば俺が捨てるし、特に役割分担は決めていないんですがうまい具合に気遣いできていて。

編集部:小さい不満を溜め込まないで言うようにしている、とかありますか?

おいたんさん:もう慣れですよね。

編集部:家族だと慣れるとかじゃなくていつまでも解決しないじゃないですか。

もーりーさん他人だから慣れるんでしょうね

空間と時間と体験を、緩やかな境界線で共有するシェアメイトたち

―――「他人だからこそ小さな不満に慣れることができる」。名言が出ました。
「干渉しない」というルールも、シェア暮らしだけではなく実の家族にも大事なことだよなあと個人的には思います。干渉しすぎってマイナスのものしか生まない気がする。―――

「他人」が密室の母子の息苦しさを解消してくれる

編集部:私はいろんな人間関係の中で一番、血縁家族の関係が難しくて面倒くさいと思っていて。遠慮がないとかお互いに期待しちゃうとか家族を所有物だと思ってしまうとかで、ある時簡単にポキッて壊れちゃったりする。この関係だとそういうのがないですよね。

美樹さん:モーリーが言っていた「いい隣人」って言葉が私も気になっていて。
一人目出産の時1ヶ月里帰りしていたんですね。それはそれで良くかったんですけど、一人目の子育てだし、実家生活の安心感からシェア生活に戻るのが少し不安だったのですが、戻ってきたらすごい楽で!
友達って言うほど深くもないから喧嘩もしないんですよ。

もーりーさん:他人だよ。

美樹さんそう結局他人だから喧嘩しない。私たち夫婦は喧嘩するけれど、それ以外の喧嘩はない。他人だから期待もしないし求めないしでも感謝するようなことがある。
それに私、誰かがいた方が絶対穏やかなんですよ
家族だけだとつい強く言ってしまう。それを彼らが空気を変えてくれるから、いなくなっちゃうとちょっとやばい。

十分幸せそうな西夫妻だが、それでも喧嘩はするし、家族だからこそ言葉も気持ちもついつい強くなってしまいがち……

編集部:わかります! うちも二人目が生まれてから毎日戦争で煮詰まって。誰でもいいから地獄のような夜を共に過ごしてくれと本気で思っています。
そういう行き詰まった母親に何かアドバイスや、社会に言いたいことはありますか?

美樹さん:私も行き詰まっている人だから何も言えないんだけど(笑)
子どもがギャーって泣いている時に、シェアじゃなくてもいいから近所の顔が分かってる人が「大丈夫だよ」って一言声をかけてくれたり、一緒になって「めっちゃ泣いてるね」って言ってくれたら 嬉しいですよね。
もーりーはまず一人目の時、三日間夜泣きしても一切聞こえなかったという謎の耳を持つし、おいたんは子どもが突発性発疹でリビングでえびぞりになってる時に一緒になって「ははは」って笑ってくれたんです。泣いてる時に「また泣いてるね」って言ってくれると、その状況をギャグにできる。

そんな一言ですごい救われていて。その一言が旦那だとダメなんですよ。旦那だと「何で見てるだけなの!?」っていう怒りになっちゃうんだけど、シェアメイトだと「ありがとう」に変わる
何て言ったらいいんだろう…ママ友に近いような

おいたんさん:自分で言うのもなんなんですけど、多分自分が言ったことで何か楽になるんだろうなっていうのはあります。
夕方帰ってきて(美樹さんが)ご飯の時間で子どもに食べさせているけれど飽きちゃって食べてないっていう時に、「よ!」って顔を出すと子どもの意識がこっちに向いて急に食べ始めるとか。
子どもの意識を変える役目にちょうどいいのかなーって思ったり。

編集部:わかるー! 自分ひとりだと「もういい!!」ってキレるところ!

美樹さん:そして旦那だと「ちょっと代わりにやって!!」って言いたくなる。
自分から求めてはいない、求めちゃったら崩壊しちゃう関係

編集部:旦那さん的にはどうですか?

晃彦さん:奥さんが疲れてるのはなんとなく分かっているけど僕が何か言ってもまぁしょうがない…。そんな時に他のメンバーが声をかけることで空気が変わるんですよね

―――羨ましい! 新しい暮らしの形がある。
家族ってとても難しいんです。夫婦はまだちょっと「他人だし」という意識が働くから救いようがあるとしても、血のつながった親子なんてのが一番厄介。違う意思を持った違う生き物だということを忘れがち。そもそもそういうことに気づいていない親もいる。
勝手に期待して、勝手に一心同体だー所有物だーと思い、それが思い通りにならないとわかったとき、突然崩壊する。

相性の悪い家族より、相性の良い他人はいい。最初からお互い「違う人」だというのがわかっている。だから優しい。―――

一見平和そうに見える母子でも、密室ワンオペ育児は息苦しいのですよ……世の父ちゃんわかって……

このさりげないおいたんさんの距離感が、子どもにいいんだろうなあ。うん、いい。

職住近接で仕事も家事もまぜこぜ!

編集部:住まいの一階でご主人がカフェを始めたじゃないですか。その理由は何ですか?

晃彦さん:きっかけとしては前の店の人が「辞めるんでやらないか」って声をかけてくれたこと。それでやってみようかなって。

譲り受けた店のベンチづくりや内装のアドバイスは、シェアメイトたちが手伝ってくれたとのこと! 居心地の良い素敵なお店

編集部:ラッキーですね!

晃彦さん:そうですね。もともと飲食の仕事もしていたんですが、独立することは考えたこともなくて。でもこのタイミングで店を持つことができるなら挑戦してみようかなって。

編集部:住まいと職場が近いのはどうですか?

晃彦さん:あまり良くはないかもしれないですね(笑)
仕事をするにはいいんですけどなんかずっとこの近所にしかいなくて。この前久しぶりに渋谷に行ったら気持ちがすっきりしました。

もーりーさん:でも子どもたち的にはいいよね。近くで親が仕事していること。うちの実家も子どもの時下で店をやっていて良かった記憶があります。

編集部:家事分担に影響はありましたか

晃彦さん家でやっていたことを全部店でやるようになりました。調味料とかも全部店に置いてあって下でご飯作っちゃうんです。

編集部:家族で店に食べに行くんですか?

晃彦さん:そういう時と、上にご飯を持ってくる時があります。

―――……なんと羨ましい!!! 旦那がご飯作ってくれるなんてこんな幸せなことはない。たぶんうちの夫は炊飯器で米もちゃんと炊けない(笑) いや笑えない。

「保育園送りにいって、仕込みをして、ここで仕事をして…やっていることが全部家族にわかってしまう。隙間時間がなくなった。」とおっしゃる晃彦さん。世の中の母ちゃんはみんなそうなんですよ…切実。隙間時間?なにそれ? です。
そして子どもが起きる前に仕事に行って、眠ってから帰宅する…というサラリーマン(我が家)より、子どもたちにはずっと良い影響があると思うなあ。―――

厨房で晃彦さんがささっと手際よく作ってくださったのは……

ブリトー(手前)とグリルチーズサンド(奥) めっちゃ美味しくて感動しました! クオリティ高い!

―――家族にしかできないこともあれば、家族じゃない他人だからこそ与えられる「精神的救い」というものが存在することを教えていただきました。
子育ての闇に「よき隣人」の力を投入することで救われる心がたくさんありそう。
そんな確信と手応えを感じたインタビューになりました。
その確信を胸に、ワンオペ育児を救う場作りをしたい…そんな闘志を燃やす野本でした。―――

【晃彦さんのお店情報】
開店したてで某食〇ログにもまだ登場していないそうですが、まぜログにて初掲載です!
cafe gharb(カフェガルブ)
154-0022 世田谷区梅丘1-16-4 八木ビル1F
月〜土 /11:00-21:00 (※日曜日定休日。臨時休あるかも、close時間延長あり)

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