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無敗伝説をもつクリエイティブディレクターでコピーライターの永澤仁さんが、 「まぐろの目玉」という魚屋さんをはじめました。【後編】

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キリン氷結やセブンイレブン等の広告を手がけ、誰もが知るブランドやCMフレーズを数多く生み出してきたクリエイティブディレクター・コピーライターの永澤仁さん。
2016年に自らのアクションで立ち上げたのは、故郷三陸気仙沼の魚市場に直結した魚屋さん「まぐろの目玉」でした。後編では、永澤さんの美味しいお魚をいただきながら、さらにお話を聞いていきます!
>>前編を読む

永澤さん、絶対採算取れてませんよね……。

 

前編のインタビューであっという間に2時間が過ぎ、永澤さんに「これ、まとまんないでしょ、もう一回ちゃんと話した方がいいんじゃないかなぁ」なんて心配していただく中、まぜ研でお世話になっている料理家の奥田ここさんが登場!
「そろそろ、いただきましょうか」ということで、一同「まぐろの目玉」から届いた箱のもとへ。

今回購入したのは、【生の国内産の本まぐろ稀少部位を7種類1/2個量セット ¥17,000】と、【気仙沼稀少味セット ¥4,000】です。開けてみると、見たことも聞いたこともないような部位がずらり。一つひとつがかなりの大きさと重量です!

まぐろの脳天、頬肉、釣り鐘、眼肉、スロートなど、聞いたこともない部位ばかり。希少味は、メカジキの縁側や眼肉叩き、カマなど、地元で食されている稀少部位がいっぱい。

さらに、でっかいタコが丸ごと一匹(2箱分なので2匹)入っていて、堂々と「プレゼント」というシールが貼られている。(プレゼントはシーズンごとに変更)

プレゼントの巨大タコ

おそらくここにいる誰もが「永澤さん、これ、採算取れてないですよね……」って心の中で思ったかと。それくらいに、大迫力。
地元気仙沼とのネットワークを駆使して、良いと思うものを自ら伝え広めながら、驚きと楽しさと美味しさを届けようとする永澤さんの意気込みが、痛いほどに伝わってきます。それでは、早速いただきましょう!

味もストーリーも美味しい!

 

まずは生のままいただきます!
初めて食べる、本マグロのいろいろな部位。しっかりとした旨味がある赤身から、中トロのようにとろりと濃厚なもの、お肉に近い?という驚きの食感まで、一つひとつ味わいがユニークで、どれもこれも美味しい! 「まぐろの目玉」が立ち上がるまでのお話も聞いたので、なおさら美味しく感じます。

「むむ。うまい!」

ほてはま「おいし〜止まらない!」 黒井さん、こくり。

贅沢まぐろ三昧、ここさんもカメラマンの木内さんも、みんな夢中でいただきましたが、それでも全然なくならない!
お次は、黒井さんがまぐろとメカジキの希少部位を使ってお鍋を作ってくれることに。

鍋蓋をまな板にしながら鍋の準備をする黒井さんに哀愁漂う。

連戦連勝の理由

お鍋ができるまでの間にもう少し、永澤さんにお話をうかがいましょう。
ひらばるが聞きたかったのは、クリエイティブディレクター&コピーライターとして、競合プレゼンで3年半無敗という伝説をどのように成し遂げたのかについて。「強い、正しい、面白い」で勝ち続けてきたその秘訣があるならば、ぜひ教えていただきたく。

永澤さんのご著書『もったいないワタシの売り方』をスッと差し出し、サインを書いてもらう厚かましいワタシ。

「なんで勝つかってさ、そりゃもちろん能力もあるよ。でも言っちゃえば、私だけが正しいんです、ってプレゼンテーションをすれば、勝てる(笑)」

シンプルすぎて「なるほどー」とうなずいてしまいましたが、いやいや、それってそんな簡単なことではないはずですよね? だって、広告プレゼンって、ある意味誰もがその気持ちで望んでいるのではないでしょうか。自分が正しいと信じてもらえる正しさの強度は、どう高めているのでしょう。

「もちろん、できるだけ勝ちの確率を上げるようなテクニックみたいこともやるけど、とにかくものすっごく考えるの。一つのことだけでなくて、いろんなことを四方八方に張り巡らせてとことん考えるわけ。そうしていくと、結論の中から、強い答えが一個だけできるんだよな。
逆に言うと、そうなったら、勝ちも負けも関係ない。だって、どう考えても自分が正しいもん、負けても笑」

その域に達するまで考え尽くしているということだったのですね。
永澤さん流プレゼンテーション手法を、ご著書『もったいないワタシの売り方』の下書きに全部書いたら、アシスタントさんから「ここに書いてあること、他の人にはできないから」って全部削除されたそうですよ(笑)

永澤さんの本は刺激的で実用的なのですが、その中で広告代理店の方に「おれたちの仕事は、物乞いではない。僕らとクライアントはフィフティフィフティだ」という場面があります。クライアントとクリエイター、お客様と企業など、「クライアントの意見が最優先」、「お客様第一」と、いう決まりや境界線が明確な風潮の中で、永澤さんはそんな壁をモノともせず常に自分として立ち、圧倒的な強さと正しさで結果を出していて。なぜ、そう在れるのでしょう。

「たとえば、ある広告テーマに組織ごととして取り組んだ時に、あの人の意見とあの人の意見を聞いてって続けると、必ず物事っていうのは力を削がれていく。みんな自分ごとでなくなって“言い訳”が生まれて。そうすると最後、そのCMが世の中に出ていった時に、誰もそのことを愛してはくれないんだよね。その人たちが良いとか悪いの話じゃないよ。でも、コストの問題っていう以上に、その映像が不憫だなって思うわけ。作品として産まれたんだから、そこにはやっぱ生命があるんだし。だからちゃんと、大事なことは押し通すことを頑張っていかないと。やりにくいけど(笑)」

サインもらって自慢する様子、しっかり撮られていました。

「あなたって最低」

 

これまでの経験を、大学で話してほしいという依頼も多い永澤さん。やはり独特な講義になるようで。

「俺さ、人なんて、“誰かのためにがんばる”とかでない方がいいと思ってるわけ。そういう自分でありたいからやるんだろうから、結局は自分のためだしね。行動の目的はあくまでも自分基点であって、その結果、誰かやまわりにいいことが起きる、ってのが本当だと思う。人のために生きる、とか、出会いに感謝とか、願いは必ず叶う、とか、重い言葉を軽くくちにするやつにロクなもんがいない、と話す。それで、“願いなんて叶わない”って言ったら、“あなたって最低”っていう手紙が学生から来て、それはそれでショックだった(笑)」

なかなかに、パンチのあるラブレター。でも、「社会のため、会社のため、家族のため、恋人のため。常に価値を外部化していけば、自分の価値が蹂躙されてく。そうなったら一体誰が自分の価値を見ていくのか」と永澤さんは続けます。

「自分になる」、「自分である」ことが難しい今の時代、人のためにと活動しながら、実は自分が空っぽだったというのは、実体験からもわかるなぁと。それって、ある意味で自責ではなく、他責の状態なのですよね。だから、相手の状況や、周囲からの声ばかり気になってしまう。でも、どうやったら自分になれるのか、迷っている人は多くいると思います。

「だからこそ、“mazecoze”なんじゃないの? 本当はまぜこぜなんてのも、昔なら肯定されてたはずなんだよ。本来、人間なんてそんなもんだし、だから、さっき魑魅魍魎が……じゃなくて、微細なほうがいいって言ってたけど、そうなったほうが良いに決まってるよね」

魑魅魍魎がいっぱい……、でなくて、「微細がいっぱい」でしたよね(笑)
それぞれが「個」として活動しながら、時々に周囲と影響しあい、手放すことも恐れずに、ありのままに生きていく。自分自身を見つめ、知り、変化させながら。そんなまぜこぜで微細な生き方は、心からの安らぎと、生きる実感を与えてくれる気がします。

とここで、黒井さんのお鍋が完成!

メカジキの出汁がたっぷり! 煎り酒と味噌で味付け

濃厚なお魚の出汁が、美味しすぎました。
その後は、永澤さんが前日まで旅していたという中東の話、演劇の話、写真の話などを聞き、「永澤さんってどんだけまぜこぜなんだろう……」と思いながら、飲んで食べて話して。残った部位は、みなでちゃっかり持ち帰り、残らずいただきました。
永澤さん、一度の取材じゃあれこれ書ききれなかったので、ぜひまたご登場お願いします!

(撮影:木内和美/取材・執筆:ひらばるれな)


プロフィール:永澤 仁(ながさわ ひとし)さん
クリエイティブディレクター/コピーライター
宮城県気仙沼市出身。プランニング会社「海の家」主宰。「まぐろの目玉」店主。
セブン-イレブン(忌野清志郎さんが歌うブランドの根幹を担う「近くて便利」コミュニーケーション)、バイク王(雨上がり決死隊バージョン)、キリン氷結(発売から6年間)、シチズン(広告&商品開発)など数々のクリエイティブを責任者として手がけ、そのすべてをジャンプアップさせた実績を持つ。競合プレゼンでは独創的なスタイルで3年半無敗を記録。受賞歴は国内外100 以上。強い、正しい、面白い! 国も地域も企業も商品もお店も人も、めざすゆたかな高みへ。
昨年11月、地元気仙沼の底力もアピールしたいと、魚市場直結の「まぐろの目玉」をスタート! 日本初のまぐろセットなど、生にこだわり気仙沼ならではの美味と希少味で話題に。
●まぐろの目玉
公式サイト
Facebookページ

 

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キーワード:食べ物
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