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個人事業主の管理業務が劇的にラクになる!マゼコゼストが作ったWebサービス「マナブック」

mazecoze研究所 │ 2016.12.01

好きなことや得意なことを活かして自宅で何かを教えたり、公共スペースで講座を開いたりするハードルが、最近ではだいぶ低くなってきた感がありますね。育児期間中でも自宅で社会と接点を持つ手段にしてみたり、将来の起業を見据えたお試し期間として週末副業的にスタートしてみたり……。
そんなマゼコゼ生活初心者さんはもちろん、個人事業主として本格的にお教室運営等をしている人にも、ぜひ知ってほしいウェブサービスを今回は紹介します。

その名も「マナブック」!
サロンやお教室などの運営をスタートさせた直後は、カリキュラムやメニューの作成、広報・宣伝に資金のやりくりなど、1人でやらなければいけないことばかりで、本当にてんてこ舞いしてしまいます。そんな中で結構な盲点となってくる、予約管理や生徒さん(お客様)管理がマナブックの得意とするところ。要するに、「マナブをブッキングするサービス」が「マナブック」なんです。

人気が出るほど本業にパワーが注げなくなるジレンマ

ここでご登場いただくのが、2014年に神奈川県厚木市で料理教室「はるひごはん」をスタートさせた、料理研究家の大橋由香さんです。

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「マナブックを導入し、気持ち的にも時間的にもカフェと教室の運営に集中できるようになりました」

普段はカフェの営業もしているというおしゃれ空間、そして、素材の味が存分に活きるフランス生まれの無水料理鍋“ストウブ”を使うという他にはない魅力もあいまって、生徒さんは瞬く間に増えていきました。
幸先の良いスタート。でも、だからこそ大橋さんに予期していなかった悩みが生まれます。

メールでの申し込み
電話での申し込み
予約変更の連絡対応
キャンセルの連絡対応
キャンセル待ちの人に連絡……その数100件以上/月!

しかも、当時の大橋さんが採っていた方法は電話連絡と一件一件手動のメール送信で、手間も時間もエネルギーも相当に費やしていました。件数自体も多いので、カフェを営業しながら生徒さんの情報を表計算ソフトでフォーマットを作り、管理するといった余裕もありません。
「正直なところ、ノートに書き留めるのが精一杯で、何人生徒さんがいるのかも把握できないほど。当然、チェック漏れ、取りこぼしも出てきてしまいます。午前のレッスンを希望していた生徒さんを午後に入れてしまい、レッスンがお詫びから始まったりして……」

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レッスンでは、素材の味だけで驚くほど美味しくなるストウブでの無水調理のコツを教えてもらえます

カンタンなのにかゆいところに手が届く救世主=マナブック!

そんな、大橋さんの前に現れた救世主こそが「マナブック」でした。
簡単なユーザー登録をすれば、Web上に“マイスクールページ”を持つことができ、教室情報が掲載できたり、予約をネットで受けたりすることがすぐにできるように。

「とくに威力を感じるのは毎月1日。レッスン情報を更新するタイミングです」(大橋さん)
これまでは、すべての生徒さんに手動で送信していたレッスン情報が、マナブックではメッセージ機能で一斉送信できます。レッスン別に生徒さんとやりとりすることもできるので、これまた便利。生徒さんと個別にチャットすることも可能で、コミュニケーションが劇的に楽になったとか。
また、レッスン直前にシステムが自動でリマインドメールを送ってくれる機能の威力も絶大。大橋さんのお教室でも、レッスンのドタキャンが劇的に減ったといいます。
中にはPC操作、スマホ操作が苦手という生徒さんもいらっしゃいますが、一度登録してしまえばその後の操作に高度なスキルは必要とされないため、“大橋先生”の力を借りて初期設定を行った後は、50代、60代の生徒さんでも軽やかにマナブックを使いこなしているそう。

自分サイズの起業をした人が、「ウェブサイトを持つのは敷居が高いけれど、ウェブ上でこういうことができたらうれしいなぁ」と思える機能が満載の「マナブック」。
一番すごいのは、やっぱりこれだけのサービスが、「¥0」で利用できちゃうというところ。初月無料とかじゃないですよ。基本的なサービスのすべてがずっと無料なんです!(※有料プランもあり)。

「忙しいからウェブサイトが持てない」は甚大な機会損失!

このサービスを作った上田貴弘さんは、2人の男子の父でもあり、実はeコマースサイトのマーケターという本業をお持ちのマゼコゼスト。マナブックの仕組みを思いついたきっかけは、家族が続けている習い事だったと話します。

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「個人の能力をひとつの組織だけに費やす働き方はメジャーじゃなくなりつつあると思う」と話す真性マゼコゼストな上田さん

「息子のピアノ教室の発表会に行ったら、個人教室の先生なのにすごい数の生徒さんがいて、人気があるんだなぁとビックリ。それだけの数の生徒の管理もレッスンの予約もすべて手作業でやっていると聞いてさらに驚きました。余裕がないから当然ウェブサイトなんて持っていません。また、パン教室に通っている妻も、『すごく良い先生で楽しいの!』と言うんだけれど、やっぱり教室のウェブサイトがない。それって、新しくこの地域に引っ越してきた人はその“良い先生”に出会える確率が相当に低いってこと。先生にとっても生徒さんにとっても機会損失だと思ったんです」

このIT時代、予約管理システムを運営する会社はすでに多数存在していました。けれど、その多くは月に数万円の利用料が発生。個人運営のお教室でその値段は結構大きな負担になります。「一度使ってみたもののシステムが複雑で使いこなせなかった」という声もちらほらと耳にしていたといいます。
「ならば、僕が作ってみようかな」。きっと、必要とされているのはごくシンプルなもの。パソコンが苦手な人でもラクラク使える仕組みを用意すれば、先生も生徒さんも喜んでくれるのでは?———それが、マナブックのスタートでした。

夢を叶えるために敢えてキャリアリセット

もともと、「誰かの役に立つものを作りたい」という思いが強い上田さん。デザイナーから現職に転向したのも、デザイン的な“ワク”を作るだけでは飽き足らず、本当に人の役に立つ“事業”を興せる人間になりたかったから。
「実は、興したことはあるんです。けれど、規模感とニーズを見誤って大失敗。サービスって立ち上げるだけではなく、その後も事業を継続し、成長させていかなければいけませんよね。恥ずかしい話、そんな当たり前のことに考えが及んでいなかったんです」

現在、メンバーが熱く意見を戦わせる若い会社で働いているのは、ベンチャースピリットを身につけるための武者修行。
「(ベンチャーで働く中で)お客様のニーズに届くライン、お客様が本当に喜んでくれるラインというのが次第にわかってきた。そのタイミングで気づいてしまった“地域の習い事問題”。僕が解決しないわけにはいかないでしょう(笑)」

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大橋さんの出張ヘルプデスクと化している上田さん。鋭いフィードバックがマナブックを日々成長させています

目指すのは「思いの温度が上がってお互いに幸せを感じられる世界」

リリースは2015年10月。
その後、大橋さんをはじめ、スタート当初からのユーザーさんたちとコンタクトを取り合うように。改善してほしいところやリクエストをヒアリングするだけでなく、たびたび教室やサロンに足を運んでは運営・管理の方法をオブザーブし、サービスの改善に反映させてきました。

平日は本業があるので、マナブックに時間を費やせるのは休日や深夜。週末は家族との時間も大事にしてる上田さんにとって、この2年ほどの生活はすべての時間がフル稼働状態でした。それでも、「今度こそ、本質を追求してサービスを成立させていきたい。だから、意地でも続けていきますよ」と話します。

煩雑な管理や連絡業務がラクになって先生が教えることに集中できるようになれば、生徒さんもうれしくなる。生徒さんがうれしくなれば、「来て良かった!」が生まれる。———マナブックが追求している“本質”とは、こんな風にシナジーが発生し、利用者同士の思いの温度が上がっていく状況なのです。

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個人情報満載のため中をお見せできませんが、かなりカオスな様相となっている“マナブック以前”の生徒管理ノート。「これをこの世から消滅させるのがマナブックの使命です!」(上田さん)

近頃では仲間も増え、作業スピードがアップ。UXデザイナー、コーダーなど、それぞれが専門分野を持っているため、サービス開発の視点も複眼的に広がっているとか。
「今は顕在化している問題を解決することに注力していますが、いずれは集まってくるレッスン情報や生徒さんのリストなどを活用して、自分たちでも予想していないニーズが掘り起こせるかもしれません」

目指すはマネタイズできるサービスにまで「マナブック」を成長させること。
「今、働いている会社では副業もOKなのですが、まだメンバーに話はしていません。だって、儲けが出ていないから『副業』と呼べる域じゃないかなって。早く、胸を張って『副業しています!』と報告したいですね(笑)」

さまざまなタイプのお教室が登録されるようになり、全国にユーザーが増加中の「マナブック」。10月のリニューアルでさらに使いやすさが向上した今、上田さんの願いが叶う日もそう遠くはないかもしれません。
先生業での起業を考えているみなさん、まずは使ってみてください!!

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「血の通ったサービスが作りたいんだよね」(上田さん)、「できてるじゃん!」(大橋さん)。マナブックを通じて同士のような関係を作り上げたお二人と記念撮影!

(撮影/新見和美、取材・文/阿部志穂)


取材協力/はるひごはん(神奈川県厚木市) 

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