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銀座三越【第1回(全2回)】
老舗百貨店が創り出す「銀座」の新しい価値

mazecoze研究所 │ 2016.11.08

銀座四丁目交差点に鎮座する安定の存在感!

おしゃれな大人が集う街・銀座。
その銀座の中央に鎮座する存在感抜群の建物と言えば、こちら! ↓↓↓

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百貨店業界でも老舗中の老舗、銀座三越さんでございます。

シリーズ「我が社のmaze道」。今回、三越デパートの中でもとくに銀座店にスポットを当てたのは、当研究所の所長・保手濱が、以前から大好きすぎるスポットだったから。
まだmaze研が立ち上がるか立ち上がらないかという頃から、何かというと「じゃ、打ち合わせは銀座三越ねー」と集合させたがる。メッセンジャーでやりとりをしていると、「今、(銀座三越9階の)みのりカフェにいるんだけどさー」と、at銀座三越率が異常。あなた、デパートでメールチェックしなくても、近くに事務所があるでしょう……。

そんなわけで、編集会議で「私、銀座の三越さん、取材したいんだけど」と言われても、すでに誰も驚きませんでした。むしろ「やっとその気になったか」と、メンバーの誰もが思ったという。

好きなように好きなだけ過ごせる、包まれるような居心地の良さ

そんな保手濱の銀座三越さん “好き好きポイント”がこちら。本館9階にある広々スペース「銀座テラス」と、併設されている「みのりカフェ」&「みのる食堂」です。

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ベビーカーや車いすの移動にもストレスを感じないバリアフリーの9階フロア

このカフェのすぐ先にあるのは、ホンモノの芝生の緑が目にも鮮やかな「テラスガーデン」。木製のテーブルと椅子がしつらえられたウッドデッキでは、地階で買い求めたお総菜やカフェでテイクアウトしたランチを食べている人の姿も見られます。芝生エリアは立ち入り可能で、ごろんと寝そべって休憩したって誰にも文句を言われません。館内と屋上を自由に行き来しながら銀座で味わう公園のような開放感、なんてシャレオツ!

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こんなに開放的な空間が銀座のど真ん中にあるなんて!(養生のための閉鎖期間あり)

フロアの東側には、ゆったりとくつろげるソファが配置された休憩スペースがあって、親子連れ、近隣のOLさん、お年寄りや外国人観光客などなど、さまざまな人たちが思い思いに過ごす、ちょっとしたマゼコゼスペースになっています。
「そうそう、この『誰でもウエルカム!』な感じがいいんだよねぇ。私、下の子が生まれた後、保育園が決まらなくて行き場をなくしちゃったんだけど、ここに赤子連れでふらっと来たら、壁とかゲートとかぜんぜんなくて、『ここで好きなように、好きなだけ過ごしていいよ』って言われているような気がしたんだよね。公園みたいに自由で居心地が良くってさぁ……」
保手濱、あふれる銀座三越愛のため、自分語りが止まりません。

「百貨店の中にある公共スペース」というマゼコゼな空間

「とはいえ、迷惑だよね。何にも買わないで、ただボーッとしている客なんて…」と、保手濱がやや反省モードになったところで助っ人が登場。 ジャケットの着こなしにタダならぬオシャレ感が漂う満面笑顔の男性。銀座三越の販売促進全般を担当されている営業計画担当マネージャー・加藤康則さんです。

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紳士服のご担当をされていたこともあるという加藤さん、さすがの着こなしです

イベントの企画など、銀座三越の価値を高めるアイディアの発信に日々奔走されている加藤さんに伺ったところ、「銀座テラス」が誕生したのは2010年9月のこと。大規模な増床リモデルの目玉のひとつだったそうですが、坪単価が日本一エクスペンシブな銀座でこれだけ広いフリースペースを設けるってなかなかの英断だったのではと推測します。

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ノンストップ・トーキングモードの保手濱。あふれる銀座三越愛が止まりません

「本館と新館が連絡通路で接続されたカタチではなく、ひとつのフロアとなるような建築増床をするために、東京都に特区申請を行いました。その申請に際して、さまざまな公共貢献をする約束をさせていただいたんです。そのひとつが『銀座テラス』で、近隣のみなさんや世界各国から銀座にいらっしゃるお客様に、バリアフリーなスペースを作って解放するというものでした」
皇居が近い大手町や新宿御苑のある新宿などに比べると、銀座は決して緑が多いとはいえない街。長い間銀座のシンボル的な存在だった立場として、四季折々の移ろいが感じられる憩いの場をお客様に提供する必要性を、銀座三越さんはずっと感じていたのだそう。

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百貨店を支える人たちの熱い思いに感心しきりの阿部

そうして誕生したこの「銀座テラス」は、商業施設の中にあるのに “公共スペース”という位置づけ。
「だから、買い物をなさらない方がふらりと訪れてくつろいでくださってもいいんです!保手濱さんのご利用方法も間違いではありませんよ!」と加藤さん。所長、ヨカッタね!

銀座テラスは「食育」というコンセプトも抱えていて、近隣の子どもたちが農業体験できるテラスファームもあります。ほかにも太陽光発電装置を設置してエコライフを発信するなど、新しい取り組みが満載。
「銀座テラス」は、自由で自然体で、その存在自体が銀座という街に新しい付加価値を生み出しているように感じられました。

パパママ感涙!子育て世代に向けられた細やかな視線

「銀座テラス」の設置を含め、2010年の増床リモデル時に、とくにスポットが当たったのが子育て中のファミリー層だったそう。
確かに、銀座ってハイソなイメージが強い分、以前は子連れでエンジョイしにくい街でした。建物の構造一つ取っても、いちいち「ベビーカーではおいでくださるな!」と、無言で拒否されている気分にさせられてしまうというか……。
でも今日、子育てファミリーだっておいしい食事を楽しみたいし、流行の最先端にも触れてみたい。何より、大好きな銀座を子どもたちにも好きになってもらいたいんです!———お得意様のみならず、銀座の道行く人々の意見にも徹底的に耳を傾けた結果、聞こえてきた声を尊重して誕生した現在の銀座三越には、なるほど子育て世代への細やかな配慮が満載です。

例えば、5台のオムツ交換台がある超広々なオムツ交換室。これだけ通路の幅があるのは、車いすユーザーも利用しやすいようにという配慮。歩けるようになったお子さん用に“立ちオムツ交換台”なんて、初めて目にするものもありました。

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オムツ交換室の向かいには、ベビーカーでラクラク入れる調乳用温水器付きの授乳室も

さらに、多くの子育てファミリーから賞賛されているのが、こちらの親子休憩室。靴を脱いで遊べるプレイルームや持参した離乳食が温められる電子レンジ、幼児用のお手洗いなどが完備された、「小さなお子さま連れのお客さま」専用のプチ・ワンダーランドです。
この休憩室が登場したおかげで、疲れた子どものグズグズに撤退を余儀なくされる悲しき乳幼児家庭が激減したとかしないとか。

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エネルギー消費量がハンパない子連れショッピング。休憩室は親にとっても憩いの場

実は、車いすユーザーである私(阿部)のオットも、銀座で食事や買い物をするときはほぼat 銀座三越を所望します。
都市部の商業施設では、男女双方のトイレにオムツ換えシートを設置することや「誰でもトイレ」の充実は当たり前になってきました。でも、お客様に選ばれ続ける存在になるためには、そういった設備も「ただあるだけ」ではきっと十分とは言えないのでしょう。
子育てファミリーや障がいのある方にも銀座三越さんが人気なのは、制約のある立場だからこそ余計に感じることができる“何か”があるのかもしれませんね。
次回は、そんな「三越スピリット」ととも言えそうなものの正体に迫ります!

(撮影:木内和美 取材・文:阿部志穂)


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