MENU SEARCH

この川崎の片隅で体感した映画音響革命「LIVE ZOUND」【前編】

Share on FacebookTweet about this on Twitter

こんにちは。mazecoze研究所のひらばるです。
先日、「LIVE ZOUND(ライヴ・ザウンド)」というシネマサウンドシステムで、話題の映画「この世界の片隅に」を視聴してきました!

きっかけは、「LIVE ZOUNDっていうすごい音響システムがあるんだけど、開発担当者に話を聞きに行ってみない?」という友人からのお誘い。
興味あり! でも、私一人で行くのはもったいない(ほてはま絶賛産褥期につき)ということで、映画好きや音に詳しい友とmazecoze LIVE ZOUND隊を結成し、川崎にある老舗映画館「CINECITTA'(チネチッタ)」さんを訪ねてきました。
今回はそのレポートをお届けします。

制作期間1年未満の「LIVE ZOUND」とは!?

「LIVE ZOUND」は、ライブホール等で使われている音響機器を導入し、繊細な音から大迫力の音まで体感できる、チネチッタだけのシネマサウンドシステム。
「映画館にライブホール用の音響システムをぶち込んだら面白そう!」というファンキーな精神と、「耳が聞こえない人や多様性のある人も一緒に楽しめる映画館でありたい」というバリアフリー視点がまぜこぜになっているとのことで、まずは、開発者のお二人に開発の経緯をうかがいました。

お話してくださったチネチッタ番組編成・宣伝グループ課長の藤本恵弘さん(右)と、CLUB CITTA'(クラブチッタ)制作事業部 音響セクション・チーフの山室亨さん(左)。お二人が核になり、「LIVE ZOUND」が誕生した。

「川崎エリアにはいま、駅から徒歩5分圏内にシネコンが3つあります。14年くらい前まではチネチッタしか無かったのですが、環境が大きく変化しました。大手のシネコンができる中で、生き残りを図るためのアクションを考えるようになったのが、LIVE ZOUNDのはじまりです」と藤本さん。

自分たちだからこそできることは何か。藤本さんの頭に浮かんだのは、他の映画館の取り組みを真似るのではなく、「音に特化したオリジナルの映画館を作る」というアイデアでした。

藤本さん、映画への熱い想いを語る

「僕は中学の時に『スター・ウォーズ』の洗礼を受けて、そこから映画の世界に憧れてきた人間です。古い話になりますが、『地獄の黙示録』というフランシス・フォード・コッポラのベトナム戦争の映画を見終わって映画館から出てくると、爆音で耳がキーンと。その記憶が鮮明に残っているんですね。でも今、映画館にはそういう音のインパクトがほとんど無いなぁと」

お客様からの声で映画のボリュームを下げることもあるというご時世。それでも「映画館という非日常空間で、家でテレビを観るのとは違う巨大スクリーンで、体に響く音響を演出するのが映画館の持ち味ではないか」と続けます。そうして藤本さんは、ある行動を起こしました。

「グループ会社に音の専門家であるクラブチッタがあったので、音に特化した映画館を共同開発できないかと持ちかけました。とはいえ、グループ会社で一緒にものづくりをする機会はこれまでほとんどなかったんです。ライブだけで手一杯だよ、と断られる可能性もある中で、面白そうだから是非一緒にやりましょうと快諾してくれて」

藤本さんの企画に賛同したクラブチッタの山室さんがコアメンバーとなり、LIVE ZOUNDの開発プロジェクトがスタート。そしてなんと、2016年9月、共同制作の合意から1年も経たぬうちに、LIVE ZOUNDが完成してしまったのです!

「社長と会長が即断即決してくれて、すぐに動けたのが大きいですね。いざ開発過程に入れば、山室さんは音のプロですから、相談するとすぐに答えが返ってくる。即断と即決の繰り返しが原動力となり、プロジェクトのスピードは加速していきました」と藤本さん。

たしかに、基盤が異なる会社との業務提携であれば、お金の話や稟議にかかる時間、いろいろな利害関係が生じ、ここまでスピーディにはいかないもの。同じグループでボトムアップとトップダウンを柔軟に繰り返し、映画と音のプロフェッショナルがタッグを組んだからこそ、異例のスピードでLIVE ZOUNDが誕生したのですね。

音ではなく空間を作る。

LIVE ZOUNDを開発する上で一番大切にしたことは?
そう山室さんに聞くと、「音を聴くというより、見せたいと思いました。僕の本業はコンサートのPAオペレーターなので、お客様にいい音を届けたいというのが一番の信念です。それはこのプロジェクトにおいても変わりませんでした」という言葉が返ってきました。
音についての職人的なお話が出てくるのかなと思ったら、そこには明確なお客様視点。

お客様視点を大切にしつつ、藤本さんと山室さんで合意したのは「本来、映画館で使用する既存の音響機器を使わない」という選択でした。音楽業界で使用されている機器を導入することで、これまでにない映画音響体験を生み出そうとしたのです。

「LIVE ZOUNDは、コンサートで主流のラインアレイスピーカーにしようと思いつきました。このスピーカーなら、音を遠くまで、そして均一に飛ばしていくのでどの席にいても、同じように聴こえるという特徴があります。これまで、映画館のスピーカーでラインアレイスピーカーはありませんでした」

話に吸い込まれる「mazecoze LIVE ZOUND隊」

山室さんは、本業となるコンサートやライブの現場でさまざまなスピーカーの音を確かめ検証を重ね、LIVE ZOUNDの試作に活かしていきました。そして、「最終的にツアーに回ったアーティストの会場で、d&b社のラインアレイスピーカーを使った時にすごい良かったんで、これだと思いました」と山室さん。

さらに、LIVE ZOUNDは、視覚的な演出にもこだわりが。それは、普通はスクリーンの裏に隠れている映画館のスピーカーを、あえて見せようという作戦です。

見えるスピーカー!

「あたりまえを覆したかったんです。映画館って、音や映像だけでなく、空間づくりだと思うので」

周囲からは、「映画を観るときにスピーカーが視界に入って映画鑑賞の邪魔になるのでは……」という意見もあったそうですが、最終的に、LIVE ZOUNDではスピーカーをむき出しのまま取り付けました。
既存の映画館の価値観にとらわれず、これまでにない音でこれまでにない映画空間をつくるというお二人の強い意志があったからこそ、開発スピードや新しい形が生まれていったのですね。

中編では、チッタグループの美須社長が登場します!
(撮影:ユイネハヤト 協力:ナカイユウヘイ 取材・執筆:ひらばるれな)


LIVE ZOUND

Share on FacebookTweet about this on Twitter
研究員の記事を読む
2017.11.08
土偶女子代表の譽田亜紀子さんが教えてくれた、土偶と縄文時代に学ぶ、いまを生きる力
2017.10.18
第1話:「ダイバーシティって何ですか?」
2017.05.19
「NO RULE」でアメーバー。不思議なトライアングルが織りなす、Barbara Poolのつながり方。【後編】
2017.05.11
「NO RULE」でアメーバー。不思議なトライアングルが織りなす、Barbara Poolのつながり方。【前編】
2017.05.01
煎り酒悠久物語 其の一 正田醤油の物語
さらに見るプロフィールを見る
ページトップへ戻る